ペーパー離婚とは?偽装結婚とは違う?違法?メリット・デメリット等も弁護士が解説
ペーパー離婚という言葉を聞いたことがありますか?ペーパー離婚とは、法律婚状態から事実婚状態になるために離婚届を提出することです。本記事では、ペーパー離婚とは何かや、メリット・デメリットについて解説します。特に夫婦別姓にしたい方は必見です。
「ペーパー離婚を考えているが、どんな手続が必要なのか知りたい」
「婚姻関係契約公正証書を作成したい」
といった場合は、弁護士に相談することで下記のようなメリットを得られる可能性があります。
弁護士に相談するメリット
・ペーパー離婚に伴う必要手続き等を教えてくれる。
・依頼者のご意向を丁寧に汲み取り、法的に有効な婚姻関係契約公正証書を作成してくれる。
・分からないことがあれば、丁寧に回答してくれる。
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ペーパー離婚とは
ペーパー離婚とは、法律婚状態から事実婚状態になるために離婚届を提出することです。
離婚により姓を変えた夫婦の一方が、旧姓に戻すために行うことがほとんどでしょう。
実際には離婚をしても、夫婦関係は継続しており、あくまでも戸籍上のみでの離婚となります。
偽装離婚との違いは?ペーパー離婚は違法じゃないの?
ペーパー離婚は、「偽装離婚」とは区別されます。
偽装離婚は生活保護の不正受給など、不当な経済的利益を目的とし、公正証書原本不実登記罪等の犯罪が成立し得るものを一般的に指します。
反対にペーパー離婚は、結婚により姓を変えた者が旧姓に戻すためなど、正当な目的のために行う適法な行為といえます。
偽装離婚については、以下のサイトも参考にしてみてください。
ペーパー離婚のメリット
さらに詳しく、ペーパー離婚のメリットとデメリットを見ていきましょう。まずはメリットからです。
ペーパー離婚のメリット(1) 夫婦別姓を実現できる
ペーパー離婚は、夫婦別性を実現できるのが最大のメリットといえます。
通常、期間内に旧姓に戻さない手続きをしない場合には、離婚をすると自動的に旧姓に戻ります。
そのため、公的書類や仕事などにおいて、結婚前の名義からの変更を望まない場合や、夫婦の独立を尊重する場合等に、ペーパー離婚は有効です。
特に結婚後もお互いに仕事をしている場合は、夫婦別性だと婚姻前のキャリアを引き継ぎやすいかもしれません。
ペーパー離婚のメリット(2) 民法上の拘束から解放される
ペーパー離婚は民法上の拘束から解放されるのもメリットです。
夫婦別姓をはじめとする夫婦間の法的拘束から逃れることを望み、法律上の夫婦であることを望まない場合には良いでしょう。
ペーパー離婚をする夫婦は、たとえ子供を保育園に預けていても、一緒に生活をしていても、夫婦という縛りから抜けたいと考える人は少なくないのです。
ペーパー離婚のメリット(3) 旧姓名義の公的書類を得られる
ペーパー離婚のメリットとして、旧姓名義の書類を引き続き使用できることも挙げられます。
- 出張先のホテル・飛行機の予約とパスポートの名義を一致させる必要がある場合
- 仕事などでの名義と公的書類の名義を合わせる必要がある場合
などはペーパー離婚で旧姓に戻る方が良いかもしれません。
ペーパー離婚のデメリット・注意点
ペーパー離婚のメリットの次に、デメリットや注意点も確認しましょう。
ペーパー離婚のデメリット・注意点(1) 配偶者の法定相続人にはなれない
ペーパー離婚をすると、ペーパー離再婚をしない限り配偶者の法定相続人になることはできません。
「民法上の拘束から解放される」ということは、「民法による保護を受けられない」ことと表裏一体でもあります。
「事実婚」というのは、事実上の婚姻関係であり、民法で保護される「法律婚」ではありません。
そのため、事実婚の配偶者には、法律婚と違って相続権が否定されてしまうのです。
以下のように、遺言書を作成することで一定の救済も可能ですが、「夫婦別姓にしたいけど、民法の保護は受けたい」という方は、ペーパー離婚をせずに、通称を使用する形で夫婦別姓にする、という選択肢もあります。
ただし、遺言により法定相続権がある場合と同等の状態にすることは可能です。
もし遺言書を作成する場合には、自筆で作成することも可能ですが、遺言公正証書として作成することがおすすめです。
