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道路交通法とは?【違反者・交通事故に遭った方】~前科を避ける方法や損害賠償交渉のポイント~

【この記事の法律監修】  
松本 理平弁護士(第一東京弁護士会) 
青山北町法律事務所

「交通違反で検挙されてしまったけど、罰金を払わないといけないのか。」
「交通事故に遭ってしまったけど、示談がうまくまとまらない。」
交通違反・交通事故をめぐって、悩みやトラブルを抱えていませんか?

本記事では、道路交通法のルールや違反の内容、交通事故が発生した場合の対応方法について、詳しく解説します。

この記事を読むことで、道路交通法に違反して検挙された方は、違反した場合の罰則や、反則金支払いの必要性について詳しく理解できます。
交通事故に遭った方または起こしてしまった方は、交通事故が発生した後の流れや、示談・損害賠償交渉時に注意すべきポイントついて理解することができます。

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1.道路交通法とは

1-1.道路交通法の目的・全体像

道路交通法とは、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図ることを目的としている法律です(道路交通法第1条)。

(目的)
第一条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。
引用:e-Gov法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)

道路交通法の全体像は以下のとおりです。歩行者・車両の交通ルールや、罰則などが規定されています。

① 歩行者等の通行方法(第2章)
② 車両および路面電車の交通方法(第3章)
③ 車両等の運転者および使用者の義務(第4章)
-②③の特例として、高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例(第4章の2)
④ 特定自動運行の許可等(第4章の3)
⑤ 自動車および一般原動機付自転車の運転免許(第6章)
⑥ 罰則(第8章)
-⑥の特例として、反則行為に関する処理手続の特例(第9章)

1-2.近年の主な道路交通法の改正点

道路交通におけるさまざまな情勢に対応する必要があるため、道路交通法は頻繁に改正されています。ドライバーは、改正点を随時理解しておく必要があります。

以下、近年の主な改正点をまとめましたので、ぜひご参考ください。

改正日 改正内容
2023年4月1日 ・自転車乗車時のヘルメット着用の努力義務化
・レベル4の自動運転が解禁
2023年7月1日 ・特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)の交通方法等
2023年12月1日 ・安全運転管理者選任事業所のアルコールチェック義務化
2024年11月1日 ・自転車の酒気帯び運転に対する罰則の新設
・自転車運転中の「ながらスマホ」の禁止・罰則化

1-2-1.2023年4月1日改正内容

2023年4月1日施行の道路交通法では、自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務となったほか、レベル4の自動運転が解禁されました。

「レベル4」とは、過疎地域や高速道路などの特定条件下で、運転者がいない状態での自動運転がなされるレベルをいいます。

都道府県公安委員会から特定自動運行の許可を受けた者(特定自動運行実施者)は、課された義務を遵守するなどの条件を満たせば、レベル4の自動運転ができることとなりました。
参考:特定自動運行に係る許可制度の創設について|警察庁

1-2-2.2023年7月1日改正内容

2023年7月1日施行の道路交通法により、16歳以上であれば、運転免許証を取得せずとも、「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」を利用できるようになりました。

特定小型原付に該当するための主な基準は、以下のとおりです。

  • 車体の大きさは、長さ190センチメートル以下、幅60センチメートル以下であること
  • 原動機として、定格出力が0.60キロワット以下の電動機を用いること
  • 時速20キロメートルを超える速度を出すことができないこと など

参考:特定小型原動機付自転車に関する交通ルール等について|警察庁

特定小型原付に該当する具体例として、「電動キックボード」や「LUUP」などが挙げられます。

1-2-3.2023年12月1日改正内容

2023年12月1日施行の道路交通法では、安全運転管理者選任事業所として規定されている事業者は、新たに以下2点を実施する義務がある旨定められました。

  • 運転者の酒気帯びの有無の確認を、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを用いておこなう
  • アルコールチェッカーを常時有効に保持する

なお、安全運転管理者選任事業所とは、乗車定員が11人以上の自家用自動車を1台以上使用している、またはその他の自家用自動車を5台以上(※大型自動二輪車または普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算)使用している事業所をいいます。

1-2-4.2024年11月1日改正内容

2024年11月1日施行の道路交通法では、自転車の酒気帯び運転に対する罰則(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)が新たに制定されました。

