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趣味も仕事に活かす。弁護士としての強みは、明るく前向きな『楽観的』な性格/石井逸郎弁護士(ウェール法律事務所)

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弁護士を目指した理由とこれまでについて

弁護士を志したきっかけを教えてください。

あまりきっかけはありませんが、大学時代法学部で勉強をしていて、4年では卒業できず、民間企業に就職する意欲もありませんでした。
弁護士業界で活躍されている先輩方と交流する機会があり、私もその道に進んでみようかなと思い、大学在学中に司法試験を受けて、3回目で合格しました。

弁護士登録後、最初に入所された事務所はどのような事務所でしたか?

いわゆる街弁の事務所に約3年在籍しました。

その後、今の「ウェール法律事務所」に移籍されましたが、どういった理由だったのでしょうか?

仲の良い同期の先生がいたので最初からパートナーとして入って、現在に至ります。

弁護士会やロースクールの委員会の活動も多く取り組まれていますよね?

当事務所は第二東京弁護士会の弁護士が多く在籍しているので、弁護士会の委員会活動に積極的なんですね。その流れの中で私も積極的に取り組むようになって、法曹養成制度や司法改革の問題に関わるようになりました。

こういうところが弁護士に向いているなどあれば教えてください。

弁護士として向いている部分は「楽観的」な性格だと思っています。弁護士業務には常に厳しい状況が付き物ですが、私は物事をあまり悲観的に考えません。事件に巻き込まれる当事者の方々は、どうしても悲観的になりがちです。もちろん、無理に励ますことはできませんが、私は常に前向きな展望を持つようにして、少しでも明るい気持ちを持ってもらうことが大事だと感じています。

今のお話しにあった「楽観的」な部分が活きたエピソードや事件を教えてください。

刑事事件で本当は無罪なのに有罪となって起訴されてしまった人がいて、実質無罪を勝ち取った事件がありました。当事者を励ます際、この明るい性格に意味があったと思います。
私、実は10年間歌を習っていて、夏はオペラ、クリスマスのシーズンはヘンデルのメサイアを歌っています。身内を事故で亡くされたご遺族の方を年末のクリスマスコンサートにお招きしたりするんです。その際に、「歌を聞いて心が癒された」と言ってくださったご遺族の方もいらっしゃいました。

趣味を持つことは大事だなと思います。最近、アニメ業界の問題にも関わっています。さまざまなつながりでアニメ業界の関係者から仕事を依頼されるようになり、法的なアドバイスを求められるようになりました。
そのきっかけは、私がガンダムが好きだということでした。アニメ業界の関係者も若いころガンダムに関わっていたという方で、私がアムロ(ファーストガンダムの主人公)のセリフをそらんじてみせたところ、私のガンダム好きが「本物だ」と理解されて、「この人だったらアニメのこと分かってくれるかもしれない」と思ってもらえたからだったんですよね。

だから、若い先生には「趣味を持つのは仕事を取る上でも非常に大事だよ」と伝えたいです。

現在の業務について

現在の先生の強みを教えてください。

2017年に、東京圏雇用労働相談センター代表相談員に就任しました。
安倍政権の働き方改革が進展する中で、国家戦略特区ごとに相談センターが設けられて、中小企業の経営者や労働者の方も日本の複雑な労働法制の問題を無料で相談できる制度ができました。そこに関わるようになり、現在は労働法制の問題に関するアドバイス業務が多くなっています。

相談で多いのは、どのようなものですか?

変わっていく労働法制について、さまざまな問い合わせがきます。相談者の割合は経営者、労働者の半々です。
労働法制は働き方改革の中で昨年は、2024年問題もありました。日本の労働環境は長時間労働がひどく、これをいかに労働生産性を上げるか、労働時間を短く効率的にするにはどうしたら良いのだろうかということで改革が進められています。
また、現場の声を吸い上げて、年に1回全国の各国家戦略特区代表が集まって厚生労働省の職員と議論する機会があります。

現在、弁護士として注力されている分野を教えてください。

前述した相談員の取り組みとリンクしていて、労働問題の専門家としてさまざまな経営者から問い合わせがあります。
2020年から大企業を対象に「ハラスメント対策」が義務化されたことにより、各企業から「どんな対策をしたらよいでしょうか」という相談がきたら、弁護士としてアドバイスへ行くという業務などがは増えています。

今後の目標など

今後注力していきたい部分があれば教えてください。

アニメ業界、エンタメ業界の働き方の適正化、ハラスメント対策に今後注力していきたいと思っています。

アニメ業界の働き方というのは民間企業の働き方と何か違う部分があるのでしょうか?

フリーランスが多いところですね。雇用ではないパターンが圧倒的に多いです。アニメは日本のコンテンツ産業なので、さらなる発展を目指すためにも、アニメ業界の働き方の適正化を図っていかなければいけません。
2024年11月からスタートしたフリーランス法も、まだまだ不十分だという声もありますが、制度ができたことは大きな一歩だと思います。これからみんなで運用してより良いものにさらに改正していくことが重要だと思いますね。

先生が取り組んでいるIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)

先生が取り組んでいるIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)があれば教えてください。

現在は、まだ取り組めていません。これからChatGPTを活用する勉強会に参加しようかなと思っています。

弁護士業界でもChatGPTは話題になっていますか?

もちろん話題になっています。膨大な量の契約書チェックを、ある程度AIに洗い出してもらってポイント絞って見ていくなど、業務がより効率化していくと思っています。

業務効率化の面では進展があると考えられますが、ITやAIが弁護士業界の業務全般をとって変わることはないとお考えですか?

全てなくなることはないと思います。やはり人間ならではの手触り感覚の法的な判断、アドバイスというのは残っていくはずです。業務が効率化する以上、弁護士の数が多すぎるんじゃないかといった問題が出てくる可能性はありますが、 より手触り感覚の法的なアドバイスができるように付加価値を高めながら、 弁護士という職種は残り続けると私は思っています。

記事を読んでいる方へひとことお願いします。

弁護士も普通の人間なので、あまり怖がる必要はありません。ネットを見てレストランに行く感じで気軽に相談していただいて大丈夫です。「これ法律に関わることかな」と悩んだら、恥ずかしがらずに相談していただきたいなと思っています。

弁護士情報

弁護士名:石井 逸郎
所属弁護士会:第二東京弁護士会
事務所名:ウェール法律事務所
事務所URL:https://ver-law.ne.jp/
事務所住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷4-3-12 第12大鉄ビル2階
【略歴】
1995年3月 京都大学法学部卒業
1997年4月 弁護士登録(第二東京弁護士会)
2001年1月 ウェール法律事務所に参画
2005年4月 帝京大学法学部客員准教授(民事訴訟法、2009年3月まで)
2009年4月 第二東京弁護士会副会長
2014年    関東弁護士会連合会理事
2017年         内閣府国家戦略特区東京圏雇用労働相談センター代表相談員(~現在)

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