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薬物で逮捕されると?罰則や関連する法律、所持、使用で罪状などが変わるのか?

【この記事の法律監修】
藤田 圭介(大阪弁護士会)
弁護士法人・響 大阪オフィス 

「家族が薬物の所持で逮捕されてしまった。面会できず事情もわからない」
「知人が大麻の使用で逮捕された。好奇心からつい手を出してしまった自分も逮捕されるかもしれない」

薬物の乱用は一部の人たちだけの特別な問題ではありません。薬物の売買にSNSが利用されるようになり、青少年の検挙者が増えています。自分自身や家族がトラブルに巻き込まれてしまう可能性は誰にでもあるのではないでしょうか。

薬物で逮捕されるとその後はどうなるのか、薬物は体にどのような影響があるか、薬物についての主要な法律である覚醒剤取締法・麻薬及び向精神薬取締法・大麻取締法等について解説します。
この記事を読むことで、薬物事件のことがわかり、逮捕されたとき家族がすべきこと、逮捕されるかもしれないときの対応がわかります。

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1.薬物で逮捕されるとどうなるのか?

薬物で逮捕されると、被疑者はその後どうなるのでしょうか?逮捕された後の警察・検察の手続の流れから刑事裁判までのプロセスを解説します。

1-1.逮捕後の流れ

警察では、逮捕後48時間以内に被疑者を釈放するか、検察官に送致する手続をします。
被疑者の身柄が検察官に送致された場合、検察官は被疑者を起訴するか、釈放するか、裁判官に勾留請求するかについて、身柄が送致されてから24時間以内、逮捕時から72時間以内に判断します。
逮捕から最長72時間、警察で身柄を拘束されている期間に接見できるのは弁護士だけです。家族でも面会することは難しいでしょう。弁護士が接見すれば、事件の概要や今後の見通しがわかる可能性があります。

1-2.勾留期間

勾留とは身柄を拘束することです。検察官は、捜査のために被疑者の身柄の拘束が必要な場合は、裁判官に勾留請求します。
裁判官が、被疑者に犯罪の嫌疑があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるため勾留が必要と判断した場合、勾留が決定されます。
拘留は10日間です。しかし、やむを得ない事情がある場合、検察官の請求によってさらに10日まで延長されることもあります。

1-3.起訴・不起訴の判断

起訴する権限を持っているのは検察官だけです。検察官は、被疑者が罪を犯した疑いがない場合や、嫌疑が十分でないと判断した場合は不起訴とします
嫌疑が十分にある場合でも、犯罪の軽重や事情、被疑者の性格・年齢・境遇なども考慮して起訴が不要と判断した場合は起訴猶予とすることがあります

1-4.逮捕後に家族がすべきこと

逮捕期間は最大で72時間、勾留期間は最大で20日間ですので、逮捕から起訴・不起訴が決まるまで最大で23日間です。
日本では、起訴された事件の有罪率は99%を超えています。しかし、検察官が起訴する事件は全体の37%です。
つまり、逮捕後72時間以内の刑事弁護活動が非常に重要なのです。もし家族が逮捕されてしまった場合は、すみやかに弁護士に相談しましょう。

1-5.刑事裁判

被疑者の嫌疑が十分にあり、検察官が起訴することを相当と判断して公訴を提起すると刑事裁判の手続きが始まります。弁論手続や証拠調べ手続によって証拠や供述内容が検討され、判決が下されるという流れです。

被告人が有罪となった場合、裁判所は量刑を決定します。懲役・罰金など刑の種類と、懲役の期間・罰金の金額などを決めることです。
執行猶予がつく場合とつかない場合があります。懲役1年で執行猶予がつかない実刑判決だった場合、被告人はただちに刑務所で服役しなくてはなりません。執行猶予がついた場合、執行猶予期間中に再び罪を犯すことがなければ懲役の執行を受けなくてすみます。

2.薬物は体にどのような影響があるか?