また、自転車の運転中に「ながらスマホ」をした者に対する罰則(6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金)も新たに制定されました。「ながらスマホ」とは、自動車等の運転中において、携帯電話を通話のために使用し、または携帯電話に表示された画像を注視することをいいます。

1-3.道路交通法に違反した場合の罰則

道路交通法に違反した場合の罰則について、押さえておきましょう。

1-3-1.罰則の種類

道路交通法に違反した場合に科される処分には、刑事処分と行政処分の2種類があります。

  • 刑事処分:懲役、禁錮、罰金など
  • 行政処分:違反点数累積による免許証の効力停止または取り消し、反則金など

違反の内容によって、行政処分のみ科される場合もあれば、刑事処分と行政処分の両方が科される場合もあります。

1-3-2.前科がつくケース・つかないケース

2種類のうち、刑事処分が科された場合には前科がつくことになります。もっとも、交通反則通告制度(青切符制度)が適用される場合には、前科を回避できます。

交通反則通告制度とは、比較的軽微(違反点数6点未満)の違反について、一定期間内に反則金を納めることで刑事処分に処されなくなる制度をいいます。

なお、酒酔い運転や救護義務違反などの「特定違反行為」にあたる重大な事故を起こした場合には、交通反則通告制度は適用されないので、注意が必要です。

1-3-3.免許停止・免許取り消しになるケース

免許停止・免許取り消しの判断には、点数制度が採用されています。

点数制度とは、自動車等の運転者の交通違反や交通事故に一定の点数を付けて、その過去3年間の累積点数等に応じて免許の停止や取消等の処分を行う制度です。

点数制度の主な内容は、以下の4つを基礎とします。

  1. 一般違反行為(信号無視・放置駐車違反等)に付けられている基礎点数
  2. 特定違反行為(酒酔い運転・ひき逃げ等)に付けられている基礎点数
  3. 交通事故を起こした場合の付加点数
  4. あて逃げ事故の場合の付加点数

そして、最後の交通違反や交通事故の日を起算日として、過去3年間の累積点数が一定の基準に達した場合、下記の「行政処分基準点数」を元に、運転免許の効力の停止や取消処分等の行政処分が行われます。

たとえば、行政処分前歴が0回で、違反点数が7点の人は、30日間の停止処分の対象となり、行政処分前歴が2回で、違反点数が4点の人は、150日間の停止処分の対象となります。
参考:行政処分点数基準|警視庁

1-4.道路交通法違反に該当する主な事例

道路交通法に対する主な違反事例と、その罰則について、簡単にまとめましたので、ご確認ください。

違反内容 刑事処分 行政処分(違反点数・普通車の場合の反則金)
信号無視(赤色等違反または点滅違反) 3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金 違反点数:2点
反則金:
赤色等違反 9,000円
点滅違反 7,000円
追越し違反 3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金 違反点数:2点
反則金:9,000円
追い付かれた車両の義務違反 違反点数:1点
反則金:6,000円
速度超過(高速道路40km/h以上) 6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金 違反点数:6〜12点(免許停止または取消)
速度超過(高速道路40km/h未満) 6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金 違反点数:1〜3点
反則金:9,000円〜3万5,000円
速度超過(一般道30km/h以上) 6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金 違反点数:6〜12点(免許停止または取消)
速度超過(一般道30km/h未満) 6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金 違反点数:1〜3点
反則金:9,000円〜1万8,000円
免許証不携帯 反則金:3,000円
無免許運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 違反点数:25点(免許取消
横断歩行者等妨害等違反 3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金 違反点数:2点
反則金:9,000円
安全運転義務違反 3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金 違反点数:2点
反則金:9,000円
救護義務違反 (事故車両の運転者)5年以下の懲役または50万円以下の罰金
(加害車両の運転者)10年以下の懲役または100万円以下の罰金
違反点数:35点 (免許取消)
危険防止等措置義務違反 1年以下の懲役または10万円以下の罰金 違反点数:5点(付加点数)
報告義務違反 3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金 違反点数:2点
酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15以上0.25未満) 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 違反点数:13点(免許停止)
酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.25以上) 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 違反点数:25点(免許取消)
酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 違反点数:35点(免許取消)
携帯電話使用等(保持) 6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金 違反点数:3点
反則金:18,000円
携帯電話の使用等(交通の危険) 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 違反点数:6点

