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誰もが権利を守られる社会を目指し、2017年から弁護士過疎地域で活動/河野哲志弁護士(島原中央総合法律事務所)

ロースクール在学中に耳にした知人のトラブルをきっかけに、「誰もが権利を守られる社会でなければならない」という想いを強くしたという河野先生。2017年に弁護士過疎地域である長崎県島原市へ公設事務所の所長として赴任。2023年には定着という形で事務所を継続する決断をされ、日々地域のために仕事をされています。

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弁護士を目指した理由とこれまでについて

これまでの経歴について教えてください。

出身は滋賀県彦根市で、京都大学法学部、同志社大学法科大学院を卒業しました。
弁護士になってからは、まず2015年1月に福岡市内の「あさかぜ基金法律事務所」に入所し、約2年間経験を積みました。
そして2017年に「島原中央ひまわり基金法律事務所」の所長に就任し、2023年2月に「島原中央総合法律事務所」を開設して現在にいたります。

「ひまわり基金法律事務所」というのは、どういった事務所なのでしょうか?

弁護士が少ない又は一人もいない「弁護士過疎地域」と呼ばれる地域で、いつでも、誰でも司法サービスを受けられるように、日本弁護士連合会等の支援を受けて開設・運営される公的な法律事務所です。
「島原中央ひまわり基金法律事務所」は、2011年に全国で103番目に設立され、私は3代目所長として赴任しました。
赴任当時から現在まで、島原市内の法律事務所は4つ、島原半島で見ても5つのみです。複数あるとはいえ、人口や街の規模からすれば弁護士が足りていない状況です。

「島原中央総合法律事務所」は、どういった経緯で開設されたのでしょうか?

ひまわり基金法律事務所の所長は任期制で、任期を終えた時点で、後任の所長に引き継ぐ、任期を延長する、自分の事務所としてそのまま定着するという選択肢があります。
私は最初の3年の任期を終えたところで延長を選択し、最終的に定着しました。
定着した時点で「ひまわり基金法律事務所」ではなくなるので名称は変わりましたが、相談者・依頼者にとっては実質的に同じ事務所ですね。

弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。

元々勉強は得意な方で、高校は滋賀県内の有名進学校に入ったのですが、そこには自分より賢い人がたくさんいて打ちのめされました。
それで、元々理系だったのですが高校3年のときに文系に変更して、自分が狙える一番良い大学ということで京都大学法学部に入学しました。
法学部を選んだものの弁護士になろうとは思っておらず、大学に入ってからも特にやりたいことが見つからずのんびり過ごしていました。
さすがにのんびりし過ぎて、卒業に必要な単位が足りず2年留年しましたが…。
そうした中で、ロースクール卒業後に司法試験に合格して弁護士になれば、資格もあるし食べていけるだろうと思いロースクール進学を決めました。
ただ実家暮らしだったので家賃などはかかりませんが、学費は自分で出しなさいと親から言われたんです。
ですから昼間は授業を受け、夜はホテルで働いてロースクールの学費と昼食代などは自分で稼いでいました。

どんな弁護士になりたいと思っていましたか?

誰もが、きちんと法律に沿った解決を受けられるようにサポートできる弁護士になりたいと思っていました。
そう思ったのは、ロースクール在学中に知人が労働問題に巻き込まれたことがきっかけです。
ある日突然整理解雇を言い渡され、給料が未払いだったのですが、最終的に裁判などをせず諦めてしまったんですね。
もちろん今考えれば、色んな事情で諦めたのだろうと想像できますが、当時は「なんて理不尽なんだ」と思いました。
その出来事がきっかけで、「弁護士になって困っている人の権利を守りたい」という想いが強くなった気がします。

弁護士過疎地域で働くということは、いつ頃決めたのでしょうか?

司法試験合格後に進路を考えた段階です。
弁護過疎地域ではそもそも弁護士に相談すること自体が難しく、その結果法律に沿った解決を受けられないんじゃないかと思ったんですね。
つまり、地域の古い慣習や有力者のさじ加減で解決されたり、声の大きな人が勝ってしまうような解決です。
それなら自分が行くことで、そういった問題を少しでも解消できればと思いました。
そして、九州の弁護士過疎地域へ赴任する弁護士を養成する、福岡市内にある「あさかぜ基金法律事務所」で約2年間経験を積みました。
 

福岡を選ばれたのは、どういった理由だったのでしょうか?

司法試験を受けてから合格発表までに数ヶ月あるんです。
不合格になった場合に備えて、たまたま見かけた宮崎市役所職員の採用試験を受けに行って、ついでに九州一周旅行をしたんですね。
それで九州の雰囲気や食べ物に惹かれて、福岡を選びました。

福岡での2年間は、今振り返ってどのような期間でしたか?

