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民事再生とは?【経営者、個人】~メリット・デメリットや具体的な流れまで解説~

【この記事の法律監修】  
前田 祐生弁護士(第二東京弁護士会) 
sei法律事務所

「毎月の資金繰りが難しい。」
「借金を返済できる見込みがない。」

こんな悩みを抱えている経営者や個人の方はいませんか?

赤字や借金を抱えている状態から立ち直るために、民事再生手続を申請する方法も考えられます。もっとも、民事再生という言葉は聞いたことがあるものの、具体的な内容についてまでは知らない方も多いでしょう。

そこで、本記事では、民事再生の概要、手続の流れ、メリット・デメリットなどを詳しく解説しています。

この記事を読むことで、会社経営者の方は、どのような場合に民事再生を申し立てることができるか、民事再生を実施する際の注意点などについて詳しく理解できます。個人の方は、個人が使用できる個人民事再生の手続や、利用できる条件について詳しく理解できます。

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1.民事再生とは

民事再生とは、経済的な困難に直面している会社または個人が、現状を改善して業績を回復させる手段として行う法的整理をいいます。民事再生の手続することで、担保権の設定がされていない債務の金額を大幅に減額することができます。

民事再生法は、1999年に公布された法律です。民事再生法は全15章・全266条から成り立ちます。民事再生手続必要な再生計画などについては、第2章以降に定められています。

民事再生法は、主に中小企業の利用を想定して制定されましたが、債務者の範囲に関して制限はなく、法人に加えて個人も対象となります。債務額にも特別な上限は設定されておらず、どれだけ借金があろうとも利用できます。

民事再生を利用するにあたり、会社と個人とでは申請できる手続の内容が若干異なるので、以下より、「経営者向け」と「個人向け」に分けて解説いたします。

2.経営者向け

2-1.民事再生の種類

民事再生と似た手続は多いです。再建計画の策定ができるか、裁判所を介入させるかどうかなどの点を考慮して、最適な手続を選ぶのがよいでしょう。

以下、各手続の内容、メリット・デメリットについて、丁寧に解説します。

2-1-1.再建計画の策定が可能な場合

まず、再建計画の策定ができるかどうかの観点で、「再建型手続」と「清算型手続」の2つに分類されます。再建計画の策定が可能な場合、「再建型手続」を検討するのがよいでしょう。
再建型手続には、「法的再生手続」と「私的再生手続」の2種類があります。

2-1-1-1.法的再生手続

裁判所の介入のもとで行う再建手続を法的再生手続といい、2つの手続に分類されます。

手続 適用される法律・対象者 メリット デメリット
民事再生 ・適用:民事再生法
・対象:会社・個人
・会社の債務を圧縮できる
・事業を継続できる
・経営陣が交代しなくて済む
・社員の雇用を継続できる
・企業の信頼が低下する
・担保権を実行されるおそれがある
・税務関係の知識や負担が必要になる
会社更生 ・適用:会社更生法
・対象:株式会社
・会社の債務を圧縮できる
・担保権を実行されるおそれがない
・事業を継続できる
・社員の雇用を継続できる
・企業の信頼が低下する
・経営陣の退任が必須
・手続が複雑
・費用が高額になる可能性がある
2-1-1-2.私的再生手続

裁判所が介入せず、当事者間の話し合いのもとで行う再建手続を私的再生手続といい、5つの手続に分類されます。

手続 内容 メリット デメリット
私的整理 債権者と債務者の合意に基づいて債務を整理する方法 ・再建の事実が公になりにくい
・柔軟な解決が期待できる
・費用を抑えられる
・手続が不透明
・対象となる債権者全員の同意が必要
・合意を成立させるのが難しい
特定調停 債務者が抱える借金について、債務者自身が裁判所に申立てを行うことで、債権者との和解を目指す方法 ・調停委員会が主導となって手続が進む
・費用を抑えられる
・債権者と交渉しなくてよい
・申立から書類の作成までが非常に複雑
・対象となる債権者全員の同意が必要
・返済を怠るとすぐに強制執行を受ける
中小企業再生支援協議会 公正中立な公的機関である中小企業再生支援協議会から会社作成の再生計画案のチェックを受ける、準則型私的整理 ・事業価値が毀損されにくい
・多様な専門家の支援を受けることができる
・金融機関との調整がしやすい
・再建計画の数値基準
を満たすのが難しい
・金融債権者全ての同意が必要
・ビジネスの再建に関する知見はあまりない
事業再生ADR 経済産業大臣の認定を受けた公正・中立な第三者が関与することにより、過大な債務を負った事業者が法的整理手続によらずに債権者の協力を得ながら事業再生を図ろうとする取組みを円滑化する制度 ・つなぎ融資が受けられる
・手続が短期間で完了する
・税制上の優遇措置がある
・債権者全員の同意が必要
・手続が難しい
・費用が高額になる
私的整理に関するガイドラインを活用した事業再生 債権者と債務者の合意に基づき、債務について猶予・減免などをすることにより、経営困難な状況にある企業を再建するためのもの ・事業継続への悪影響を最低限に抑えられる
・債務放棄の割合を柔軟に調整できる
・手続の透明性・公平性を確保できる
・経営陣の退任が原則
・支配株主の影響力は失われる
・基本的に債権者全員の同意が必要