なお、違反点数は、道路交通法上の車両区分により異なります。

  • 大型車:大型自動車、中型自動車、準中型自動車、大型特殊自動車、トロリーバス、路面電車
  • 普通車:普通自動車(いわゆる「軽自動車」含む)
  • 二輪車:大型自動二輪車、普通自動二輪車、ミニカー
  • 小型特殊自動車
  • 原付車

なお、「フォークリフト」や「ショベル」などは、車両寸法・最高速度によって「大型車(大型特殊自動車)」または「小型特殊自動車」に分類されます。

また、自転車やリヤカーなどの「軽車両」などの運転に免許は不要なため、違反点数はつきませんが、刑事罰や反則金の対象となる場合があるので、注意が必要です。また、軽車両には該当しない「スケボー」なども、路上スケボーなどの道路交通法に違反する行為は罰金の対象となります(道路交通法第76条第4項第3号)。
引用:e-Gov法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)

1-4-1.信号無視

信号無視は、赤信号を無視した信号無視(赤色等)と、黄色信号を含む点滅信号を無視した信号無視(点滅)の2種類に分けられます。

停止線に接近しすぎていて安全に停止できない場合をのぞいて、黄色信号での進行も違反となりますので、注意しましょう。

1-4-2.追い越し・追い越し妨害

追越しとは、車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいいます。

なお、追い越される側の運転手にも2つの義務が課されており、違反すると行政処分が課されます。

  • 追い越しが終わるまで速度を上げてはいけない
  • できる限り道路の左側端に寄ってこれに進路を譲らなければならない

1-4-3.速度制限違反

速度制限に違反した場合の罰金と反則金の額は、速度超過の程度や、高速道路か一般道路かどうかで異なります。

1-4-4.免許不携帯・無免許運転

免許不携帯と無免許運転とは全く異なる違反行為です。

  • 免許証不携帯:有効な運転免許証を取得しているが、それを携帯せずに運転すること
  • 無免許運転:運転免許証を取得していない状態で運転すること

なお、無免許運転の違反態様は、以下の4種類に分類されます。

  • 純無免許(純無免):免許取得の交付を受けたことがない人が運転すること
  • 停止中無免:免許停止期間または有効期限切れ中に運転すること(更新忘れ含む)
  • 取消無免:免許を取り消しされた後、再度免許証の交付を受ける前に運転すること
  • 免許外運転:交付されている免許対象外の車種を運転すること

運転免許証には運転者の区分ごとに有効期限が設けられており、有効期限が切れる前(誕生日の前後1ヶ月)に更新手続きを行う必要があります。
更新期間内に手続きができないと、運転免許証の効力はなくなってしまい無免許となるので、注意しましょう。

なお、てんかんなどの症状がある方でも、一定の条件を満たせば免許の更新が可能となっています。条件や必要書類を確認した上で、更新手続きをしましょう。

1-4-5.横断歩行者等妨害等違反

横断歩道では「歩行者優先」のルールが適用されるので、違反した場合には横断歩行者等妨害等違反となります。

道路交通法で規定されている横断歩行者等妨害等違反行為は、以下の通りです。

  • 横断歩道の直前で一時停止をしない
  • 横断歩道上で歩行者の横断を妨害すること
  • 横断歩道の手前で停止している車があるにもかかわらず、その車の側方で一時停止をしない
  • 横断歩道のない交差点またはその付近で歩行者の横断を妨害すること

1-4-6.安全運転義務違反

ドライバーが遵守すべき安全運転義務は、道路交通法第70条に規定されています。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
引用:e-Gov法令検索 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)

この安全運転義務違反の類型は、以下の7種類に大きく区分されます。

  • 操作不適(自動車の装置の操作ミス など)
  • 前方不注意(漫然運転、脇見運転 など)
  • 安全不確認(前方後方、左右の安全確認の怠り など)
  • 安全速度違反(見通しが悪いにもかかわらず危険と判断される速さで走る など)
  • 動静不注視(だろう運転 など)
  • 予測不適(他の車や歩行者などの周囲の動きを予測していない など)
  • その他(手放し運転やジグザグ運転 など)

