痴漢を弁護士に依頼するタイミンングは?初動対応や冤罪防止、依頼しないことによるリスクは?
【この記事の法律監修】
中間 隼人弁護士(横浜弁護士会)
なかま法律事務所
痴漢容疑は、個人の生活や社会的地位に深刻な影響を及ぼす可能性があります。誤解や勘違いから一瞬にして容疑者として扱われることも珍しくありません。
こうした状況に直面した場合、どう対処すべきか、どのように自分を守るべきかは、誰もが知っておくべき重要な問題です。
痴漢事件を弁護士に依頼すれば、専門家のサポートで権利が守られ、公正な解決が期待できます。精神的な安心を得られ、将来の不安も軽減されるでしょう。もし弁護士に依頼しないと、誤った対応や状況悪化のリスクがあり、被害が拡大する可能性があります。自分の権利を守るチャンスを逃し、問題が長引くかもしれません。
本記事では、痴漢容疑をかけられた際の初期対応や弁護士の選び方を紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
1.痴漢容疑をかけられた際の初期対応
まずは、痴漢を疑われた場合の対処法を紹介します。
1-1.まずは冷静さを保つ
痴漢容疑をかけられた場合、早期の適切な対応が重要です。誤解や不当な告発から自身を守るためには、状況を冷静に分析し、迅速に行動することが求められます。初期対応を誤ると、その後の法的手続きで不利になる可能性があります。
痴漢を疑われても、まずは冷静さを保つことが重要です。誤解を招く可能性があるため、以下のような行動は避けましょう。
- その場から逃げる
- 安易に謝罪する
- 虚偽の自白をする
1-2.弁護士に相談する
痴漢の容疑をかけられた際は、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。逮捕される前や警察に事情を聞かれた時点で、専門家のアドバイスを得ることで、誤解を解消する手助けとなります。
とくに警察の取り調べや記録の作成に関しては、慎重な対応が必要です。警察が作成した供述調書には、署名・押印せずに、弁護士の到着を待ちましょう。
警察の取調べには弁護士を同席させることが可能です。警察とのやり取りは原則として弁護士を通じて行います。これにより、誤解を招くような発言を避け、法的に適正な範囲での対応が可能となるでしょう。
1-3.防犯カメラ映像や証人を探す
痴漢容疑に対抗するための有力な証拠として、防犯カメラ映像や証人の証言は重要です。被害者や駅員との会話を録音するのもよいでしょう。これらの証拠は、当日の状況を客観的に再現する手助けとなります。
事件が発生した場所にカメラが設置されている場合、その映像は重要な証拠となり得ます。ただし、映像データは上書きされる可能性があるため、早急に弁護士と相談し、保全手続きを行うことが重要です。
事件の目撃者を探し、その証言を得ることも重要です。証言が得られる場合は、できるだけ詳細に記録し、弁護士と共有します。証人の証言は、容疑を晴らすための有力な手掛かりとなるでしょう。
2.痴漢冤罪について
痴漢冤罪とは、実際には痴漢行為を行っていないにもかかわらず、誤って痴漢の容疑をかけられる状況を指します。
電車内や公共の場といった密集した環境の中で起こることが多く、被害者の勘違いや第三者による誤解、さらには嘘の告発によって生じる場合があります。痴漢冤罪は、社会的信用を失うだけでなく、生活全般に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、非常に重大な問題です。
2-1.痴漢冤罪の防止策
痴漢冤罪を避けるために、混雑した電車や公共の場では、できる限り他人との身体的距離を保つよう心掛けましょう。また、両手を見える位置に置くことも有効です。具体的には、両手を上げる・吊革につかまる・本を読むなど、周囲から見える位置に手を置くことで、誤解を避けられます。
2-2.痴漢冤罪を主張する場合の証拠集めの方法
万が一、痴漢の疑いをかけられた場合には、防犯カメラ映像や目撃者の供述が証拠となります。駅構内や電車内などの防犯カメラに、事件当時の状況が映っていないか確認したり、近くにいた人に、事件当時の状況を証言してもらえるか確認します。
自身の記憶や状況を可能な限り詳細にメモしておくと、後の説明に役立つでしょう。弁護士と協力することで、より効果的な証拠収集と法的主張が可能になります。
