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離婚できる?できない?弁護士が徹底解説

離婚を考える時、自分が考えている離婚理由で本当に離婚できるのか気になるところです。また、実際には決定的な理由がなくても離婚を考えてしまうことがあります。

民法ではどのような離婚事由が必要なのでしょうか。夫婦だけの話し合いでは折り合いがつかず、長引く離婚の話し合いに「いっそ離婚裁判をしようか」と思う人もいるでしょう。今回はこの離婚ができる時できない時を、下記項目に沿って詳しく解説していきます。

  • 法定離婚事由について
  • その他の婚姻を継続できない事由を詳しく解説
  • 相手に非がなくても離婚できるのか?
  • まとめ

 

ご自身の状況がどれに当てはまるのか、確認してみましょう。

【法定離婚事由について】

①民法が定める離婚事由とは

離婚にはまず二人での話し合いで決まる協議離婚があり、それでも折り合いがつかない場合に家庭裁判所で調停委員を交えておこなう調停離婚があります。

協議離婚は、夫婦が離婚に合意して、離婚届を出すことで成立する離婚のことをいいます。
最も馴染みのある離婚の方式で、離婚の9割程度がこの協議離婚といわれています。

協議離婚の成立には、離婚届の提出離婚意思の合致の2つの要素が必要です。
協議離婚が有効であれば、その時点で離婚は成立するので、そもそも裁判離婚をする必要がないということになります。

協議離婚が成立しなかった場合、通常は離婚調停の手続きを行います。
離婚調停も基本的には夫婦の話し合いですので、調停が成立しなかった場合には、離婚裁判の手続きに進むことになります。
 
最後の方法として裁判離婚をする場合に必要なのが、民法による離婚事由なのです。

②裁判離婚の法定離婚事由を解説

裁判離婚の特徴は、協議離婚や調停離婚と異なり、一方が離婚に同意していなくても離婚できるところにあります。
そして裁判離婚をするためには、民法上の離婚原因(法定離婚事由)が必要とされています。

民法770条1項(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき。
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  3. 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

民法上の離婚事由(1):やっぱり不倫はアウト!不貞行為

夫婦は結婚すると、配偶者以外の人と性的交渉を行ってはいけないという決まりがあります。

この決まりを破ったとして、離婚を請求する事ができるのです。

不貞の事実は証拠を立証する事が難しく、簡単にはいかない事と、不貞と認めるには婚姻関係が破綻していなかったという事実も必要になってきます。

もし配偶者が不貞行為を行ったとしても婚姻関係が破綻していたと逃げてしまう事も考えられる難しい離婚事由です。

民法上の離婚事由(2):夫婦は同居し、互いに協力する義務がある!悪意の遺棄とは?

例として、『家庭に生活費を入れなければ、家族が生活できないのを「知っているのに」生活費を入れない』という事があります。これを悪意の遺棄といいます。

この悪意の遺棄は、単純な結果論だけでなく計画して配偶者を貶めようとしたり、家族がピンチになるのを認容するという意志も必要になってきます。

民法上の離婚事由(3) :相手が行方不明!?3年以上の生死不明

配偶者が、長い期間どこにいるのかわからない、行方不明状態な場合もあります。戻ってくるのかわからない、生きているのかすらわからない。

そのままの通り3年間にわたり配偶者の生死が不明な場合に、裁判の離婚事由として認められます。

民法上の離婚事由(4): 回復の見込みのない強度の精神病

ただし、この民法が適用されるためにはそれまで回復のために尽力をつくしてきた事と、それでも回復をしなかったという事実が必要となってきます。

配偶者が精神病患者と診断されたからといってすぐに離婚の事由になるというわけではありません。

民法上の離婚事由(5) :その他婚姻を継続しがたい重大な事由

夫婦の両方(または片方)が婚姻を続けようとする意志が全くない場合(主観的な事由)と、結婚生活を回復する事ができないとされる客観的な理由が必要になってきます。

裁判で重要とされるのは、別居が続いているという事実や、別居期間がどのくらいになっているのかという継続の事実により判断されます。

家庭内暴力や性格の不一致などもこの5号とされます。

その他の婚姻を継続できない事由を詳しく解説

民法770条1項5号にあたり、とりわけ抽象的な上記の事由に関してもっと詳しく見きましょう。

離婚事由の事例(1) :DVを受けた場合

その他の事由の中で、証拠を提出しやすいのはDVにより婚姻生活が継続できない事でしょう。

暴力を受けたら日記を書く、医者にかかってレシートや診断書などをもらって保存しておく等で証明できます。

程度がひどい場合は1度の暴力でも離婚の事由となる場合があるので、配偶者からひどい暴行を受けたときには、身の安全のためにもすぐに、弁護士に相談に行った方が良いでしょう。

離婚事由の事例(2) :相手が浪費家だったり働かなかったりする場合は?

