交通事故の保険金とは?種類や相場、弁護士に依頼するメリットとは?
【この記事の法律監修】
中山 明智弁護士(東京弁護士会)
名川・岡村法律事務所
交通事故の際の保険金について気になったことはありませんか。「交通事故に遭ってしまった」「交通事故を起こしてしまった」そういったときに、しっかり支払われるのか否かが気になるのが保険金です。
やり取りの要となる保険金は、増額、減額をめぐりトラブルが絶えない要素であることもまた事実です。本記事では、そのような保険金で不利な立場を強いられないよう、その種類や相場、弁護士に依頼するメリットなどについて解説します。
■加害者側
交通事故を起こしてしまった加害者であれば、本記事を読むことで必要以上の賠償を回避できるかもしれません。そのためには、まず本記事に書いてある保険金の種類や性質などを理解し、必要な対応を行えるようにします。
■被害者側
交通事故に遭ってしまった被害者であれば、本記事を読むことで加害者及び加害者の契約している保険会社から理不尽な対応を受ける可能性を極力排除できます。
そのためには、必要な手続きや相手方とのやり取りについて押さえ、弁護士への相談方法や費用についても知っておくようにします。
1.交通事故の保険金とは?
交通事故の保険金とは、交通事故が生じた場合に加害者側の保険会社から被害者へ支払われる損害賠償金を言います。
損害賠償金には車の修理代をはじめ、病院での治療費や通院費、慰謝料など、当該交通事故との間の因果関係が認められる損害が含まれます。実際に損害賠償金を支払うのは加害者本人ではなく保険会社のため保険金と呼ばれています。
2.保険金はどこから支払われる?
交通事故が生じた場合の保険金は、加害者が加入している保険会社から支払われます。また状況にもよりますが、被害者が加入している保険会社からも契約しているプランによっては、一部保険金が支払われるケースもあります。
3.交通事故の保険金の種類
上項目「交通事故の保険金とは?」でも解説した通り、交通事故の保険金とは損害賠償金のことを指します。つまり交通事故の保険金の種類とは損害賠償金の種類のことを言います。主に以下が損害賠償項目とその内容になります。
人身事故 | |
交通事故の種類 | 加害者に請求できる損害賠償 |
一般的な人身事故 | 積極損害・休業損害・入通院慰謝料 |
後遺障害事故 | 積極損害・休業損害・入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・後遺障害の逸失利益 |
死亡事故 | 積極損害・休業損害・入通院慰謝料・死亡慰謝料・死亡による逸失利益 |
物損事故 | |
交通事故の種類 | 加害者に請求できる損害賠償 |
物損事故 | 物的損害 |
4.人身事故(後遺障害なし)の保険金
人身事故(後遺障害なし)の保険金の種類としては以下があります。
- 治療費
- 入通院付添費
- 入院雑費
- 通院交通費
- 休業損害
- 入通院慰謝料
4-1.治療費
人身事故(後遺障害なし)の場合、治療費は基本的には、加害者側が加入している保険会社もしくは加害者本人から支払ってもらえます。
支払ってもらえる治療費は治療にかかった実費全額となります。ただし、被害者側に過失が認められる場合、その過失の分減額されてしまう可能性があることに注意が必要です。
4-2.入通院付添費
入通院付添費とは、被害者が入通院をしたときに本人ではない第三者が付き添った際、発生する費用のことを言います。主に付添費には以下の種類があります。
付添費の主な種類 | |
通院付添費 | 通院期間中の付添費用 |
入院付添費 | 入院期間中の付添費用 |
4-3.入院雑費
入院雑費とは入院期間中に必要となる様々な費用の総称です。例えば、着替えや洗面用具など日用品にかかる費用、寝たきりになればおむつ代、テレビが見たい場合にはテレビカード代などが挙げられます。
またその他にも、家族などが来院する場合は交通費やガソリン代、駐車場代といったものも入院雑費に含まれます。
4-4.通院交通費
通院する場合に発生する交通費は通院交通費として請求できます。バスや電車などの公共交通機関及びタクシー、福祉ハイヤー等の利用代金、自家用車が利用できる場合はガソリン代といったものが挙げられます。