安全運転義務違反自体は重大な違反とはなりませんが、安全運転義務違反により重大な事故を引き起こした場合は、罰則が重くなる場合がある点には注意が必要です。

1-4-7.ひき逃げ・当て逃げ(緊急措置義務・報告義務違反)

交通事故を起こした場合、運転者または同乗者には、次の2つの義務が課せられます。

  • 緊急措置義務:直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護して、危険防止措置をとる義務
  • 報告義務:警察官に交通事故発生日時等を報告しなくてはならない義務

いわゆる「ひき逃げ」や「当て逃げ」が、緊急措置義務・報告義務に違反する行為です。もっとも、ひき逃げと当て逃げは、対象となる事故の種類や罰則に関して、以下のような違いがあります。

名称 事故の種類 刑事処分 行政処分(点数)
ひき逃げ 人損事故 (事故車両の運転者)
5年以下の懲役または50万円以下の罰金
(加害車両の運転者)
10年以下の懲役または100万円以下の罰金
35点(ひき逃げの元になった事故の点数が別途加算)
当て逃げ 物損事故 1年以下の懲役または10万円以下の罰金 7点(安全運転義務違反2点+危険防止措置義務違反5点)

なお、裁判で判決が確定していない2つ以上の罪がある場合は、併合罪として処理されます。併合罪が成立する場合、2つの罪のうち重い罪について定めた刑の長期にその半分を加えたものが懲役となります。

例えば、過失により運転中に人を死傷させたにもかかわらず、そのまま立ち去ったケースがあったとしましょう。この場合、救護義務違反に加え、過失運転致死傷罪(7年以下の懲役または100万円以下の罰金)も成立するので、懲役15年以下の懲役となります。

1-4-8.飲酒運転(酒気帯び運転・酒酔い運転)

道路交通法では、飲酒運転は「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2種類に分類されており、それぞれ飲酒の程度と適用される罰則が異なります。

違反の種類 飲酒の程度
酒気帯び運転 呼気中アルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上、又は血液1ml中0.3mg以上含まれる状態
酒酔い運転 アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態

酒気帯び運転には基準がありますが、酒酔い運転には明確な基準がない点がポイントです。

飲酒運転は特定禁止行為に該当する行為で、罰則が非常に重く、一発で免許停止または免許取消となります。事故の危険も高まるので、飲酒運転は絶対にやめましょう。

1-4-9.ながら運転(運転中のスマートフォン・携帯電話使用)

ながら運転とは、車の運転中にスマートフォン(携帯電話)やカーナビを注視・操作するなどの行為をいいます。

スマートフォン・携帯電話の普及とともに、運転中の携帯電話使用等に起因する事故の件数は増加しました。2012年には1,935件だったものが、2017年には2,832件まで増加しました。2018年から2019年にかけては少し減ったものの、相変わらず高い水準にありました。

このような背景を受け、2019年12月1日改正の道路交通法にて、罰則が強化されました。

なお、イヤホン着用や、ハンズフリー通話自体は道路交通法の違反対象にはなりません。しかし、イヤホン着用時に事故を起こしてしまった場合は、安全運転義務違反となる可能性があります。

各都道府県の条例で運転中のイヤホンの使用を禁止している自治体もあります。それだけ危険な行為といえるので、やむを得ずハンズフリー通話をする場合でも、周囲の音がしっかり聞こえるよう配慮し、運転には細心の注意を払いましょう。

2.交通事故が発生したら?

では、交通事故を起こしてしまった、または交通事故に遭った際の流れについて確認しておきましょう。

2-1.事故現場ですべき対応

交通事故が発生した際の事故現場ですべき対応の流れは、以下の通りとなります。

  1. 怪我人の救護
  2. 車の移動や注意喚起による現場の安全確保
  3. 警察に事故発生を報告
  4. 加害者・被害者間での、連絡先などの情報交換
  5. 写真や動画を使って証拠保全
  6. 警察の捜査に協力
  7. 保険会社に交通事故発生の連絡
  8. 怪我の診断のため病院へ
  9. 自動車に破損や故障があるなら修理を行う