2-1-2.再建計画の策定が不可能な場合

再建計画の策定が不可能な場合には、「清算型手続」を検討するのがよいでしょう。

清算型手続にも、「法的再生手続」と「私的再生手続」の2種類があります。

2-1-2-1.法的清算手続

法的清算手続は、2つの手続に分類されます。

手続 適用される法律・対象者 メリット デメリット
(特別)清算 ・適用:会社法
・対象:株式会社
・破産による信用低下を防げる
・簡易迅速、柔軟な手続が可能
・費用を抑えられる
・多数の債権者の同意が必要
・否認権の行使ができない
・株式会社しか利用できない
破産 ・適用:破産法
・対象:会社・個人
・借金の支払い義務がなくなる
・債権者からの強制執行を止められる
・手続の透明性が高い
・代表者自身が信用を失う可能性がある
・会社のノウハウが失われる
・従業員の雇用が守られない
2-1-2-2.私的清算手続

私的清算手続には「私的整理」があります(任意清算)。詳細は、「2-1-1-2.私的再生手続」内の「私的整理」の項目をご確認ください。

2-2.民事再生を行う方法

民事再生を実行するには、主に以下3つの方法に分けられます。

  • 自立再建型
  • スポンサー型
  • 清算型

2-2-1.自立再建型

自立再建型は、会社の収益によって債務を弁済し、自力で再建を図る方法をいいます。
再建を目指すために基本的に用いられる方法です。

2-2-2.スポンサー型

スポンサー型は、他社やファンドの資金援助を受けて、再建を目指す方法をいいます。具体的には、不採算事業の売却やM&Aによる事業承継などが実施されます。

スポンサー型の民事再生を行う場合、①あらかじめスポンサーを決めておき、申立てと同時にスポンサーによる支援を発表する方法(プレ・パッケージ型)、または②民事再生の申し立ての後に入札によってスポンサーを選定する方法のいずれかが選択される場合が多いです。

なお、①の場合、選定の経緯や資金額によっては、公平性を欠くものとして裁判所の認可を受けられない場合があるので注意が必要です。

2-2-3.清算型

清算型とは、事業譲渡や会社分割により得た資金を債務の弁済にあて、会社を解体する方法をいいます。清算型は、自律再建が難しく、スポンサーも見つからない場合に用いられることが多いです。

申立て会社が最終的に清算されるものの、事業を受け皿となる会社に譲渡し、申立て会社は清算する一方で、受け皿会社によって事業再建が図られるため、事業自体は、他社で存続することができる可能性があります。

2-3.民事再生手続開始の申立要件

事業を継続していても借金の回収が難しいと判断したとき、現金が手元に残らないと判断したとき、取引先への返済が予定通りできないことが見込まれるときは、民事再生の申立てを検討すべきでしょう。

法律上では、民事再生は①債務者が破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときや、②事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときに申し立てることができます(民事再生法第21条1項)。

2-3-1.①破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき

「破産手続開始の原因となる事実」とは、債務者が支払不能や債務超過などの状態にあることをいいます。

支払不能とは、「債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態」をいいます(破産法第2条第11項)。たとえば、資金不足により手形の不渡りを出してしまうような経済状態などが該当するでしょう。

債務超過とは、債務者の財産をもって債務を完済することができない状態をいいます(破産法16条第1項)。実務上は、会社の貸借対照表において債務超過であれば、民事再生法上も債務超過に該当すると判断されることが一般的です。