薬物の乱用が禁止されているのは、薬物が人の体や心に悪影響を及ぼすからです。軽い気持ちで手を出してしまうと、薬物の依存性によってやめたくてもやめられなくなり、使用するうちに耐性ができて使用量が増えてしまいます。

2-1.覚醒剤

覚醒剤にはアンフェタミン、メタンフェタミンなどがあり、国内ではメタンフェタミンという覚醒剤が多く流通しています。
メタンフェタミンは覚醒作用と食欲を抑える作用があります。高揚感を得られるもののすぐに消えてしまうため反復使用に陥りやすい薬物です。
長期に渡って使用すると、脳の感情や記憶を司る領域に大きな影響を与え、攻撃的な行動、被害妄想、幻覚などの症状が出ます。使用を中止して1年以上経てば症状が治まる場合もありますが、長く使用を中止しても回復しない場合があります。

2-2.麻薬

麻薬にはヘロイン、MDMA、コカインなどがあります。

(1)ヘロイン

ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)はモルヒネを原料として合成された薬物です。モルヒネより心身への悪影響が大きく、危険な薬物です。

多幸感があるものの続いて不快感や眠気、判断力の低下が起こり、過剰に摂取すると昏睡や呼吸抑制から死に至ることもあります。

(2)MDMA

MDMAを使用すると親近感や高揚感、他者との共感が得られますが、吐き気、筋肉のけいれんなどの影響もあります。
たくさん服用すると体温調節機能に影響を及ぼし、体温の急上昇によって肝不全、腎不全、心不全を引き起こし、死亡するケースもあります。

(3)コカイン

コカインは、コカという植物の葉から作られる精神刺激薬です。局所麻酔作用や血管収縮作用があり、局所麻酔という医療目的で使用されることは許可されています。
高揚感や覚醒状態が得られますが、持続時間が短いため繰り返し乱用されやすい薬物です。

2-3.大麻

大麻の花や葉に含まれる「テトラヒドロカンナビノール」という成分が脳に作用して、さまざまな悪影響が出ます。マリファナは大麻を乾燥させたものです。
短期的には時間や空間の感覚のゆがみ、学習能力の低下や運動障害の症状が現れ、長期的に使用すると統合失調症などの精神障害を発症しやすくなり、耐性ができるため薬物依存に陥ります。
インターネット等で「大麻は有害性や依存性がない」という情報がありますが、誤りです。海外では大麻の成分が含まれたクッキーやチョコレートも売られているようですが、口にしないよう注意しましょう。

2-4.指定薬物

指定薬物は厚生労働大臣が指定した薬物のことです。中枢神経を興奮させ、または抑制し、幻覚が見える可能性が高いので、人体に使用されると危害が発生する恐れがあります。

3.薬物で処罰の対象になる行為とは?

薬物の乱用は、使う人の心と体に影響があるだけではありません。薬による幻覚や妄想が交通事故や傷害事件の原因になることがあります。また、薬を入手するためのお金が必要で犯罪行為に手を染めてしまう人もいます。
このような悪影響から国民を守るため、薬物についてのさまざまな行為が法律で規制されているのです。薬物とどのようにかかわると処罰されるのか見ていきましょう。

3-1.処罰の対象となる行為

薬物に関する下記の行為は法律で処罰されます。

  • 所持 覚醒剤・大麻・麻薬・向精神薬・あへん・指定薬物を持っている。 向精神薬については譲渡目的の所持に限る。
  • 使用・施用 覚醒剤・大麻・麻薬・あへん・指定薬物を自分で摂取したり他人に摂取させたりする。
  • 譲渡 覚醒剤・大麻・麻薬・向精神薬・あへん・指定薬物を売ったり、無償であげたりする。向精神薬については譲渡に限る。
  • 譲受 覚醒剤・大麻・麻薬・向精神薬・あへん・指定薬物を買ったり、無償でもらったりする。
  • 輸出・輸入 覚醒剤・大麻・麻薬・あへん・指定薬物を日本から持ち出したり、持ち込んだりする。指定薬物は輸入に限る。
  • 製造 覚醒剤・麻薬・向精神薬・指定薬物を作る。
  • 栽培 大麻草・麻薬原料植物・けしを育てる。

3-2.所持と使用で罪状は変わるのか?

薬物を所持するとは、麻薬を取り扱う資格のない者が麻薬を持っていたり、自宅に保管していることです。薬物を使用するとは、自分に使うことだけでなく、人に頼まれて他者に注射した場合も含まれています。

覚醒剤については、所持でも使用でも罰則は変わりません。コカイン、MDMA等の麻薬についても所持と使用で罰則は同じです。

大麻取締法では、これまで大麻使用について罰則がありませんでしたが、大麻取締法と麻薬及び向精神薬取締法の一部改正を受け、大麻の所持だけでなく使用についても刑罰が科されることになりました。

3-3.所持と使用の量、薬物の形状は成立要件に関係するのか?