4-5.休業損害
休業損害とは、交通事故によって仕事を休まざるを得なくなった場合に、本来得られたはずの収入を補償する賠償金です。休業損害額の計算には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」があり、それぞれ算出方法が異なります。
4-6.入通院慰謝料
入通院慰謝料は交通事故によって、入院や通院を余儀なくされた場合の精神的苦痛に対する慰謝料となります。別名では傷害慰謝料とも呼ばれます。入通院慰謝料も上項目「休業損害」で解説した「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの算出方法があり、それぞれ算出方法が異なります。
5.人身事故(後遺障害あり)の保険金
人身事故(後遺障害あり)の保険金の種類としては以下があります。
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
- 将来介護費
5-1.後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故により身体に後遺障害が残ってしまった場合に請求できる慰謝料です。国土交通省の定める後遺障害等級があり、これに該当する場合に後遺障害慰謝料として請求ができます。
参考:国土交通省 後遺障害等級表
5-2.後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益とは、交通事故により身体に後遺障害が残ったことで、将来得られたはずの利益が得られなくなってしまった場合に支払われる賠償金です。
例えば「職人の手を麻痺させてしまった」「ドライバーの右足首の自由をきかなくさせてしまった」といったケースが挙げられます。
5-3.将来介護費
将来介護費とは、交通事故により重度の後遺障害が残り将来にわたって介護が必要になった場合に請求できる賠償金です。
認められる条件としては、医師からの指示があることや介護の必要があると判断された場合、また原則として後遺障害等級がもっとも重い「1級1号」及び「2級1号」の場合とされています。
6.死亡事故の保険金
死亡事故の保険金の種類としては以下があります。
- 死亡慰謝料
- 死亡逸失利益
- 葬祭費
6-1.死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、交通事故により被害者が死亡してしまった場合の精神的苦痛に対する慰謝料となります。死亡慰謝料には「被害者本人に対する慰謝料」と「遺族固有の慰謝料」の2種類があります。
- 被害者本人に対する慰謝料
- 遺族固有の慰謝料
6-1-1.被害者本人に対する慰謝料
被害者本人に対する慰謝料とは、被害者自身が受けた精神的苦痛に対する慰謝料となります。被害者自身は亡くなっていますが、精神的苦痛を負うであろうと考えられるため、慰謝料を請求できるのです。慰謝料は通常、被害者の遺族が請求を行います。
6-1-2.遺族固有の慰謝料
遺族固有の慰謝料とは、交通事故の被害者本人の慰謝料とは別に、遺族ならびに近親者にも認められる固有の慰謝料のことを言います。
交通事故によって精神的苦痛を受けるのは被害者自身だけでなく、被害者の配偶者や子、そして被害者の親などもまた精神的苦痛を受けます。こういったことから、遺族ならびに近親者にも固有の慰謝料が認められるのです。
6-2.死亡逸失利益
死亡逸失利益とは、被害者が亡くならなければ将来得られるはずの収入等を補償する賠償金です。基本的に被害者の就労可能年数(働いて収入が得られる期間)を想定して算出します。死亡逸失利益は原則67歳まで認められるため、例えば30歳で亡くなった場合は「67歳-30歳=37年」となり、37年間分の死亡逸失利益を請求できます。
6-3.葬祭費
被害者が交通事故で亡くなった場合は、葬祭費も損害賠償請求の対象となります。葬祭費は葬式にかかる費用だけでなく、その前後で執り行われる儀式の費用も請求できる場合があります。しかしながら、かかった葬儀費用のすべてが請求対象となるわけではなく、支出が相当と認められた項目のみに支払われます。