3.痴漢事件の弁護士の選び方
痴漢事件で疑われたり、逮捕されてしまった場合、迅速かつ適切な弁護士選びが最も重要です。
3-1.24時間365日相談を受け付けている弁護士を選ぶ
痴漢事件では初期対応が鍵となるため、24時間365日相談を受け付けている弁護士や、迅速に現場に来てくれる弁護士を選ぶとよいでしょう。早期の相談により、逮捕後に勾留されない可能性を高めることができます。
3-2.痴漢事件に関する実績のある弁護士を選ぶ
痴漢事件はとくにセンシティブな分野であるため、同様の事件を多く取り扱った実績のある事務所を選ぶことが重要です。
また、痴漢事件で不起訴を目指すためには示談が重要です。示談が成立すると、被害者が加害者を許したことで法的手続きを望まない意思を示したと判断され、検察官が不起訴を選択しやすくなります。
過去の裁判結果や示談成立の実績について情報を収集し、専門性が高いかどうかを確認しましょう。事務所のウェブサイトや口コミを通じて、具体的な成功事例を確認することも役立ちます。
4.弁護士への依頼の流れ・費用
痴漢事件での弁護士への依頼は、迅速かつ計画的な対応が重要です。
弁護士に相談する際は、以下のものを準備しましょう。
- 事件の詳細(発生日時、場所、状況)を整理したメモ
- 証拠資料(防犯カメラ映像、目撃者情報)
- 身分証明書
法律手続きの流れとしては、まず初回相談で内容を確認し、その後、示談交渉や裁判の方針を決定します。必要に応じて、示談交渉を進め、成立した場合は不起訴を目指します。
示談が難しい場合には、正式に裁判手続きが始まり、証拠提出や証人尋問を経て裁判が進行します。準備と段取りをしっかりと整えることで、スムーズに手続きを進められるでしょう。
弁護士費用は、依頼する案件の内容や弁護士の経験、地域によって異なります。初回相談時に、見積もりを依頼しましょう。
一般的な痴漢事件における弁護士費用の内訳は以下の通りです。
- 着手金:〜500,000円程度
- 報酬金:200,000円〜500,000円程度
- 相談料:カケコムで予約した場合の相談料の相場は10分2,000円、20分4,000、30分6,000円です。事前決済なので安心して予約できます。
支払いは、カケコム予約での相談料に関してはクレジットカードでの事前決済なので安心して予約できます。
着手金や報酬金は事務所によって異なりますが、現金払い・銀行振込・クレジットカード払いを受け付けている事務所もあります。通常は一括払いですが、事務所によっては分割払いに応じてくれる場合もあります。
5.痴漢で起訴された場合の裁判の流れ
続いて、痴漢で起訴された場合の裁判の流れを見ていきましょう。
5-1.罪名
痴漢は、日本において、迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪で起訴される可能性があります。
例えば、愛知県の愛知県迷惑行為防止条例では、以下のように定められています。
第一条 この条例は、県民、滞在者等に著しく迷惑をかける行為を防止し、もつてその平穏な生活を保持することを目的とする。(中略)
第二条の二 何人も、公共の場所又は公共の乗物(第三項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
引用:愛知県迷惑行為防止条例昭和38年3月27日 愛知県条例第4号(平成31年1月1日施行)
同意わいせつ罪については、以下の通りです。
(不同意わいせつ)
第百七十六条次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。(中略)
3十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
引用:e-Gov法令検索 刑法(明治四十年法律第四十五号)
5-2.裁判の流れ
痴漢で起訴された場合の裁判の流れは、以下の通りです。
- 起訴
- 刑事裁判
- 判決
まず、痴漢の容疑で検察官から起訴されます。起訴されると、裁判が開始されます。初公判の前に、公判前手続きが行われることがあります。ここでは、弁護士と検察官が証拠や主張の整理を行い、裁判の進行をスムーズにするための取り決めを行います。