薬物はたとえ少量でも所持したり使用したりすることは違法です。大量に所持していた場合は、営利目的であるとみなされ、厳しい刑罰が科される可能性があります。

薬物には錠剤・液体・粉末・結晶など、さまざまな形状のものがあります。大麻は葉・大麻ワックス、大麻リキッドなどです。どのような形状でも違法薬物であることが証明されれば法律違反です。

4.薬物に関する主要な法律とは?

薬物に関する法律としては下記のものがあります。

  • 覚醒剤取締法
  • 麻薬及び向精神薬取締法
  • 大麻取締法
  • あへん法
  • 毒物及び劇物取締法
  • 医薬品医療機器等法

この記事では覚醒剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法について解説します。

4-1.覚醒剤取締法

覚醒剤取締法は、覚醒剤の濫用によって保健衛生の危害が発生することを防止します。
覚醒剤や覚醒剤原料を輸出や輸入すること、所持すること、製造すること、譲り渡したり譲り受けたりすること、使用することについて必要な取り締まりをすることを目的としています。
覚醒剤取締法の主な規制対象はアンフェタミン、メタンフェタミン等の覚醒剤です。

(1)覚醒剤取締法の罰則

覚醒剤取締法の罰則は下記のとおりです。営利の目的はなく、所持や使用していた場合は10年以下の懲役となります。

 

違反態様

罰則

条文

覚醒剤取締法

輸出・輸入・製造

【営利目的なし】

1年以上の懲役

第41条第1項

【営利目的あり】

無期若しくは3年以上の懲役

情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金

第41条第2項

譲渡・譲受・所持・使用

【営利目的なし】

10年以下の懲役

第41条の2第1項

【営利目的あり】

1年以上の懲役

情状により1年以上の懲役

及び500万円以下の罰金

第41条の2第2項

引用:覚醒剤取締法 | e-Gov 法令検索

(2)覚醒剤取締法の公訴時効

覚醒剤の製造や輸出入の公訴時効は10年、営利目的での製造や輸出入については15年です。

覚せい剤の所持・使用・譲渡・譲受などの公訴時効は7年、営利目的がある場合は10年です。

(3)初犯の場合の罰則

覚醒剤を所持または使用した初犯では、刑罰の相場は「懲役1年6ヵ月、執行猶予3年」程度です。他方で、営利目的での譲渡または譲受の場合は、初犯でも実刑となる可能性があります。

4-2.麻薬及び向精神薬取締法

麻薬及び向精神薬取締法は、麻薬と向精神薬を輸出や輸入すること、所持すること、製造すること、譲り受けること等について必要な取り締まりをすることを目的としています。
また、麻薬中毒患者に必要な医療を施すことなどによって麻薬や向精神薬の乱用によって保健衛生の危害が発生することを防止します。

麻薬及び向精神薬取締法の主な規制対象はヘロイン・コカイン・LSD・MDMAなどの麻薬と向精神薬です。ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)とそれ以外の麻薬・向精神薬では罰則が異なります。

(1)麻薬及び向精神薬取締法の罰則

ヘロインは非常に危険性が高い薬物で、覚醒剤と同程度の重い刑罰になっています。
ヘロインをみだりに所持したり、譲渡や譲受等などを行うと10年以下の懲役となります。

 

違反態様

罰則

条文

麻薬及び向精神薬取締法

ヘロイン

輸出・輸入・製造

【営利目的なし】

1年以上の懲役

第64条第1項

【営利目的あり】

無期若しくは3年以上の懲役

情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金

第64条第2項

譲渡・譲受・所持・施用

【営利目的なし】

10年以下の懲役

第64条の2第1項

第64条の3第1項

【営利目的あり】

1年以上の懲役

情状により1年以上の懲役及び500万円以下の罰金

第64条の2第2項

第64条の3第2項

引用:麻薬及び向精神薬取締法 | e-Gov 法令検索

コカイン・LSD・MDMAなどヘロイン以外の禁止薬物については、みだりに所持・譲渡・譲受などを行うと7年以下の懲役となります。

 