7.物損事故の保険金
物損事故の保険金の種類としては以下があります。
- 修理費
- 代車使用料
- 買い替え費用
- 買い替え諸費用
- 評価損
- 休車損害
7-1.修理費
交通事故で車両が破損してしまった場合は「修理費」もしくは「買い替え費用」に相当する金額を請求できます。損害の程度により賠償金は異なり、損害がそこまでひどくなく修理することで修復が可能であれば、該当箇所の修理費が支払われます。
7-2.買い替え費用
上述「修理費」でも解説した通り、交通事故で車両が破損してしまった場合は「修理費」もしくは「買い替え費用」に相当する金額を請求できます。こちらも損害の程度により賠償金は異なりますが、全損もしくは修復が不可能なほど大破してしまった場合は、車両の買い替え費用に相当する金額を請求できます。この場合一般的に、当該車両の時価となる賠償金が支払われます。
7-3.買い替え諸費用
買い替え諸費用とは、車両購入後に使用できる状態にするまでにかかる費用のことを指します。しかし具体的にどのような費用を指すのか一義的ではなく、曖昧な部分も多々あります。以下では買い替え諸費用の対象として認められる可能性の高い項目を紹介します。
買い替え諸費用の対象となる可能性の高い費用例 | |
自動車取得税 | 車両購入時に課される税金です |
自動車重量税 | 車両の重量や経過年数に応じて課される税金です |
消費税 | 車両の販売に対して課される税金です |
車庫証明法定費用 | 車庫証明取得時にかかる法定費用です |
検査・登録法定費用 | 車両の検査及び登録時にかかる法定費用です |
残存車検費用 | 車検費用は返ってこないため請求項目に加えることで返還対象となる場合があります |
事故車両の廃車解体費用 | 事故車両の廃車解体にかかる費用です |
7-4.代車使用料
代車使用料とは、交通事故で自家用車が使用できなくなったときに代わりの車両を借りた場合のレンタル料です。
しかしながら、どのような場合も必ず代車の使用が認められるわけではなく、代車を使用する必要性及び相当性が認められた場合のみ代車使用料を請求できます。具体的には以下となります。
代車使用料が認められるケース | |
代車を使用する必要性 | ・通勤や通学、仕事などで使用していた場合 ・公共交通網が発達しておらず代わりの交通手段がない場合 など |
代車を使用する相当性 | 種類の相当性:自家用車と同グレードの車両を使用した場合 期間の相当性:車両の修理期間と同程度の期間に収まった場合 など |
7-5.評価損
評価損とは、車両を修理したにも関わらず破損や故障した部分が完全にはもとに戻らず、車両の価値(評価額)が事故前より下がってしまった場合に請求できる賠償金です。
また仮に破損や故障した部分がもとに戻ったとしても、交通事故で修理したという事実が消えず事故車として価値が下がってしまう場合があります。そういったときにも、評価損として認められる可能性があります。
7-6.休車損害
休車損害とは、交通事故によって車両が使用できなくなったことで本来得られるはずの利益が得られなくなってしまった場合に請求できる賠償金です。例えば、タクシーやトラック、バスなどが挙げられます。
いわゆる営業損害のことで、一般的に「平均売上額-必要経費」で算出されます。しかしながら、交通事故を起こした車以外にも営業に使用できる車があるなど、営業損害が発生しない場合には休車損害として認められないケースもあります。
8.交通事故の保険金が支払われるまでの流れ
交通事故の保険金が支払われるまでの流れは以下となります。
- 警察へ連絡
- 加害者の氏名、住所、電話番号、ナンバー等を必ず確認する
- 被害の状況や現場証拠を記録する
- 目撃者を確保する
8-1.警察へ連絡
交通事故が発生したら、路上の安全を確保しまずは警察へ連絡します。仮に相手から「警察を呼ばなくていい」と言われた場合でも、必ず連絡するようにしましょう。
もし警察に連絡しなかった場合は3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金となります。そうなると交通事故証明や実況見分調書なども発行されないことになりますので、保険金の請求もできなくなります。
