強制認知は避けられる?強制認知を請求された際の適切な対処法を解説
不倫相手や交際相手が妊娠。そんなとき、「認知から免れることはできるのか」と考える人は少なくないでしょう。この問いに対する答えを得るためには、まずは、強制認知(裁判認知)という制度について知る必要があります。
「不倫相手が妊娠してしまい、強制認知され困っている」
「不倫相手から強制認知されそう」
といった問題でお悩みではありませんか?
そんな方は、男女問題に強い弁護士にご相談いただくことで、様々なメリットを得られます。
弁護士に相談・依頼するメリット
・強制認知を避けられるのか、避けるためにはどうしたらいいかなどのアドバイスをくれる
・相手との交渉を代理で行ってくれる
・強制認知せざるを得なくても、養育費などの条件を少しでも有利なものにできる
不倫相手や交際相手から強制認知を請求されたら
不倫相手や交際相手との間に子供ができてしまった場合、認知するかしないかという話になってきます。
認知とは、民法779条にある下記のことを指します。
民法779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
「父又は母」が認知できると書いていますが、母子関係があることは分娩の事実から明らかですので、事実上認知できるのは父親だけです。
養育費を支払う余裕がない人はこの認知を避けたいと思うかもしれませんが、認知の中には「強制認知」という手続きがあります。
この強制認知を不倫相手から請求された場合、認知から逃げることはできないのでしょうか。
今回は、そもそも強制認知とは何かや、強制認知から逃れるにはどうすれば良いかを解説します。
不倫相手が中絶費用が払えないとなった場合には、こちらの記事が参考になります
中絶費用が払えないときはどうする?保険や助成金は使えるの?|いますぐキャッシュミー
強制認知とは
「強制認知」とは、簡単にいえば認知から逃げることを禁止する制度です。
具体的にいうと、裁判所が子供やその母親などからの認知請求を認め、子と父親との法律上の親子関係を強制的に成立させる手続きです。
下記の通り、子や、その直系卑属にあたる孫、その法定代理人にあたる親権者などが認知請求をすることができます。
民法787条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父…の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
前述した、認知に関する民法779条には、認知請求することが「できる」と書いているだけなので、父親が父子関係を認めず、任意認知をしない場合もあります。
父親が任意認知を拒否した場合に子供は養育費を得られないなどの大きな不利益を被ってしまうため、民法は強制認知を認め、強制的に父子関係を成立させる制度を作ったのです。
強制認知が成立するとどうなるか
- 子どもが親の相続人となることができる
- 子どもが父親の戸籍に入ることができる
- 子どもの養育費を請求できるようになる
- 父親が子どもの親権者となることができるようになる
- 子どもが父親を扶養しなければならない可能性が出てくる
- 母親が子供に父親を知られたくなくても戸籍を見ればわかってしまう
親権に関しては、父親が認知した後、親権管理権届を提出することで父親への親権の移管手続きが完了します。
強制認知から逃げることはできるのか
強制認知から免れるのかという問題についてですが、法律上、基本的に免れることはできません。
下記の通り、父親が死亡してから3年が経過したら認知請求はできなくなりますが、父親が生きている限り認知請求され、認知が成立する可能性があるのです。
民法787条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父…の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
ただ、認知請求をすることができる人は子や孫やその親権者などなので、子や孫が全員死亡していた場合にはもちろん認知請求されることはありません。
しかし、上記のようなことは基本的にあまり起こりえないため、強制認知から免れることができないと考えておくべきでしょう。
また、不倫相手との間で、「子供ができても認知請求はしない」という合意や契約をしていたとしても、下記の判例の通り、子供の認知請求を奪うことはできません。
子の父に対する認知請求権は、その身分法上の権利たる性質およびこれを認めた民法の法意に照らし、放棄することができない
最判昭和37・4・10民集16巻4号693頁
それでは、どうしても強制認知を免れたい場合はどうすれば良いのでしょうか。
どうしても強制認知を免れたいのなら相手を説得するしかない
どうしても強制認知から逃げたいなら、強制認知を控えてもらうよう母親側に訴えかけるしかないでしょう。
理由によっては、正直に話すことで母親側が認知請求を取り下げてくれる場合もあるかもしれません。
母親側が金銭的な理由のみで認知請求をしている場合には、一定の解決金を支払うことを打診してみるのも手段の一つです。
自分で交渉することに自信がなかったり、交渉してもうまくいかなければ、弁護士に頼りましょう。
男女問題が得意な弁護士なら、強制認知を免れる交渉方法や、強制認知を逃れられる示談金の相場をアドバイスしてくれます。
また、結果的に強制認知をせざるをえなかった場合でも、養育費や親権、相続権については改善できる問題が残っている場合があります。
不本意な認知請求をされてしまったら
基本的に認知から逃げることはできませんが、不本意な認知請求をされてしまった場合にはどのように対応すればよいのでしょうか。
自分の子でなければそれを証明する
認知から逃げることはできないといっても、認知請求をされたら必ず父子関係が成立するわけではありません。
というのも、当然、認知により法律上の父子関係が成立する前提として、父子に血縁関係が必要だからです。
そのため、自分の子じゃないといえる場合には、調停や裁判で自分の子でないことを主張、立証しましょう。
現代では正確なDNA鑑定もできるため、自分の子でないことを立証することは容易になってきています。