違反態様

罰則

条文

麻薬及び向精神薬取締法

ヘロイン以外

輸出・輸入・製造

【営利目的なし】

1年以上10年以下の懲役

第65条第1項1号

【営利目的あり】

1年以上の懲役

情状により1年以上の懲役及び500万円以下の罰金

第65条第2項

譲渡・譲受・所持・施用

【営利目的なし】

7年以下の懲役

第66条第1項

第66条の2第1項

【営利目的あり】

1年以上10年以下の懲役

情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金

第66条第2項

第66条の2第2項

引用:麻薬及び向精神薬取締法 | e-Gov 法令検索

向精神薬をみだりに譲渡・譲受・所持などを行うと3年以下の懲役となります。

 

違反態様

罰則

条文

麻薬及び向精神薬取締法

向精神薬

輸出・輸入・製造

【営利目的なし】

5年以下の懲役

第66条の3第1項

【営利目的あり】

7年以下の懲役

情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金

第66条の3第2項

譲渡・譲受・所持

【営利目的なし】

3年以下の懲役

第66条の4第1項

【営利目的あり】

5年以下の懲役

情状により5年以下の懲役及び100万円以下の罰金

第66条の4第2項

引用:麻薬及び向精神薬取締法 | e-Gov 法令検索

(2)麻薬及び向精神薬取締法の公訴時効

麻薬や向精神薬の所持・譲渡・譲受・使用などから5年、営利目的だった場合は7年で時効になります。

輸出入や製造などから7年、営利目的だった場合は10年で時効になります。

(3)初犯の場合の罰則

麻薬及び向精神薬については譲渡では、初犯でごく少量しか所持していなかった場合で懲役1年6ヶ月、執行猶予3年程度です。大量に所持していたり輸入をしていた場合は、初犯でも実刑となる可能性があります。

4-3.大麻取締法

大麻取締法は、大麻の用途を研究や繊維・種子の採取に限定し、大麻の取扱いを免許制としています。免許を持たない人が大麻を取り扱うことを禁止し、違反行為に対して罰則を設けた法律です。大麻取締法の主な規制対象は大麻です。

(1)大麻取締法の罰則

大麻取締法には大麻をみだりに所持・譲受・譲渡することは禁止されていますが、これまで使用についての罰則はありませんでした。

大麻取締法
第24条の2:大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
引用:大麻取締法第24条

しかし、令和5年12月に成立した「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が令和6年12月12日に施行されます。
今回の改正で、大麻の不正な使用は、麻薬及び向精神薬取締法における麻薬として禁止され、罰則が適用されるようになります。

 

違反態様

罰則

条文

大麻取締法

輸出・輸入・栽培

【営利目的なし】

7年以下の懲役

第24条第1項

【営利目的あり】

10年以下の懲役

情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金

第24条第2項

譲渡・譲受・所持

【営利目的なし】

5年以下の懲役

第24条の2第1項

【営利目的あり】

7年以下の懲役

情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金

第24条の2第2項

引用:大麻取締法 | e-Gov 法令検索

(2)大麻取締法の公訴時効

大麻事件の公訴時効は、大麻の栽培や輸出入では5年、営利目的での栽培や輸出入の場合は7年です。

大麻の所持・譲渡・譲受の場合の公訴時効は5年、営利目的の所持・譲渡・譲受の場合は7年です。

(3)初犯の場合の罰則

初犯の場合、大麻の所持・譲渡・譲受では懲役6ヶ月~1年、執行猶予3年程度です。
営利目的の輸出入では懲役3年以上、罰金150万円以下です。

5.麻薬及び向精神薬取締法違反事件の判例

麻薬及び向精神薬取締法違反の裁判例を紹介します。

5-1.罪となる事実

被告人は、停車中のタクシー内でコカイン塩酸塩を含有する粉末0.984gを所持していました。

5-2.量刑

  • 懲役1年2月
  • 執行猶予3年
  • コカイン1袋の没収

5-3.量刑の理由

被告人は、社会人ラグビーチームの同僚からコカインを入手して3年ほど前から吸引していたことを認めており、コカイン使用の常習性と依存性は高いといえます。

しかし、逮捕後すぐに犯行を認め反省していること、前科前歴がなく初犯であること、専門家の治療を受けて薬物を絶つと誓っていること、家族の監督が期待できること、勤務先や所属していたラグビーチームを解雇されていること、マスコミで報道されて社会的制裁を受けていることから、執行猶予として更生の機会を与える内容となっています。

