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大手ゲーム会社でプロデューサーも経験。街の弁護士、エンタメ業界の顧問弁護士として活躍/貞永憲佑弁護士(貞永法律事務所)

大学卒業後は民間企業に就職したものの、お母様の交通事故をきっかけに弁護士を目指したという貞永先生。弁護士になり千葉県内の法律事務所に所属した後、大手ゲーム会社の社内弁護士、ゲーム制作現場のプロデューサーとしても活躍。独立後は地域の身近な法律問題を扱う弁護士として、さらにゲーム・アニメ・声優業界などの顧問弁護士として、マルチに活躍されています。

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弁護士を目指した理由とこれまでについて

これまでの経歴について教えてください。

ルーツは山口県ですが、父の転勤の関係で引っ越すことが多く、中学・高校時代は千葉県で過ごしました。

そして早稲田大学法学部を卒業後、本田技研工業(株)に就職して約2年間勤務しました。

その後、弁護士を目指して会社を退職し、専修大学法科大学院(ロースクール)に進学して弁護士になり、2013年から約3年間千葉県内の法律事務所に所属しました。

2016年には(株)セガに転職して、社内弁護士とプロデューサーを経験、2019年にはエイベックス・テクノロジーズ(株)に転職してゲーム事業部責任者を経験、2020年に(株)セガ エックスディーに転職して最高法務責任者(CLO)を経験しました。

2020年12月に独立して東京の恵比寿に貞永法律事務所を開設し、2021年に大分県に事務所を移転して現在にいたります。

非常に多彩なご経歴で驚きました。まず弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。

大学は法学部だったのですが、特に弁護士になろうと思っていたわけではないんです。

というのも高校の時に、非常に残酷な事件なのに死刑にならないというニュースを見て、「こんなひどいことをして、どうして死刑にならないんだろう?」と疑問に思ったんです。それで法学部に行って法律を学んでみようと思いました。私は自分の人生における重要な決定については、けっこう情動的に動くことがあって、まさにそのときの決断がそうでしたね。

大学に入ってからは、ベンチャー企業でデータベースを制作するアルバイトなどが楽しくて、特に弁護士になろうとは思いませんでした。

卒業後に就職した本田技研工業(株)では、法務部で製造物責任に関する訴訟を担当していました。訴訟といっても、当時は弁護士ではなかったので、あくまでも社内の担当者としての対応です。

そんな中、母が自転車を運転中に事故に遭い、さらにその手術中に医療過誤に遭って後遺症が残ってしまったんです。そこで弁護士に依頼して裁判をしたものの、残念ながらよい結果にはなりませんでした。

そのときに、自分は法学部を出て法務部で働いているのに、大切な家族のためになにもできないことが悔しかったんです。それで一念発起して弁護士を目指すことにして、会社を辞めて法科大学院へ進みました。

弁護士になって入所された事務所では、どういった仕事をされていましたか?

いわゆる「マチ弁」として、民事事件を中心に幅広く取り扱っていました。ただ仕事をする中で、なにか自分の強みになる分野を持たなければと思いました。

それでゲームが好きだったこともあり、大手ゲームメーカーである(株)セガに転職して社内弁護士になりました。

社内弁護士になってからは、どういった仕事をされていたのでしょうか?

最初は弁護士として法律関係を担当していたのですが、社内コンペに参加して企画が賞を取ったことがきっかけで、法務部から制作部へ異動になってプロデューサーを任されるようになりました。

プロデューサーにも色々ありますが、私の場合は、ゲームのストーリーやキャラクターを作ったりする仕事ではなく、予算を取ってきて配分したり、一部の業務を外注する仕事を全般的に担当していました。

もちろん非常に面白い仕事だったのですが、自分が担当できるのは全体の一部に過ぎず、最初から最後まで全体を担当できる仕事をしたいと思うようになりました。

そんなときに、エイベックス・テクノロジーズ(株)から声をかけていただいて転職しました。そこで自分のやりたい仕事ができると思った矢先、コロナ禍によって新規事業が一斉にストップしてしまったんです。

どうしようかと悩んでいたところ、(株)セガ在職中に立ち上げにかかわった(株)セガ エックスディーで法務の責任者(CLO)が必要だということでお声がけいただき、再びセガに戻ることにしました。

その後、弁護士として独立されたのはどういった想いだったのでしょうか?

ゲーム業界をよくわかっていて、しかもプロデューサー経験のある弁護士というのはまずいないので、セガに所属していても様々な相談を受けたり、エンタメ業界の知人から顧問弁護士になってほしいという打診が絶えなかったんです。

そこで、セガに所属しながら東京の恵比寿に事務所を構えて、セガと利害関係のない範囲で弁護士業務をしようと思ったのが理由です。

大分県に移住されたのは、どういった想いだったのでしょうか?