2-3-2.②事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき

「事業の継続に著しい支障を来たす」とは、たとえば、債務者の資金繰りが難しくなって生産設備などの財産を売却しなければならないが、当該財産を売却することで事業を続けていくことが難しくなってしまうような場合をいいます。

2-4.民事再生の流れ

民事再生の手続は、以下のような流れで進みます。

  1. 申立て・保全処分
  2. 監督委員の選任と監督命令の発令
  3. 民事再生手続の開始決定
  4. 債権届出・財産評定と財産状況の報告
  5. 債権認否書の提出・債権調査期間
  6. 再生計画案の作成・決議と認可
  7. 再生計画の遂行

なお、申し立てから再生計画の認可までの期間は約6ヵ月が目安です。会社更生手続が約1年かかることに比べると、かなりスピーディーに手続が進行するといえるでしょう。

2-4-1.申立て・保全処分

民事再生の手続をする場合、裁判所に再生手続開始の申立てを、保全処分の申立てとあわせて行います。

申立てに必要な書類一式は以下のとおりです。

  • 申立書類一式(申立書・陳述書・財産目録・債権者一覧表)
  • 印鑑(法人の場合は代表者の印鑑)
  • 手続費用
  • 全部事項証明書又は商業登記簿謄本,取締役会の議事録などのほか,会社の財務状況に関する書類,財産に関する書類など

参考:民事再生手続について|裁判所

保全処分とは、申立てを行った会社が、申立て前日までに発生した債務の弁済を禁止する処分のことです。保全処分発令されると、申立てをした会社は債務の弁済を禁止され、同時に債権者も財産の仮差押え・仮処分ができなくなります。

2-4-2.監査委員の選任と監督命令の発令

民事再生の場合には、管財人は選任されないので、会社の経営者が財産の管理や処分を行います。ただし、実際に会社の財産を管理・処分する際には、裁判所により選任された監督委員の同意を得る必要があります。

監督委員には、弁護士の中から1名または複数名が選任され、監督業務を行います。

2-4-3.民事再生手続の開始決定

民事再生の申し立てから約2週間後に、裁判所が民事再生手続を開始する決定を下します。

決定が下された時点で、債権者からの強制的な取立てや差押えが停止されます。

2-4-4.債権届出・財産評定と財産状況の報告

手続開始後、債権者は裁判所に対して、自らの債権を届け出る必要があります。

そのため、債権者から届出のあった債権と財産評定の結果を踏まえた財産目録・貸借対照表を作成し、財産状況を伝える報告書と一緒に裁判所に提出します。

2-4-5.債権認否書の提出・債権調査期間

債権者から届出のあった債権について、企業は債権として認めるかどうかを表明する「債権認否書」を裁判所に提出することで、債権の正当性や額が確定します。

また、裁判所と監督委員が債権の調査を行い、不正や誤りがないかを確認します。

2-4-6.再生計画案の作成・決議と認可

債権の調整が完了すると、企業は再生計画案を作成します。再生計画案には、民事再生を行う会社の債務の弁済計画や事業再建の方針が具体的に示されます。

また、債権者集会を開き、立案した再生計画案の決議を得る必要があります。議決権を行使できる債権者のうち、債権者集会に参加した債権者の過半数、かつ債権総額の2分の1以上の賛成を得ることで再生計画案が可決されます。

再生計画案が可決されると、裁判所は再生計画案を認可することになります。

2-4-7.再生計画の遂行

裁判所の認可を得た後、企業は再生計画に基づいて、債務の減額や弁済の実行・事業の再編・コスト削減策の実施などの事業再建を進めます。

なお、最初の3年間は、監督委員の指導や裁判所の監視のもと、計画が順調に進行しているかどうかが確認されます。

2-5.民事再生に必要な費用

民事再生に要する費用には、①裁判所へ支払う予納金と、②弁護士費用です。

2-5-1.予納金

民事再生の予納金は、負債額に応じて決定します。参考までに、東京地方裁判所の予納金を掲載します。

借金総額 予納金
5,000万円未満 200万円
5,000万円~1億円未満 300万円
1億円~5億円未満 400万円
5億円~10億円未満 500万円
10億円~50億円未満 600万円
50億円~100億円未満 700万円
100億円~250億円未満 900万円
250億円~500億円未満 1,000万円
500億円~1000億円未満 1,200万円
1000億円以上 1,300万円