令和元年9月26日 名古屋地方裁判所
令和元年(わ)第278号
麻薬及び向精神薬取締法違反被告事件

6.逮捕について

逮捕とは、罪を犯したと思われる人の身柄を拘束することです。職務質問を受けたが簡易検査では疑陽性だったので帰宅を許されたという場合、しばらく経ってから逮捕されることがあります。逮捕の可能性があるとき、どうするべきか見ていきましょう。

6-1.逮捕の種類

逮捕には現行犯逮捕・後日逮捕(通常逮捕)・緊急逮捕があります。
現行犯逮捕は、今まさに犯罪が行われている、または犯罪が行われて間がなく、人違いなどの恐れがない場合に逮捕状がなくてもできる逮捕です。
後日逮捕(通常逮捕)は裁判官が発行する逮捕状によって行われる逮捕です。
刑罰の重い罪を犯したと疑われるが逮捕状を請求する時間がない場合に、被疑者を逮捕した後に裁判官に逮捕状の発布を求めることができます。これを緊急逮捕といいます。

6-2. 逮捕される確率はどの程度か?

令和5年の全国の刑法犯認知件数は703,351件、検挙件数は269,550件、検挙率は38.3%でした。認知件数とは、警察等の捜査機関が犯罪の発生を認知した件数です。
つまり、犯罪が発生したことがわかっていて、犯人が捕まった件数は全体の4割弱ということです。

6-3.予試験(簡易検査)とは?

職務質問等で違法薬物らしき物が発見されたとき、警察は予試験を行います。まず被疑者に予試験について説明し、同意を得て被疑者の面前で実施します。予試験の結果が陽性反応なら違法薬物所持で現行犯逮捕です。
所持品検査で違法薬物が発見されなかった場合、任意で尿の提出を依頼して尿の簡易検査を実施します。陽性反応がでたら現行犯逮捕されます。

6-4: 後日逮捕される可能性はあるか?

現行犯逮捕されなくても、警察に捜査され後日逮捕されることがあります。予試験で陰性や擬陽性だった場合は帰宅を許されますが、その後の正式な鑑定により違法薬物であることが判明した場合などです。

逮捕されると身柄を拘束されます。長期間身柄を拘束されると逮捕されたことがまわりの人に知られてしまい、会社を解雇されたり退学せざるを得ない可能性があるなど、影響は大きくなるでしょう。

逮捕されるかわからない場合は弁護士に相談することをおすすめします。相談の結果、今後逮捕される可能性が高い場合は自首しましょう。
自首すると逮捕される確率が下がり、その後の状況の悪化を軽減できます

6-5: 芋づる式で逮捕される可能性は?

薬物の売人が逮捕された場合、売人のSNSや携帯履歴、購入者リストを警察が入手して捜査を進めた結果、ある日突然警察がやってきて逮捕される場合があります。

逮捕前に弁護士に相談しておけば、逮捕された時に弁護士を指定して接見してもらうことが可能です。弁護士が外部への連絡、取り調べについての助言、学校や勤務先への連絡の配慮要請などを行います

6-6: 逮捕された場合は必ず報道されるのか?

逮捕されたからといって必ずしも報道されるわけではありません。報道するか否かの明確な基準はないと言われています。
被疑者が著名人である場合や重大な事件の場合は実名報道されるケースが多いようですが、被疑者が未成年の場合や一般人の軽微な事件については匿名になるケースが多いようです。
報道を回避したい場合は、薬物事件の経験が豊富な弁護士に相談したほうがよいでしょう。

まとめ

逮捕期間は最大で72時間、勾留期間は最大で20日間、逮捕から起訴・不起訴が決まるまで最大で23日間です。
警察で身柄を拘束されている期間に接見できるのは弁護士だけです。

家族が逮捕された場合、72時間以内の刑事弁護活動がその後の状況を大きく左右します。
逮捕される可能性が高い場合や逮捕されるかわからない場合も、専門家のアドバイスを受ければその後の状況が好転するでしょう。

一日も早く薬物を断ち切り、更生して社会復帰するために、自分一人や家族だけで悩まないで弁護士に相談することをおすすめします。

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