離婚時の不動産査定で弁護士は必要?【離婚時に不動産がある方向け】方法や相場、その他の財産分与の対象は?
【この記事の法律監修】
渡邊 律弁護士(栃木県弁護士会)
渡邊律法律事務所
離婚時はさまざまな話し合いを行いますが、中でも財産分与には多くの時間がかかります。
不動産をお持ちの方は、不動産鑑定を行う際に弁護士に相談すべきなのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、離婚時の不動産鑑定には弁護士に相談が必要なのか?財産分与の対象や、依頼する際の相場などを解説します。
不動産査定とは
不動産査定は、売却する不動産がどのくらいの価格で売れるかを見積ります。
査定を基に売却後の資金計画や仲介会社を選ぶ判断材料になるので、とても重要な査定です。
不動産査定は、不動産仲介会社に依頼するのが一般的です。
査定時には対応やサービス内容、仲介会社に信頼をおけるかで判断するといいでしょう。また、売り手の希望価格と市場の実際の売却価格をすり合わせ、最終的な売却額を決定していきます。
不動産査定は、売却価格を正確に把握し売却計画を立てるための第一歩なので必ず行いましょう。
不動産査定の種類
不動産査定には無料と有料のものがあります。
不動産会社に無料で依頼する
家やマンションを売却する際は、不動産会社に無料で査定を依頼できます。
裁判などの特別な事情がなければ、不動産会社の無料査定で十分対応できます。
不動産会社の査定は、以下の2点があります。
- オンラインで物件情報を送信して簡単に査定する「机上査定」
- 実際に物件を見て評価する「訪問査定」
まずは机上査定で複数社を比較し、希望に合う会社に訪問査定を依頼するのがいいでしょう。
不動産鑑定士に有料で依頼する
有料の不動産鑑定は、国家資格を持つ不動産鑑定士が行います。
財産分与でトラブルが発生し裁判になりそうな場合は、裁判所でも通用する不動産鑑定士による評価が必要です。
不動産鑑定士は、不動産の価値を様々な方法で評価します。また、法律や経済の知識を活かして詳細な査定を行います。しかし、専門的な内容であるため費用は数十万円〜かかるので注意しましょう。
トラブルなく家を売却するだけなら、不動産会社の無料査定で十分対応可能です。
まずは気軽に無料相談を検討するのがいいでしょう。
離婚時に不動産査定が必要になるケースは?
離婚時に不動産を売却する場合は、正確な査定額をもとに売却価格を決め、売却金を財産分与します。
以下でケースごとに解説します。
【ケース1】不動産を売却して財産を夫婦で分ける
不動産を売却して得た代金を分ける方法は、財産分与として最も一般的です。
売却価格を適正に設定するため、正確な査定が必要で夫婦双方が公平に財産を分け合えます。
家を売却する場合、まず不動産会社に査定を依頼し、その査定額を参考に売り出し価格を決めます。また、売却しない場合でも査定額を基に不動産の価値を評価し、他の財産と合わせての分与も可能です。
不動産の売却でも、売却しない場合でも、査定は財産分与に必ず必要です。複数の不動産会社の査定額を比較し、最適な方法を選びましょう。
【ケース2】どちらかが不動産に住み続ける
離婚後に夫婦のどちらかが家に住み続ける場合、財産分与を公平に行うために家の査定が必要です。
このケースは住み続ける側が家を出て行く側に対して、家の評価額の半額を支払う必要があります。
たとえば、元夫が家に住み続け元妻が家を出る場合、家は元夫婦の共有物です。
正確な金額を決定するため家の査定が必須で、査定額を元に元妻に評価額の半額の財産を分ける必要があります。
査定額に基づいて、家の価値の半分に相当する金額を現金などで分け合います。
離婚時の不動産査定の流れ4ステップ
離婚が決まったら、早めに財産分与を考えましょう。
財産分与の請求は離婚成立後2年以内と決められているからです。(民法768条2項ただし書き)