すごく鍛えられましたね。弁護士過疎地域へ赴任することを見据えて、一人で解決する力を身につけるとともに、事務所経営のために必要なノウハウも学びました。
他事務所の弁護士から声をかけていただいて、様々な案件を共同受任して他の弁護士の仕事ぶりを見られたのも大きかったです。
2年という期間は短く思われるかもしれませんが、赴任という目標を持った上で過ごす2年は、とても濃いものでした。
ですから、いざ赴任するという段階では「一人でやれる」という自信はありました。

実際に島原市へ赴任してみて、いかがでしたか?

私は3代目だったので、初代、2代目が築いてくださった信頼もあり、赴任当初から忙しい毎日でした。
初年度は、150件ほどの法律相談を受け、そのうち100件以上の依頼を受けました。このペースは、多少増減はあるものの今も変わりません。
また離婚や相続といった場面で、理不尽な主張をする人が多いことも分かりました。
弁護士に相談に来た方については法律に沿った解決ができましたが、相談に至らず理不尽な解決を強いられている方もいらっしゃるはずです。

「ひまわり基金法律事務所」の所長として6年過ごされて、最終的に定着を決めたのはどういった想いだったのでしょうか?

赴任する段階で、定着することも視野には入れていました。
ただ最初の任期を終えた段階では、まだその踏ん切りがつかず延長しました。
その後も1年ずつ延長して、制度上これ以上延長できないというところまで延長しました。
そこで考えたのは、仮に退任したとしても、どこかで弁護士は続けるわけです。
そうなると、また一から事務所を立ち上げ、人脈などを築いて行く必要があります。
一方島原であれば、6年間の活動の中で多くの人脈もできましたし、ライフスタイルも安定し、もちろん地域にも愛着が生まれていました。
そう考えると、定着がベストだと思って決断しました。

定着したことで、なにか変わりましたか?

対外的には、事務所名は変わりましたが実質的には変わりません。
中には、所長の交代がなくなったということで、継続的な相談をしたいと言ってくださる企業や、「安心しました」と言ってくださる住民の方もいらっしゃいます。
対内的には、「ひまわり基金法律事務所」のときは日本弁護士連合会等から一定の支援を受けられましたが、それがなくなりました。
ただ事務所経営も安定していますし、弁護士としてのスキルや経験も磨かれましたので問題ありません。

現在の業務について

注力している分野を教えてください。

弁護士自体が少ないので、特定の分野に注力するということはありません。
それこそありとあらゆる相談が寄せられるので、それに対応しています。
その中でも多い相談としては、相続や離婚といった身近なお困り事です。
 

弁護士として、どういったことを大切にされていますか?

「誰もが法律上の権利を守られるようにする」ということを大切にしています。
とはいえ、なんでもかんでも権利を主張して、ひたすら相手を攻撃・非難すれば良いという話ではありません。
特に同じ地域や親族間の争いであれば、解決後もなんらかの関わりが残ることは多いです。
ですから解決後のことも視野に入れて、中長期的に見て依頼者にとってベストな方法を考えるようにしています。

改めて、弁護士過疎地域へ来て良かったと思われますか?

はい、もちろんです。弁護士が少ないからこそ、依頼者からの感謝も大きいと感じます。
都市部だと弁護士が多いので、裁判所から配点される破産管財人や成年後見人などは、特にキャリアが浅いうちは回ってきづらいです。
一方弁護士過疎地域では、キャリアが浅いうちから様々な案件を経験できます。
たとえば破産管財人は、すでに50件ほど経験しています。
もちろん裁判所もきちんと事情をわかった上で配点してくれますし、互いに顔が見える距離感ですから仕事もしやすいです。
また、地域の様々な役職に声をかけていただいたり、行政機関で問題が起きた場合に第三者委員会の委員に選ばれるなど、都市部ではなかなか経験できないこともあります。

今後の目標など 

今後の目標などを教えてください。

地域に弁護士がいること自体がまず大切なので、できるだけ長く事務所を維持することを一つの目標にしています。
また、「なにかあったときは弁護士に相談する」ということが当たり前の社会にしたいと思っています。

相談を考えている方へ一言お願いします。

「こんなことで相談して良いんだろうか?」と思う方も少なくないはずです。
もちろん、実際相談してみたら取り越し苦労だったということもありえます。
ただそれがわかるだけでも前進ですし、肩の荷が下りるはずです。
他方、自分ではたいしたことないと思っていたけど、相談してみたら大変なことだとわかることも少なくありません。
相談が遅れることで、手遅れになったり問題が大きくなることも多いので、まずは早めにご相談いただくことをお勧めします。
当事務所では皆様からの法律相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

弁護士情報

弁護士名:河野 哲志
所属弁護士会:長崎県弁護士会弁護士会
事務所名:島原中央総合法律事務所
事務所HP:https://shimabara-law.jp/
事務所住所:長崎県島原市中町851 大手ビル3階 0957-62-5138

経歴:
滋賀県彦根市出身
京都大学法学部卒業
同志社大学法科大学院修了
2015年 あさかぜ基金法律事務所入所 
2017年 島原中央ひまわり基金法律事務所3代目所長に就任
2023年 島原中央総合法律事務所開設

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