オンラインでの相談にはどんなメリット・デメリットがある?必要な準備も紹介
かつては来所が当たり前だった弁護士相談も、コミュニケーション手段の発達でLINEやZoomを用いたオンライン相談が増えて来ています。場所を選ばず法律相談できる便利さがある一方で、気になることといえば「遠隔でもちゃんと法律相談できるのか?」
今回は、オンライン相談を導入している弁護士の伊奈さやか先生にオンライン相談の気になるポイントを紹介していただきます。
オンライン相談のメリットとデメリット
コロナ禍がもたらした制限は多数ありますが、一方でteamsやzoomなどのインターネットを利用した対面通話機能が発達したことや、対面でなくても物事を進めることが悪いことではないという風潮が浸透したことは、良かった点と言えるのではないかと思います。
実際、裁判所もWEB期日を積極的に導入しており、現在では、双方東京にいる弁護士が当事者であっても、裁判所に出廷せず、事務所からWEBを利用して期日を行う、ということは当たり前になってきました。
そのような中で、オンラインの相談が増えてきたことも事実です。
改めて、オンライン相談のメリットとデメリットをお話していきたいと思います。
オンライン相談のメリット
オンライン相談のメリットは、
- インターネットにつながっていれば、自宅や好きな場所から相談できる
- 体が不自由な方や、一人で外出が難しい人も相談できる
- 弁護士事務所にいくまでの交通費や時間がかからない
- 自宅に大量の証拠がある場合に、持っていかなくても見せられる
- オンライン相談のほうが、来所相談よりも安く費用を設定している弁護士事務所がある
- 相談の前後に弁護士の移動がないので、相談時間がすべて相談に利用できる
ということがあげられます。
オンライン相談のデメリット
一方、オンライン相談のデメリットは
- 弁護士の人柄がわからない
- 弁護士事務所の雰囲気や様子、事務員の様子がわからない
- オンライン会議になれていない方の場合、緊張してしまう
- インターネットの環境がない場合にはそもそも相談できない
- インターネットの状況が悪いと、途中で切断したり、うまくつながらないまま、時間が終わってしまう
ということがあげられます。
オンライン相談をする上の必要事項
ではこの便利なオンライン相談を有効活用するポイントは、どのようなことになるでしょうか。
当事者双方の情報を明らかにする
弁護士は、受任している事件の相手方からの依頼や、相手方から賛助を受けた事件については、対応することができません。
ですので、多くの事務所が、依頼を受けている場合のみならず、以前に相談を受けた方の相手方にあたる場合についても、相談をお断りします。
そのため、相談の一番はじめに、相談者の方の氏名や住所、そして、わかっている限りでの、相手方となる人や会社の名前や住所をお聞きします。
これをコンフリクトチェックといいます。
このコンフリクトチェックは、オンライン相談でも同じです。
そのため、相談の申し込み時には、このような情報をしっかり事務所にお伝えください。
昨今の個人情報やプライバシー保護の高まりから、このような情報を開示することを嫌がる相談者の方もいらっしゃいますが、相談の前段階として必要ですので、ご理解いただきたいと思います。
また、弁護士は守秘義務がありますので、お聞きした情報を他にもらすこともありません。
ですので、オンライン相談の申し込み時や申し込み前には、当事者の情報を明らかにすることが必要です。
事件の内容、事実、求める結果を予め共有しておく
これはオンライン相談に限ったことではありませんが、相談時間は有限です。
その中で、適切な回答を得るためには、相談前に、事件の内容、事実、求める結果、自分の考えなどを、相談する弁護士に共有しておくことが有用です。
オンライン相談の場合、多くがメールやLINEで相談時間を決めたり、zoomのURLを共有すると思います。
その際に、事前に必要な情報を、弁護士事務所に共有しておくことが必要です。
弁護士の側も事前に事案が把握できて、争点を明らかにすることが可能になったり、問題になりそうな法令や判例を調べてから相談に臨むことができます。
これにより、限られた時間で、効果的かつ最適化された回答を得ることが可能になります。
一方、あまりに長文に事前の事項がなると、弁護士がすべてを理解することが難しくなりますので、簡潔にまとめていただけると、弁護士としては大変助かります。
オンラインで送信できる証拠について
契約書や念書、相手方から送られてきたメールやLINEなどの証拠は、オンライン相談の場合、画面共有機能を利用して共有することが可能です。
場合によっては、チャット欄に貼り付けて、それを弁護士がダウンロードすることもできますし、メールを併用しながら、データのやりとりをすることもできます。
また、弁護士が参考にしているインターネットサイトの共有なども、画面共有で簡単にできます。
そのため、スムーズに相談が進むことが多いといえます。
紙の文書はスキャンが面倒なら来所時に共有した方が良い
一方、紙の文書については、一度読み込んでPDFにしないと、データで共有できず、画面越しに見せることになりますので、共有が難しいです。
また、音声データについても、うまく聞こえないこともあります。
さらにオンライン会議に慣れていない方の場合には、共有の仕方がわからない、ということもありますので、そのような方にとっては、オンライン相談よりも、弁護士事務所に行って相談するほうがよいでしょう。
費用の支払いもオンライン決済でスムーズにできる
弁護士事務所に相談する場合、弁護士事務所がクレジットカード決済やQRコードなどのキャッシュレス決済を導入していないケースがほとんどです。
ですので、相談料として現金を持っていかなければなりません。
しかし、オンライン相談を導入している法律事務所の場合、一部ではありますが、相談料の決済もオンラインで行えるようになっています。
この場合スムーズに会計ができますし、事前に決済しておくことにより、弁護士も費用の話をしなくて済むので、その分の時間と労力を相談に集中させることができます。
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来所が必要になるのはどんな場合?
ここまで、オンライン相談について述べてきましたが、実際に来所が必要になる場合もあります。
一つは、紙や現物の証拠が重要だったり、大量だったりして、オンラインではすべて共有できない場合です。
例えば、遺言書の筆跡が異なるのではないかというような場合、実際の遺言書やその他の文字を直接目でみて、比較することが必要です。
また、商標侵害の物品があるような場合、侵害品と商標登録している商品を見比べる必要もあります。
このほかにも、相続の相談で証拠となる通帳が大量にある、会社間紛争で、紙の契約書や仕様書などが大量にあるような場合にも、オンラインでは共有方法に限界がでてくるので、来所することになります。
もう一つ、来所して相談することが必要になる場合は、弁護士の雰囲気を確かめたいとき、だと思います。
離婚や不貞、その他センシティブな問題を依頼するような場合には、この弁護士が自分とあうか、という相性が特に問題になります。
それには、実際に会うことによって感じられる雰囲気や人柄、話し方、事務所の雰囲気を見て、自分にあうかどうかを見極めることが必要です。
そのほか、弁護士側としてオンライン相談ではなく来所相談にしていただきたい場合は、債務整理先が大量にある場合の債務整理や破産の案件です。これは、ひとつひとつの債権通知を見たり、じっくり話を聞きながら、他にも債権がないか確認する必要が出てくることが多いので、直接お会いして、じっくりお聞きしたいです。