以下では、離婚時の不動産査定の流れの4ステップを解説します。
ステップ1.離婚の話が決まった段階で不動産査定に出す
家や土地などの不動産を夫婦で保有している場合、離婚の話が決まった時点で不動産の査定を依頼します。仮に離婚の合意ができていなくても、今後も話し合いに必要となる可能性が高い場合は、早めに取得しておくことも一つです。
話し合いを進める第一歩となるためです。
特に不動産が絡む場合の財産分与は争点となるため、資産価値を正確に知っておくのが重要です。
離婚時に不動産が絡む場合は、最初に不動産の査定を依頼し財産分与の基準となる金額を把握しておきましょう。
ステップ2.ローンの返済状況と名義人を調べる
財産分与を進める前に、夫婦間で共有する財産と借金の内容の把握が必要です。
財産と負債の全体像を把握しておくことが、後のトラブル回避につながります。
夫婦の財産には主に以下のようなものが含まれます。
- 現金
- 預貯金
- 有価証券
- 車
- 家具
相続や贈与、結婚前の財産は、特有財産といい、夫婦の共有財産を分ける財産分与の対象外になる場合もあります。また、家や土地を査定に出す際は、ローンの返済状況と名義人も確認する必要があります。ローンの返済状況は金融機関、名義人は法務局やネットで確認可能です。
確認作業だけで1週間ほどかかる場合もあるため、不動産査定と同時に手続きを始めるとスムーズでしょう。
ステップ3.査定額をもとに財産分与額を計算
離婚時の財産分与は、査定額を基に分配金額を計算します。
財産分与の割合は夫婦間で意見が分かれる場合も多いため、第三者の専門家が入ると公平な分配が行いやすいです。
財産分与の対象は、夫婦になってから築いた共有財産のみのため注意しましょう。
共有財産は原則半分ずつ分けますが、夫婦間で合意があれば異なる割合での分配も可能です。不動産の場合は、一方が住み続ける場合や、住宅ローンが残っている場合などを考慮し決定します。
不動産を含む財産分与は、査定額を基にして計算し、双方が納得できる分配方法を探しましょう。弁護士の助言を受けると、話し合いがスムーズに進み複数の査定を比較して妥当な配分を検討してくれます。
ステップ4.離婚後に売却するか住み続けるかを決める
財産分与が決定したら、必ず離婚後に家を「売却」か「住み続ける」かを決めましょう。
婚姻関係にある間に財産を分割すると、相続税法第9条により「贈与」とみなされることがあるためです。
離婚後に行えば財産の清算として扱われ、基本的には贈与税がかかりません。家を売却して財産を分ける場合、離婚後に売却すると税金の負担を避けられます。
住宅ローンの残債や査定結果を基に、夫婦で冷静に話し合い、第三者の弁護士などを立てておくのもトラブル防止には有効です。
弁護士は不動産査定は行わない
弁護士は不動産の査定や売却そのものには関与しないため、不動産査定は行いません。
弁護士の役割は、契約時のトラブルや法律面でのサポートです。
例えば以下のような場合が挙げられます。
- 財産分与や相続が絡む複雑な不動産売買
- 権利関係が不明確でトラブルが予想される場合
契約書の内容に不安がある場合も弁護士に相談すると安心して進められるでしょう。
弁護士は法律面でのトラブルや契約内容の確認が必要な際にサポートしてくれます。
離婚時の不動産査定の際に弁護士ができること
不動産売却の際に弁護士は必要ありませんが、いくつかのケースでは弁護士に任せるとスムーズに手続きが進められます。
不動産の査定や不動産仲介業者の紹介も依頼できるため、複雑な売却手続きを一貫してもらえるからです。
基本的には、不動産売却は不動産仲介業者、登記手続きは司法書士に依頼する場合が多いです。しかし、弁護士に依頼すれば業務に加えてトラブル解決もまとめてお願いできます。
特に「不動産業務に強い」弁護士事務所に依頼すると、売却や登記の手続きまで対応してもらえるでしょう。
離婚時の不動産査定に弁護士が必要なケースは?
