旦那の浮気相手が妊娠!慰謝料の相場や浮気相手ができることを弁護士が解説
旦那が浮気相手を妊娠させたら、妻は慰謝料をもらえるのか?慰謝料をもらうためにするべきことは?旦那が浮気相手を妊娠させてしまった場合の対処法を、現役弁護士が解説します。気になる浮気相手が一般的に取るであろう行動もご紹介していますので、ご参考ください。
慰謝料を請求すべき相手
旦那さんが浮気相手を妊娠させた場合、奥さんは旦那さんと浮気相手に対し慰謝料を請求することができます。浮気相手と旦那さんどちらにも請求が可能です。
また、離婚した場合もしなかった場合も慰謝料の請求は可能です。
請求する際に考えるべきこととして、”不倫は共同不法行為である”という考え方があります。共同不法行為とは複数の人間の関与により、権利侵害する行為を指します。慰謝料は権利侵害の程度によって決定され、その合計金額の範囲内で複数人に請求することができます。
つまり、慰謝料の請求金額が200万円と算定され、不倫関係にあった二人の責任の割合が1:1であるならば、100万円ずつ請求することができます。また、片方にだけ200万円の請求を行い、請求を受けた人が浮気相手にその責任割合の分の支払いを請求することもできます。
責任割合は関係性(上司と部下などの断りづらい関係等)や状況(独身者だと嘘をついた等)から明らかにしていくものであり、専門的知識と証拠からの立証が必要となるので、まとまらない場合は弁護士に相談されることをおすすめします。
旦那の浮気相手が妊娠したときの慰謝料の相場
妊娠という事実を鑑みると通常の不倫よりは高額になりやすいです。
個別の事情にかなり左右されますが、仮に離婚まで至った場合、目安としては300~500万円程度になります。先に説明した共同不法行為への請求になるので、旦那さんと浮気相手への請求を合わせた合計金額の目安です。
その他にも慰謝料が高額になりうる要因として、円満な家庭が壊された場合や不倫の場所が自宅だった場合、奥さんと旦那さんとの間に未成年の子どもがいる場合等が挙げられます。
旦那の浮気相手の妊娠が発覚した時にとるべき行動
まずは事実確認を
事実確認は必ず必要になります。
まずは旦那さんが浮気をしていた・浮気相手を妊娠させてしまったという事実を確認しましょう。
慰謝料を請求するためには
慰謝料請求には基本的に客観的な証拠が必要となります。裁判官等、第三者が見て二人の間に不倫の事実が認められるものが証拠となります。
代表的なものとしては浮気相手と二人でラブホテルに入る写真や、浮気相手とのLINEのやり取り等が証拠となります。
LINEについては、二人の関係を証明できるやりとりを自分のカメラで撮っておく、スクリーンショットを撮って送る等、やり取り自体が消去されてしまっても対応できるように保険をかけておくことが必要です。
今回は浮気相手の方が妊娠しているという状況なので、旦那さんと浮気相手、それぞれが自分の子どもだと認めているかも大事になります。
どちらかが否定している場合はDNA鑑定も必要に応じて行いましょう。産んだ場合であれば鑑定可能ですし、産まない場合であっても、出生前のDNA鑑定や胎児のDNA鑑定が可能です。
ただし、DNA鑑定は母体である浮気相手の協力が必ず必要になる手続きです。しっかり相手方と話し合う必要があります。
妻から浮気相手に慰謝料請求できない3つのケース
旦那さんの浮気相手が妊娠していても、慰謝料を請求できないケースはあります。またできたとしても減額されるケースもあります。
個別に見ていきましょう。
旦那が既婚者であることを隠していた場合
旦那さんが既婚者であることを浮気相手に隠していた場合、奥さんから浮気相手に慰謝料を請求することは難しくなってきます。
逆に浮気相手は騙されて不倫してしまったとして、浮気相手から旦那さんへの慰謝料請求が可能な場合もあるのです。
請求は可能かもしれないが減額されうる場合
浮気相手が注意していれば既婚者だと見抜けた状況の場合、過失として慰謝料は請求できても、故意に行った場合と比較して額が下がる可能性があります。
請求自体が困難になる場合
注意していても旦那さんが既婚者だと見抜けなかったと認められる場合は、過失すら認められず、慰謝料請求ができないこともあります。
旦那が「夫婦関係は破綻している」という嘘を伝えていた場合