公正証書にすることにより、法的な有効性が担保されるからです。
遺言公正証書を作成する際には、法的に有効となる内容で作成する必要があるため、作成する前の段階で弁護士等の専門家に相談してみることがおすすめです。
ペーパー離婚のデメリット・注意点(2) 戸籍に離婚歴がつく
ペーパー離婚は戸籍上だけでの離婚だと言っても、離婚は離婚です。そのため、ペーパー離婚をすると戸籍にバツがつきます。
戸籍に離婚歴がつくのはペーパー離婚のデメリットといえるでしょう。
さらに、ペーパー離再婚なら、手続きごとに離婚歴がついていくのでバツ2、バツ3、と離婚の記録が増えていってしまいます。
ペーパー離婚のデメリット・注意点(3) 手続きに手間がかかる
ペーパー離婚をするためには、離婚届を提出しなければなりません。
その際には、子供の保育園への手続きなども行う必要があり、面倒に感じることもあるでしょう。
ペーパー離婚のデメリット・注意点(4) 世間からの理解を得難い
ペーパー離婚は手続きのためとはいえ、単にたくさん離婚している人、と見られてしまう可能性があります。
そのため、周囲からの理解を得難いかもしれません。
ペーパー離婚をする際の手続き
続いて、実際にペーパー離婚をする際に必要となる手続きについて、ご紹介します。
離婚届を提出する
前述した通り、ペーパー離婚をする場合は通常の離婚と同じ手続きを行う必要がありますので、まずは離婚届を提出しましょう。
本人確認書類の変更手続き・名義変更手続き等を行う
ペーパー離婚をした場合、特に手続きをしなければ自動的に旧姓へ戻ります。
そのため、旧姓に戻す場合には、パスポート等の本人確認書類の変更手続きや、車や不動産等の名義変更を必要に応じて行う必要があります。
そのため、離婚届を出したら、各種手続きを忘れずに行うようにしましょう。
もし旧姓に戻すか戻さないかを検討している場合や、旧姓に戻した後に必要となる具体的な名義変更等の手続きを知りたい場合は、ぜひ下記の記事を参考にしてみてください。
事実婚の契約を明確にする場合は婚姻関係契約公正証書を作成する
ペーパー離婚の場合は、離婚後に事実婚状態となります。
その際、事実婚状態での生活の中で、財産はどうするのか、子供の認知等についてどうするのか、もし別れる場合には離婚条件をどうするのか等を明確にしておきたい場合には、婚姻関係契約公正証書を作成するのがベターです。
口頭だけで話し合って約束ごとを決めるのも良いと思いますが、それではいざ別れることになった場合等に、言った言わない論争になってしまうリスクがあります。
また、ご自身で契約書を作ったとしても、それが法的に有効でない内容になっている可能性があります。
そのようなリスクを避けたい場合は、しっかりと弁護士等と相談をしながら、婚姻関係契約公正証書を作成していくようにしましょう。
カケコムには初回の法律相談を無料で受け付けている弁護士も登録していますので、「一旦相談だけでもしてみたい」といった方もぜひ一度ご相談ください。
ペーパー離婚はトラブルになってしまうことも
ペーパー離婚は、後々トラブルになってしまうことも少なくありません。
実行する際には慎重になる方が良いでしょう。
ペーパー離婚を考えているなら弁護士に相談を
ペーパー離婚を考えているのなら、専門家である弁護士にまずは相談することをおすすめします。
事実婚は民法が直接適用されないので、自分たちで話し合って決めるべき点が多いです。
後々トラブルにならないためにも、法律の専門家である弁護士に相談することが重要になってくるでしょう。
まとめ
ペーパー離婚には、様々なメリットとデメリットがあります。
別性になれるメリットもありますが、周囲からの理解がない、保育園等への手続きが面倒、というデメリットが多いのも事実。
別性を考えているのなら、まずは弁護士に相談をしましょう。
ペーパー離婚は仕事などでメリットがある一方、トラブルの原因や保育園など子供に悪影響が出るデメリットもあるので、慎重に行動するのがベスト。
弁護士に一番良い方法を聞き、ペーパー離婚という方法だけに囚われないことも大切です。
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