ここでは、離婚時に不動産査定に弁護士が必要なケースをご紹介します。
【ケース1】不動産の名義が共有名義になっている場合
離婚時は不動産の名義が共有名義になっていると、トラブルが起きやすいです。
名義変更の際のトラブル回避のために、弁護士のサポートを受けるといいでしょう。
財産分与のための名義変更は、夫婦間の話し合いで進められますが、住宅ローンが残っている場合は金融機関の承諾が必要です。無断で名義変更を行うと、一括返済を求められるリスクがあります。また、ローン名義を変更するには審査が必要となるため、弁護士に相談して適切な手続きを進めましょう。
住宅ローンが残っている不動産の名義変更や財産分与にはリスクが伴います。
弁護士に相談すると、金融機関との交渉を円滑に進められるため、トラブルを避けたい方にはおすすめです。
裁判事例
離婚時に夫(納税者)が妻(請求人)に財産分与として不動産の所有権を移転したところ、税務署がこの財産分与を「無償または著しく低い額の対価による譲渡」と判断し、妻に対して第二次納税義務を課したものです。
妻は、財産分与が適正で過大でないと主張し、税務署が「税金はかからない」と説明していたことから信義則の適用を求めましたが、裁判所は財産分与が過大であり、納税義務が生じると判断しました。また、税務署の口頭説明は信義則の適用外とされ、納付告知処分は適法とされました。結果として、妻は得た利益の範囲内で第二次納税義務を負うこととなりました。
参考:国税不服裁判所 公表裁決事例集 (平成25年7月4日裁決)
【ケース2】ローンが残っている不動産を分割・処分する場合
ローンが残っている家や車などの財産分与にはいくつかの方法があります。
しかし、残っているローンが評価額を上回るか下回るかによって処理方法が異なります。
売却や名義変更でトラブルが生じることもあるため、慎重な対応が必要です。
財産分与する主な方法は以下の通りです。
- 売却して現金化する
- どちらかが取得し代償金を支払う
- どちらかが取得し他方に相当額の財産を分ける
ローンが残っている場合は、評価額と残ローンの差額が重要です。
アンダーローンの場合(残ローンが評価額を下回る場合)
評価額から残ローンを引いた金額を財産分与できるため、比較的簡単に分け合えます。 |
オーバーローンの場合(残ローンが評価額を上回る場合)
家や車を売却してもローンが完済できないため、売却せずにどちらかが取得する方法が一般的です。 売却を希望する場合は、債権者と交渉し任意売却を行うのも可能です。 この場合、競売よりも高値で売却できる可能性がありますが、債権者の許可が必要です。 |
アンダーローンとオーバーローンでは財産分与の方法が大きく異なるため、各ケースに応じた適切な対応が求められます。弁護士に依頼することでトラブルなく財産分与が進められるでしょう。
離婚以外に不動産査定に弁護士が必要になるケース
離婚以外で不動産査定を受ける場合もあるでしょう。その際に、弁護士に相談した方がいいケースをご紹介します。
【ケース1】不動産権利の関係性が複雑なもの
権利関係が複雑な不動産を売却する場合は、弁護士に依頼するといいでしょう。
売却時や売却後にトラブルが発生するリスクを回避するためです。
権利関係が複雑な事例は以下のようなものが挙げられます。
- 隣家との土地の境界があいまい
- 相続で複数人が共有している不動産の一部だけを売却したい
- 所有権を証明する権利証がない場合
- 第三者が占有している不動産を売却する場合
このようなケースは所有権や使用権をめぐってトラブルが発生する可能性があるため、弁護士にサポートしてもらうとスムーズに取引を進められるでしょう。
【ケース2】売却に際してトラブルになった場合
不動産売却でトラブルが発生した場合、弁護士に依頼して解決のサポートをしてもらいましょう。
売主や不動産業者では解決が難しいためです。
たとえば、不動産仲介業者が事実と異なる内容で広告を出した結果、買主とトラブルになる場合があります。また、契約を結んだにもかかわらず、買主が契約を解除したいと言い出したり、契約後に修繕や補償を求められたりするケースもあります。