2-2.交通事故を起こした場合の注意点

交通事故発生時の対応の際に、特に注意しておきたいポイントは大きく2点あります。

2-2-1.加害者:事故現場からは立ち去らない

上述のとおり、運転手は緊急措置義務や警察への報告義務を負っています。

軽微な物損事故や単独事故であっても、事故現場から立ち去ってしまうと道路交通法に違反してしまいます。事故を起こしたら、必ず警察に連絡してください。

2-2-2.被害者:事故現場で示談しない

示談とは、事故の当事者双方が賠償金や条件などを話し合いで決めることです。

交通事故で受けた損害は、その場では確定できないことが多いです。

事故から時間が経って、身体の痛みや何らかの症状を感じることもあるでしょう。また、車の修理が必要な場合も、修理工場で見積りを取ってからでないとわかりません。

話し合いが合意して示談が成立すると、基本的に後からやり直すことはできません。事故現場での示談はしないでください。

3.弁護士の役割

交通事故事案での弁護士の主な役割として、以下の5点が挙げられます。

3-1.交通違反時のアドバイスの提供

道路交通法に違反した場合、反則金の納付や刑事罰に関する対応など、違反者が対応すべき事項はさまざまあります。弁護士は、違反時の警察対応や今後とるべき対応などに関して、違反者にアドバイスを提供します。

3-2.事故発生時の相手方との示談・保険会社とのやり取りの代行

交通事故発生後には、相手方との示談交渉や、保険会社とのやり取りが複雑になるケースが多いです。

弁護士は、事故の状況を分析した上で、相談者の希望に沿った条件で示談が成立するよう、相談者の代理人として相手方と交渉をします。

また、相談者と保険会社とのやり取りを代行します。なお、一般的には被害者の保険会社と加害者の保険会社との協議で過失割合を決定しますが、過失割合の金額に納得行かない場合に、弁護士が交渉に入ることも可能です。
ただし、弁護士に依頼したとしても、病院の通院履歴の取得などはする必要があります。また、弁護士が指示した通院などを行わない場合には慰謝料がもらえなくなることにも繋がります。そのため、弁護士に依頼したら何もしないでも示談金がもらえたり増えたりするわけではなく、弁護士と一緒になり自分の被害を証明するための証拠を取得していくことになります。

3-3.損害賠償請求の算定

交通事故の加害者に対して損害賠償請求をする場合、治療費・休業損害・慰謝料などの費用を正確に計算した上で、適切な損害賠償請求額をする必要があります。

弁護士は、損害項目を適切に把握し、賠償額の算定や請求に関する交渉を全面的にサポートします。

3-4.後遺障害の認定のサポート

後遺障害の認定とは、交通事故で怪我をした方が、治療しても事故前の身体の状態に戻らず、後遺症が残ってしまったことについて自賠責保険から認めてもらうことをいいます。

弁護士は適正な等級認定のほか、加害者に対する後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの損害賠償請求のサポートをします。
ただし、弁護士も何も証拠のない状況からの後遺症認定ができる訳ではないので、弁護士に病院への通院の指示などについては遵守するようにしましょう。

症状が重いにも関わらず、後遺症が認定されなかった例としては以下のような例があります。

  • 病院への通院が少ない、短い
  • 接骨院にしか通っていない
  • 痛い箇所すべてについて検査をしていない
  • そもそも非協力的な病院で後遺症診断をしてくれない

こうした事態を回避するためにも弁護士にきちんと相談して、指示を仰ぐようにしましょう。

3-5.裁判に発展した場合の弁護活動

示談の内容がまとまらない場合、裁判に発展するケースも想定されます。

裁判に発展した場合、弁護士は訴訟手続きの代理人として、証拠収集や主張立証、法的根拠に基づいた主張を裁判で行います。

4.交通違反・交通事故に関するトラブルは、弁護士に相談しよう

交通違反・交通事故が発生した場合、特に以下に該当する方は、法的リスクを減らすためにも早急に弁護士へ相談するべきです。

  • 違反者:重大な交通違反をしてしまった場合、交通違反が数回にわたる場合
  • 加害者:示談がまとまりそうにない場合、損害賠償請求額に納得いかない場合
  • 被害者:示談がまとまりそうにない場合、損害賠償請求額の算定が難しい場合

特に、道路交通法に関する実績が豊富な弁護士を見つけることがとても重要になりますが、カケコムでは、ネットで簡単に交通事故の分野が得意な弁護士を即時予約でき、最短2時間半後には相談可能です。早期の対応が解決への近道ですので、ぜひ今すぐカケコムで相談を予約してください。

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