8-2.加害者の氏名、住所、電話番号、ナンバー等を必ず確認する
交通事故の際は落ち着いて加害者の氏名、住所、電話番号、ナンバー等を必ず確認するように努めます。今後、賠償金を請求するためには相手を特定する必要があります。保険会社とのやり取りをスムーズに進めるためにも、加害者の情報はできるだけ入手しておきます。
8-3.被害の状況や現場証拠を記録する
警察が到着するまでの間に、できるだけ自分でも被害の状況や現場証拠の記録や収集に努めます。スマートフォンなどで現場の写真を撮り、被害状況などを画像として記録しておくことが非常に有効です。
8-4.目撃者を確保する
目撃者を確保することは相手方とのトラブルを防ぐうえで有利に働くことがあります。特に相手が加害者の場合は、目撃者の証言が重要な証拠となり得ます。こういったことから、事故現場において目撃者の確保は非常に重要です。
9.事故後早めに対応
事故後は以下の対応を行い早めに対処します。
- 保険会社へ連絡する
- 外傷がなくても病院へ行く
- 怪我が完治しなかった場合は、後遺障害等級認定の申請
- 相手方保険会社と示談交渉をする
- 示談成立となれば、約1~2週間後に保険金が支払われる
- 示談不成立であれば、裁判やADRを利用し解決を目指す
9-1.保険会社へ連絡する
事故現場での措置や警察への通報などが一通り終了したら、速やかに自身が加入する保険会社の事故受付センター等へ連絡します。そこで交通事故に遭った旨の報告を行い、保険会社とやり取りを行っていきます。
おおむね尋ねられることとしては、事故や損害の状況、事故後の措置などについてです。正直に漏れなく伝えることで、その後の対応をスムーズに行ってくれます。
9-2.外傷がなくても病院へ行く
交通事故に遭った場合は外傷がなくても病院へ行きます。理由としては、医師の診断を受けて怪我の存在を明確にしておくためです。自分では無傷と思っていても、医師の診断を受けたら異常があったという場合もあります。
例えば、外傷がなくても実際には骨にひびが入っていたり、また数日経ってから痛みが現れたりするケースもあります。こういったことを防ぐためにも、病院には必ず行くようにします。
9-3.怪我が完治しなかった場合は、後遺障害等級認定の申請
治療を尽くしても怪我が完治しなかった場合は、後遺障害等級認定の申請を行います。後遺障害等級認定の申請は後遺障害として認められるか否かの手続きとなり、これに認められれば「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」といった賠償金の請求ができます。
後遺障害等級認定は黙っていても認定されないため、認定を受けたい人自身が主治医に申請書を書いてもらうように働きかける必要があります。
9-4.相手方保険会社と示談交渉をする
交通事故による怪我の治療が終了し損害額が確定した段階で、相手方の保険会社と示談交渉を行います。また後遺障害等級認定を申請した場合は、認定の結果が出てから示談交渉を開始します。
損害額が確定しなければ示談交渉が進められないため、怪我の治療が終了するまでは焦らずに治療に専念しましょう。
9-5.示談成立となれば、約1~2週間後に保険金が支払われる
当事者同士が納得した示談内容となった場合は示談成立となり、約1〜2週間後に保険金が支払われます。示談成立後に保険会社から合意内容が記載された示談書が送付されますので、内容をしっかり確認したうえで署名を行い返送しましょう。
この示談書に署名及び返送してしまうと、あとから追加で賠償金を請求できなくなるので注意が必要です。
9-6.示談不成立であれば、裁判やADRを利用し解決を目指す
示談が不成立となった場合は、裁判やADR(裁判外紛争解決手続)によって解決を目指すことになります。裁判の場合は民事訴訟を起こして法的手続きにより解決を図っていきます。
民事訴訟では弁護士に交渉を任せることで精神的ストレスからも開放され、有利に進められるでしょう。一方ADR(裁判外紛争解決手続)では、裁判によらず第三者が介入することで話し合いでの解決を目指します。裁判以外の方法で解決したい場合に有効です。
10.交通事故での保険金の相場は?