参考:通常の民事再生事件申立要領|東京地方裁判所

2-5-2.弁護士費用

弁護士費用は、一般的に「着手金」と「成功報酬」で計算されます。
もっとも、弁護士に対する報酬の計算方法は事務所などにより異なります。弁護士に相談する際には、弁護士費用を事前に確認するのがよいでしょう。

2-6.民事再生開始手続によって影響を受ける債権

民事再生手続が決定すると、債権は主に以下の3つに分類されます。

  • 再生債権
  • 共益債権
  • 一般優先債権

2-6-1.再生債権

再生債権とは、再生手続開始前に発生した債権をいい、再生計画に基づいて弁済されます。金融債権・取引債権など、手続申立前に発生していたほとんどの債権は再生債権となります。

再生債権は、再生計画が認可されるまで弁済が禁止され、認可された後は再生計画に定められたとおりに弁済することになります。

2-6-2.共益債権

共益債権とは、再生手続によらずに随時、再生債権に優先して弁済される権利であり、優先性の根拠が債権者全体の利益にあるとされるものです。

たとえば、裁判費用、財産の管理処分費用、手続中の借入金などが該当します。

2-6-3.一般優先債権

一般優先債権とは、先取特権その他の一般の優先権がある債権をいい、債権者は再生手続の開始を待たずに随時弁済を受けることができます。

たとえば、従業員の未払賃金や社会保険料などが含まれます。

2-6-4.従業員に対する弁済について

たとえば、従業員に支払うべき金銭の取り扱いについて考えてみましょう。

給与は、手続開始日までに発生していた給与の未払分は「一般優先債権」に、手続開始の翌日以後の分は「共益債権」になります。いずれも、通常どおり全額を弁済することになります。

退職金債務に関しても同様の考え方になります。未払分一括で支払えない場合は、分割払いで了承してもらうよう個別に交渉する必要があるでしょう。

2-7.民事再生後の従業員の取り扱いに関する注意点

再生手続が終了したとしても、資金に余裕が生まれるとは限らないので、人件費の削減を検討しなければならないかもしれません。

人件費を削減する方法として代表的なものは、「労働条件の変更(引下げ)」や「解雇」などがあります。もっとも、実施できる条件は厳格に定められており、適切な手順に従って実施する必要があります。

2-7-1.労働条件の引き下げ

労働条件を引き下げる手段として、以下の方法が考えられます。

  • 給料の減額
  • 賞与のカット
  • 福利厚生や手当の廃止
  • 退職金制度の廃止
  • 定期昇給の停止

もっとも、上記方法はすべて「労働条件の不利益変更」にあたります。労働条件の不利益変更とは、従前の労働条件を従業員にとって不利な方向に変更することをいいます。

労働条件を不利益に変更するためには、法律(労働契約法)で定められた手順に従う必要があります。具体的には、従業員全員から個別で同意を得る、または労働組合と労働協約を締結する必要があります。

2-7-2.解雇

解雇は簡単に認められるものではなく、解雇に相当する事情が必要です。

具体的には、以下の4つの要素(いわゆる整理解雇の4要件)を踏まえ、解雇が合理的だと証明する必要があり、これが認められないと解雇権の濫用として解雇が無効と判断されます。

  • 人員整理の必要性
  • 解雇を回避するための努力
  • 解雇対象者選定の合理性
  • 解雇手続の妥当性

「民事再生により企業を再建するため」という理由では、上記要件を満たしません。まずは、希望退職者の募集や退職勧奨を行い、解雇を回避するよう努める必要があります。また、従業員と十分に協議することも重要になるでしょう。

なお、民事再生でも解雇の予告義務の規定は適用され、解雇を通知した日から解雇日までは30日以上空けることが義務付けられています(労働基準法第20条)。解雇予告期間を設けない場合、従業員の給料に応じた解雇予告手当を支払わなければなりません。

2-8.民事再生を成功させるためのポイント

民事再生を成功に導くためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下、ポイントとなる要素を3つ挙げましたので、詳しく解説します。

2-8-1.取引先や従業員への適切かつ迅速な説明

当然ながら、民事再生を行うにあたり、再生計画が認可されることが大前提です。

再生計画の認可を受けるためには、債権者の同意が必要となることから、「債権者説明会」を実施すべきでしょう。債権者説明会の実施は法律上の義務ではありませんが、民事再生手続を申し立てたことについて債権者や従業員などに丁寧に説明し、今後の事業方針についてきちんと理解と納得をしてもらうのが好ましいです。