配偶者が生活費を入れてくれない、夫婦の資産を自分のためだけに浪費するという、配偶者のお金の使い方に対する不満も離婚事由になります。

これは、民法770条の2号「配偶者から悪意で遺棄されたとき」にもあたります。生活費がなくなる事により、正しい夫婦生活に支障をきたすからです。

こちらも通帳のコピーや家計簿、給与明細などを証拠として提出する事ができるので、裁判もスムーズに進む事でしょう。

離婚事由の事例(3) :やっぱり大事!性生活の不一致

性生活の不一致を離婚の事由にする人も少なくありません。

しかし、この性生活の不一致は、夫婦によりどの程度のセックスレスや性的趣味が不一致にあたるのかという証明が難しく、デリケートでプライベートな部分なので条件も明らかにされていません。

どういった状態が裁判で性生活の不一致か認められるかは、やはり弁護士への相談により裁判するかどうかを決めた方が良いでしょう。

離婚事由の事例(4) :こんな場合でも離婚できるかも!

結婚生活が継続できない事由に、夫婦だけでなく配偶者の家族親族が関係する場合もあります。

配偶者と夫婦でいるために、その親や親族からいわれのない迫害を受けたり、精神的、肉体的な暴力を受けた場合、夫婦の力でその親族を止める事ができない場合は、配偶者との縁を切るという形で解決する事もあります。

【相手に非がなくても離婚できるのか?】

実際には決定的な理由がなくても離婚を考えてしまうことがあります。

不倫やDVがあったわけではない、嫌いじゃないけど離婚したい、何となく好きじゃなくなった…このような理由で離婚できるのでしょうか?

理由がなくても離婚は可能です。ただその場合、相手の合意をとり先ほどあげた協議離婚または調停離婚を成立させる必要があります。しかし、相手が離婚に応じてくれない場合は決定的な理由が必要となります。

①実は「性格が合わない」から離婚している人が多い

離婚調停を申し立てた動機の司法統計(令和2年度)によると、男女とも性格の不一致が1位でした。性格の不一致は夫婦にとって重大な問題ですが民法770条の5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するとは考えにくいです。

逆に言えば性格の不一致が多いということは、多くの離婚が合意で解決しており法定離婚事由がなくても調停は選択肢に入ることを意味します。

したがって

  • なんとなくで離婚するなんて無理
  • 日常の不満での離婚なんて相手が同意してくれない
  • 法定離婚事由がなければ離婚は不可能

 

と諦めず離婚を試みる余地はあります。誠実な交渉を心がけてください。

②別居によって法定離婚事由を作れる?

また、一定期間以上別居を続けることで、法定離婚事由を作ることも可能です。婚姻期間と別居期間が法定離婚事由の判断で考慮されるからです。しかし、別居も配偶者がすぐに合意してくれると限らない点は注意が必要です。

③理由がない離婚はスムーズに進むの?

理由がなくても相手が離婚に合意してくれるのか?それに関してはケースバイケースとしか言いようがなく、法定離婚事由があったとしても離婚争いが長期化する場合があります。

④協議離婚は決めるべきことがたくさん

協議離婚の場合、財産分与だけでなく、子供の親権や養育費、生活費など、決めるべきことが多くあります。これらの事項について双方が合意することが必要です。これらの問題を円滑に解決するためには、専門家の助けを借りることをおすすめします。

【まとめ】

話し合いでまとまらなかった場合、法定離婚事由にのっとり裁判で離婚を求め戦うことになります。

不倫にしろ、暴力にしろ、とにかく証拠を集めてください。

憶測だけで判断しないで確実な証拠を集める事が重要です。確実な証拠には写真や医師の診断書などが一番簡単な証拠となります。

そして相手に非がない状態でも離婚意思の合致がとれれば、離婚は可能であり、実際に多くの離婚理由が法定離婚事由に該当しない性格の不一致です。

決定的な理由がない状態で離婚するには、相手のことを考え合意の獲得を優先した話し合いが求められます。離婚してくれない、話し合いができない状態になってしまった場合にも適切な対処をとることで離婚の実現に近づきます。

まずは自分が離婚できる状態なのか?どのように離婚を進めていくべきか弁護士に相談しましょう。

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