当時はコロナ禍の真っ只中で、顧問先とのやりとりがどんどんリモートになっていったんです。

そうなると全国どこにいても仕事ができますし、人が多い東京にいる不安も感じていたので、親族とのつながりもあって好きな街である宇佐市に移住して事務所を開設しました。

そして移住のタイミングでセガを退職して、弁護士一本にしぼりました。

現在の業務について

現在、注力している分野を教えてください。

まずは相続、交通事故、離婚、インターネット上の誹謗中傷など、地域の皆様の身近な法律問題に力を入れています。また、地元の中小企業や動物病院などの顧問弁護士も務めています。

他方、東京でのつながりや経験を生かして、ゲームやアニメの制作会社、声優事務所などの顧問弁護士業務にも力を入れています。今でも、顧問先の6割くらいが関東ですね。

地域の弁護士としての活動、ゲーム業界などに強い弁護士としての活動、どちらも力を入れていらっしゃるのですね。

そうですね。一見全く違うことをしているように見えるかもしれませんが、実は自分の中では一貫した軸があります。

それは、いかに自分が描いたシナリオ通りの結果を引き出せるかということです。

その軸は、一本何十億もかけるゲーム制作でも、個人からの相続や離婚といった依頼でも変わりません。私にとって、規模の大小は全く関係ないですね。

私は好奇心も非常に強いので、宇佐市に来て全く知らなかった業界や法律問題に出会えたこともやりがいになっています。

元々弁護士になりたいと思ったのは、身近なトラブルで困っている人を助けたいという想いでしたから、今まさに、そこに近づいている感覚もあります。

弁護士として、どういったことを大切にされていますか?

まずは、トラブルを防ぐことです。企業であれば契約書をちゃんと作る、新規事業を立ち上げるのであれば周辺の法律を調べるといったことです。個人でも、契約書や遺言書を作るといった予防策は色々あります。

ただ特に企業の場合は、トラブルを防ぐことばかり考えていては、事業として前に進めません。ですから私は、リスクは指摘しながらも、それが許容できるリスクなのか致命的なリスクなのか、そしてリスクが現実化した場合にどう対処するかまで考えて、アドバイスするようにしています。

一方起きてしまったトラブルに関しては、ただ解決するだけでなく、解決後のことも考えて落とし所を考えるようにしています。

たとえば、依頼者の感情に委ねた弁護活動のみをしてしまうと、いたずらに紛争を拡大させてしまい、解決自体が遠のくことがあります。

そのときはそれでよくても、いわゆる予後(事件終了後)の人間関係が続く場合もありますし、感情的なわだかまりばかりが残ってしまうことがありますよね。

ですから、法律的な主張の前に、依頼者の心情にも弁護士自身がしっかりと向き合って活動することが望ましいと考えています。

そういった先のことも考えて、じっくり依頼者と話をして方針を決めるようにしています。

先生の強みや事務所の特徴を教えてください

自分では自覚はないのですが、色んな人のことを好きになり、そして色んな人から好かれるので、周囲からは「人たらし」と言われることがあります。

もちろんよい意味で言っていただいていると思いますが、人の懐に入ったり、人を引きつける力があるのかなと思います。

先生が取り組んでいるIT化について教えてください。

特別なことはしていませんが、事務所内ではSlackを使って連絡をしています。依頼者との連絡は、先方が使いやすいツールを使えるようにしています。

案件に関する資料は、あえてデータ化せず紙ベースで仕事をしています。

今後の目標など

今後の目標などをお聞かせください。

弁護士業界は、やや商業化が進んでいる印象を受けます。もちろんそれ自体を否定するわけではありませんが、行き過ぎてしまうと、儲かる案件だけ引き受けて、儲からない案件は引き受けないということになりかねません。

しかし弁護士の仕事は、人の権利や財産を守る側面や公的な側面もありますから、そういうことではいけないと思います。

もちろん私も生活がありますから、採算度外視というわけにはいきません。

ただそれでも、経済的な大きなプラスが出る案件、そうでない案件どちらも引き受けて、平均するときちんと生活できる収入を得られればよいと思います。

ですから今後も、商業化する弁護士業界にあらがっていきたいと思っています。

相談を考えている方へ一言お願いします。

こうして自分の事務所を構えてわかったことですが、大分には我慢強い方が多いです。もちろんそれがよい面もありますが、我慢に我慢を重ねて、どうしようもなくなってから相談に来られる方も少なくないんです。

そうなると、法律的に手遅れなこともありますし、もっと早く相談いただければトラブルが大きくならずに済んだという場合も多いんです。

相談したからといって必ず依頼する必要はありません。我慢せず、なにか不安や疑問があったら、とにかく一度ご相談ください。

弁護士情報

弁護士名:貞永 憲佑
所属弁護士会:大分県弁護士会
事務所名:貞永法律事務所
事務所HP:https://sadanaga-law.com/
事務所住所:大分県 宇佐市大字辛島199-1 MIRAI・B

経歴:
早稲田大学法学部
本田技研工業(株) – 北米訴訟法務に従事
専修大学法科大学院
2013年 弁護士登録、千葉県内の法律事務所へ入所
(株)セガ – 社内弁護士とプロデューサーを経験
エイベックス・テクノロジーズ(株) – ゲーム事業部責任者
(株)セガ エックスディー 最高法務責任者(CLO)
(株)Kay Production 取締役 ※現職
貞永法律事務所 弁護士 ※現職
弁護士法人ネクセル総合法律事務所との業務提携 ※現職
福岡インディーゲーム協会 理事 ※現職

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