交通事故での保険金の相場は以下の3つの基準に基づいて算出されています。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準
10-1.自賠責基準
自賠責基準とは、自賠責保険から損害賠償を受ける場合の算出基準です。自賠責基準は最低限の対人賠償しか補償されないため、一般的に低い基準となっています。
10-2.任意保険基準
任意保険基準とは、各任意保険会社がそれぞれ独自に定めている算出基準です。そのため保険会社によって支払基準は異なります。任意保険は自賠責保険の上積みをする保険ですので、こちらも自賠責保険同様に低い基準となる場合がほとんどです。
10-3.弁護士基準
弁護士基準とは、弁護士及び裁判所が用いる算出基準です。裁判所が用いる基準でもあることから、裁判所基準とも呼ばれます。過去の裁判例をもとに算出され、自賠責基準や任意保険基準よりも高額になることがほとんどです。
11.交通事故を弁護士に依頼するメリット
交通事故を弁護士に依頼するメリットとしては以下が挙げられます。
- 慰謝料の増額
- 相手方の保険会社とのやり取りを一任できる
- 弁護士費用を加害者側に請求できる
11-1.慰謝料の増額
交通事故を弁護士に依頼すると慰謝料が増額される可能性が高くなります。上項目「交通事故で保険金の相場は?」でも解説した通り、慰謝料がもっとも高額に算出される可能性が高いのは弁護士基準です。
自賠責基準や任意保険基準よりも倍程度高くなるときもあります。弁護士に依頼すると、弁護士基準での示談金になるため多くのケースで増額が可能です。
11-2.相手方の保険会社とのやり取りを一任できる
弁護士に依頼すれば、相手方の保険会社とのやり取りも一任できます。交通事故発生から示談に至るまでには、非常に多くのやり取り及び交渉を行う必要があり、被害者自ら一人で行おうとすると大きなストレスとなります。
また専門知識がないがゆえに、相手方や相手方の保険会社との交渉や示談において、不利な立場に追い込まれることも考えられます。ですが、弁護士に依頼すればそういった心配もなく、保険会社との交渉も任せられるため精神的ストレスから解放され治療にも専念できるでしょう。
11-3.弁護士費用を加害者側に請求できる
弁護士費用を加害者側に請求できる場合もあります。交通事故の示談交渉では通常、相手方に弁護士費用の請求はできません。仮に弁護士費用を請求できるとすれば、訴訟した場合に限られます。
しかしながら例外的に、加害者の不法行為に基づく事件である場合は、弁護士費用を加害者に請求することができます。このような判断も含めて、弁護士に依頼する方が得策と言えるでしょう。
12.交通事故の保険金よくある質問
交通事故の保険金でよくある質問としては以下があります。
- 交通事故の保険金に税金はかかる?確定申告も必要?
- 交通事故の保険金の相続は?
- 交通事故の保険金に時効は?
12-1.交通事故の保険金に税金はかかる?確定申告も必要?
交通事故の保険金には原則税金はかかりません。これは所得税法第9条18項に定められています。
所得税法 第九条 十八
(非課税所得)
第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
十八 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
引用:e-Gov法令検索 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
12-2.交通事故の保険金の相続は?
上項目「交通事故の保険金に税金はかかる?確定申告も必要?」でも解説した通り、交通事故で被害者が死亡した場合の保険金の相続についても非課税となります。「損害賠償金」という性格を有しているため、受取人に対する相続税、贈与税、所得税は非課税となっているのです。
参考:国税庁 No.4111 交通事故の損害賠償金
12-3.交通事故の保険金に時効は?
交通事故の保険金は3年を経過すると時効となります。これは保険法第95条に定められています。
保険法 第九五条
(消滅時効)
第九十五条保険 給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。
引用:e-Gov法令検索 保険法(平成二十年法律第五十六号)
一般的に交通事故発生から相当の時間が経過した場合、事故の調査が困難となります。こういった背景から、適正な保険金の支払いができなくなる可能性があるためです。
まとめ
本記事では、交通事故の保険金及びその種類や相場、弁護士に依頼するメリットなどについて解説しました。たとえ被害者だとしても、加害者や加害者側の保険会社に理不尽な対応を受ける可能性もあります。
そのため、弁護士に依頼せず自分一人で対応しようとすれば、損害賠償の減額や治療費の打ち切りなど、さらに不利な状況に追い込まれることも考えられます。こういったことから、交通事故で保険金を請求するときは弁護士に依頼することをおすすめします。