初公判では、裁判官が起訴状を確認し、被告人に対して罪状の認否を求めます。被告人は痴漢の事実を認めるか否認するかを答えます。検察官が証拠を提出し、証人の証言を求めます。弁護側もこれに対抗して反論の証拠を提出したり、証人尋問を行ったりします。
すべての審理が終了した後、裁判所は判決を言い渡します。判決では、有罪か無罪か、また、有罪であればどのような刑が科されるかが示されます。
6.痴漢事件の社会的な影響について
痴漢事件は、被害者にとって深刻なトラウマとなるだけでなく、加害者にとってもその後の人生に大きな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、家族への影響と就職・転職への影響を中心に解説します。
6-1.職場や学校への影響
痴漢容疑で逮捕されると、その後数日間から数週間、身柄を拘束されて取り調べを受ける可能性があります。この間は、外部との連絡が制限されるため、本人が直接、学校や会社に連絡を取ることができません。長期身柄拘束によって学校や会社にバレる可能性が高いでしょう。
職場や学校に知られるリスクを避けるためには、その後の生活を守るためには、まず「勾留されないこと」が非常に重要です。
弁護士は相談者に寄り添い、早期釈放を目指します。勾留請求阻止のためには、逮捕後の72時間以内が勝負です。この間に釈放されれば、職場や学校に知られずに済む可能性が高まります。
また、被害者との示談が成立すれば、勾留請求を回避できる可能性が高まります。場合によっては、被害届提出前に示談交渉を進めることもあります。
逮捕時の実名報道は、たとえ後に無罪となっても、その後の生活に大きな影を落とす可能性があります。実名報道を避けるために、警察やマスコミに対して実名を公表しないよう求める意見書を提出することも重要です。
6-2.家族への影響
痴漢事件で家族が受ける影響は、精神的な苦痛、経済的な負担、社会的な立場など多岐にわたります。
家族として、加害者の行為を責めてしまったり、失望感や裏切りを感じたりするかもしれません。また、世間からの好奇の目や心のない言葉に傷つくこともあります。
家族への影響を最小限にするための対策として、弁護士やカウンセラーなどの専門家への相談をおすすめします。専門家に相談することで、精神的な負担を軽減できるでしょう。家族間で、不安や悩みを共有し支え合うことが大切です。
6-3.就職や転職に与える影響
前科があることで特定の職業に就くことが難しくなる場合があります。とくに信頼が重視される職業では、過去の痴漢事件が大きな障害となることがあるでしょう。
現職においても痴漢の前科が知られると、同僚や上司からの信頼が失われる可能性があり、人事評価や昇進に影響を与えることがあります。前科の影響や、就職・転職活動における注意点については、弁護士に相談することをおすすめします。
6-4.冤罪であっても社会的信用の回復が必要
痴漢の嫌疑をかけられると、その事実だけでも周囲から偏見や誤解を持たれやすくなります。たとえ法的に無罪が立証されても、社会や職場、地域社会では偏見が残る可能性があります。
自らの無実を周囲に誠実に伝え、必要に応じて法的な証拠や判決を共有することで、徐々に誤解を解いていくことが重要です。仕事や地域活動に積極的に関わり、信頼の再構築を図ることが助けになります。周囲の理解とサポートがあれば、その傷は少しずつ癒え、再び社会で自信を持って生きていけるはずです。
7.まとめ
痴漢事件において、迅速かつ適切な対応は社会的信用を守るために不可欠です。
弁護士を依頼しなければ、示談交渉が難航するか、不成立に終わる恐れもあります。示談が成立しない場合、刑事裁判に発展する可能性が高まり、前科が付いたり、重い刑罰を受けるリスクが増大します。さらに、逮捕や勾留が長引くことで、職場や学校に事件が知られ、社会的信用を著しく損なう結果となってしまいます。
早期の相談が鍵となるため、カケコムなら最短2時間半後には弁護士と相談可能なシステムを整えており、迅速な解決を目指すならネットでの即時予約がおすすめです。
弁護士から法的支援を受けることで、事件に巻き込まれたストレスや不安から早く解放され、仕事や家庭に専念できるようになります。結果として、心の安定を取り戻し、明るい未来に向かって新たな一歩を踏み出せます。
まずはカケコムで弁護士への相談を即時予約し、早期解決を目指しましょう。