旦那さんが浮気相手に夫婦関係が既に破綻していることを示すようなことを伝えていた場合も、浮気相手に慰謝料を請求することは難しくなります。
例えば「もう離婚する手前」「必ず離婚するから、キミと結婚する」という嘘を話していた場合等が当てはまります。
このような状況ですと、旦那さんの責任割合いが強くなる可能性があります。その結果、浮気相手の支払額が減額されるケースとなりえます。
実際に婚姻関係の破綻が認められる場合
奥さんと旦那さんとの婚姻関係が実際に破綻していた場合は、奥さんからの慰謝料請求が難しくなります。
何年も別居が続いている、既に離婚調停中である等の状況の場合、婚姻関係は破綻しているとみなされます。
完全に婚姻関係が破綻しているとは認められなくとも、破綻直前である等と認められた場合、慰謝料の金額に反映されることもあります。
旦那の浮気相手が取れる行動
子どもを生むかどうかは浮気相手の自由
中絶を求める事自体は可能ですが、受け入れるかどうかは相手に委ねられます。
浮気相手の方が「せっかく授かった命だから」と、強い意志で生むことを決意されることも珍しくありません。奥さんから旦那さんに離婚請求をしたり、旦那さんと浮気相手の方に対して慰謝料請求をすることはできますが、浮気して授かった子どもを生むかどうかは、浮気相手の方が決定することになります。
認知請求と養育費請求
浮気相手は旦那さんに対し、認知請求が可能です。
認知請求とは、血縁上子どもの父親とされる人に対して、自分の子と認めるよう求める手続きをいいます。
浮気相手から強制認知請求を受ければ認知を避けることは難しいです。旦那さんは奥さんと離婚せずとも子どもを認知することはできますが、認知が完了した場合、養育費請求を受けたときは一定額の負担を覚悟しなくてはなりません。
具体的には、旦那さんの収入に応じて毎月一定額支払うことになります。それだけでなく、子どもの入学等のイベントに対しては、受験料や入学金を収入に応じて請求されることもあります。
浮気相手の子どもには相続権が発生
旦那さんが認知した子どもには、旦那さんの遺産を相続する権利が発生します。奥さんとの子どもと同じ割合を相続出来るようになります。
ここまで説明してきた通り、浮気相手が妊娠した場合、長期的な目線に立って話し合わなければならないことがたくさん出てきます。自分たちの生活をなるべく維持しつつ、相手への責任を旦那さんが長期間に渡って全うするにはどうしたらいいのか、お互いが納得するまできちんと話し合いましょう。
こうした事態になったら弁護士に相談を
普通の方であれば初めての状況でわからないことも多くあるかと思いますが、弁護士は考慮すべきことがわかっています。考える要素が多く、話し合いも難航するということでしたら一度弁護士に相談し、可能であれば交渉も代理してもらうのが良いでしょう。
相談費用
私(安藤法律事務所)の場合、請求する金額が300万円以下場合は、以下のような費用計算になります。
相談料 | 初回無料、二回目以降30分5000円 |
着手金 | 請求額の8%(前払い) |
報酬額 | 取れた金額の16%(取れた後の支払い) |
雑費等 | 郵便代、印紙代 |
弁護士に相談した方が慰謝料は高額になるのか
弁護士に相談した場合でも、必ずしも高額になるとは言えません。しかし弁護士に相談することで適切な金額を算定・請求し、実現しやすくはなると思います。
慰謝料請求にあたって大事なのは、事情を鑑みた適正な金額を請求することです。その点において、弁護士であれば法律的観点と経験があります。そのため、状況に応じた適正な金額の算定や相手方に納得してもらうための論拠の適切な説明、慰謝料をしっかり支払ってもらうための法的に証拠能力のある書面の作成等においてお手伝いをすることが可能です。
弁護士に交渉を依頼するかは別として、自身のご状況での適正金額を見通すため、まずは一度弁護士へご相談されることをおすすめします。
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安藤 秀樹(あんどう ひでき) 弁護士
安藤法律事務所 代表弁護士
仙台弁護士会 所属
農学部出身。理系出身であることもあり、わかりやすく・納得のいく説明が得意。物腰柔らかく、気軽に相談できることを大事に弁護活動を行う。
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