債権者説明会を実施するタイミングは、できるだけ早い方がよいです。再生手続の申立をしてから、数日内に開催するのがよいでしょう。

2-8-2.実現可能性の高い再建計画案を作成する

再建計画が実現可能であるかどうかが、再生の成否を大きく左右します。

計画には、具体的な目標とともに、達成のための手段やスケジュールがしっかりと明記されている必要があります。市場動向や競合分析を踏まえた上で、現実的な数字やデータを用いることで、より信頼性の高い計画を策定しましょう。投資家や債権者に対しても、納得のいく説明ができるよう、しっかりとした裏付けを持つことが求められます。

また、計画実施の進捗を定期的に評価し、必要に応じて修正を加えることも重要になります。

2-8-3.専門家の協力を得る

民事再生の手続は複雑なので、専門家の協力を得ることが重要になります。再建計画の策定においても、経験豊富な専門家の意見を取り入れることで、より実現性の高いプランを作成することが可能です。

以下、協力を得るべき専門家と、専門家の具体的な役割について解説します。

専門家 主な役割
公認会計士 ・財産評定
・再生計画案、事業計画の策定
・事業譲渡における対価の算定
経営コンサルタント ・スピード感を持ったサービスの提供
・経営の専門的視点でのアドバイス
弁護士 ・最適な手続選定に関する法的アドバイス
・経営戦略と事業戦略の見直し
・従業員への説明会での説明
・債権者集会での各債権者に対する説明

3.個人の方向け

個人の方であれば、民事再生手続のほか、「個人再生手続」も利用できます。

3-1.個人再生とは

個人再生手続(個人民事再生)とは、借金を大幅に減額しつつ、一定期間内に残りの債務を返済することで、個人の経済的再建を目指す法的手続です。

民事再生は、ある程度の規模を持つ法人を想定した制度であり、手続が複雑なうえ、費用も多く発生します。個人でも民事再生が利用できないわけではありませんが、現実的には利用がかなり難しいものとなっていました。

そこで、民事再生を個人でも利用しやすいように、手続を簡略化したものが「個人再生手続」となります。なお、個人再生手続には、小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続の2種類があります。給与所得者等再生手続がサラリーマンを対象にした制度であり、小規模個人再生手続はその他の場合(自営業者など)を対象にした制度です。

3-2.個人再生手続を利用できる条件

個人再生手続を利用できる条件はさまざまありますが、主な条件は以下の4つです。

  • 将来的に継続又は反復した収入があり、再生計画に則った弁済が出来ること
  • 住宅ローンなどを除いた債務の総額が「5,000万円」以下であること
  • 債権者からの反対で、書面決議が否決されないこと(小規模個人再生手続のみ)
  • 過去7年以内に、個人再生手続のハードシップ免責許可決定、給与所得者再生の再生計画認可決定、破産手続免責決定を受けていないこと(給与所得者再生手続のみ)

3-3.個人再生手続の成功率

司法統計によると、令和5年に行われた個人再生手続の総数は9,367件で、そのうち再生手続が終結し、個人再生が成功したのは8,637件です。したがって、個人再生手続の成功率は約92.2%となります。
参考:司法統計|裁判所

個人再生手続の成功率はとても高いといえるので、条件に該当するようであれば積極的に利用してみるのがよいでしょう。

3-4.個人再生手続に要する費用

民事再生と同じく、①裁判所へ支払う予納金と、②弁護士費用が必要になります。
裁判へ支払う予納金は、個人再生委員が選任されるかどうかで、異なります。

  • 選任される場合:約15〜25万円
  • 選任されない場合:約1万5,000円

弁護士費用は、「着手金」と「成功報酬」で計算されます。弁護士に対する報酬相場は事務所により異なりますが、民事再生の場合と比較すると、安い値段となる場合が多いです。

4.民事再生に関するトラブルは、弁護士に相談しよう

民事再生を含め、現在の状況をよりよくするために選択すべき手続の判断は難しく、各手続も非常に複雑です。経営者または個人のみで民事再生を進めるのは難しいでしょう。

そこで、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士には、まずは「10分」から相談ができます。初回の相談時には、事業状況や財務状態をまとめた資料を持参し、具体的な課題や希望する再建の方向性を説明すると良いでしょう。

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