不動産売却時に発生するトラブルはさまざまで複雑なものが多いので、個人や不動産業者だけでの解決は難しい場合があります。弁護士に依頼し法的なサポートを受けるのが最善でしょう。
【ケース3】任意売却で任意整理・民事再生・自己破産する場合
借金の整理にはいくつかの方法があり、場合によっては弁護士が必要となります。
民事再生や自己破産など裁判所を介する手続きでは、弁護士のサポートを受けるといいでしょう。
任意整理
任意整理は、裁判所を使わずに債権者と交渉して借金の返済額や方法を見直す手続きで、基本的には住宅ローン以外の借金が対象です。他の借金が軽減されれば、住宅ローンの支払いが楽になり、任意売却を回避できる可能性があります。
民事再生
民事再生は、裁判所を通して借金を大幅に減らす手続きで、住宅ローンを除いた借金が対象です。「住宅資金特別条項付き個人民事再生」を使うと、住宅ローン以外の借金が軽減し、家に住み続けることが可能です。ただし、住宅ローンについては,そのままの内容のお支払いを続ける必要があります。
自己破産
自己破産は、すべての借金をゼロにする手続きですが、不動産がある場合は任意売却や競売で自宅を手放さなければならない可能性があります。破産管財人が資産を売却し、その費用で弁護士費用をまかなう場合があります。しかし、連帯保証人にはそのまま返済義務が残るので注意しましょう。
借金整理には任意整理、民事再生、自己破産といった方法がありますが、いずれも状況によって弁護士のサポートを受けましょう。
【ケース4】個人間で不動産を売買する場合
個人での不動産売却は可能ですが、リスクが高いため弁護士に依頼するのがいいでしょう。
個人間での取引は、さまざまなトラブルにつながる恐れがあるからです。
例えば、以下のようなトラブルが予測されます。
- 契約書の不備
- 支払いの遅延
- 法的制限の見落とし
宅建業の免許や資格を持たない場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
【ケース5】不動産に抵当権などの権利がついている場合
住宅ローンを借りる際に金融機関が購入した不動産に設定する担保権である「抵当権」などは、不動産の売却後も自動的に消えません。
住宅ローンが残っている物件では、売却後もローンが返済されないと金融機関による抵当権行使のリスクを負う可能性があります。
住宅ローンの残った物件を売却する場合、理想は売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消することです。弁護士に依頼すれば、返済状況の確認や抵当権を外すための手続きをサポートしてもらえます。
抵当権付きの不動産を売却する際には、弁護士に依頼してリスクを回避するのが安心感を得られるでしょう。
離婚時に不動産を査定する際の注意点
離婚時に不動産査定をする際には、注意点がいくつかあります。
以下で詳しく解説していきます。
財産分与の対象外の不動産もある
夫婦のどちらかが持っていても、配偶者と関係なく形成された財産は分与の対象外です。
結婚前に持っていた財産や、贈与・相続で得た財産のことで「特有財産」と呼びます。
特有財産は、以下のようなものがあります。
- 結婚前から保有していた預貯金や有価証券
- 親からの贈与や相続による不動産
財産を分与の対象外にするには、贈与契約書や相続に関する書類を用意し、結婚前や個人的に得たものであることを証明する必要があります。
また、子ども名義の預貯金やアルバイトの給料は子どもの財産となるので、財産分与の対象外です。しかし、子どもの教育資金として夫婦が積み立てた預貯金や学資保険は共有財産に含まれ、分与の対象となります。
また、法人名義の財産も夫婦の財産とは別物と見なされますが、配偶者の実質一人会社の場合などには例外的に認められる場合もあります。
ペアローンの場合両者の同意がなければ不動産の売却はできない
夫婦で1つの物件に対してローンを組み、契約や返済は個別に行う「ペアローン」で不動産を購入した場合、両者の同意がないと売却できません。
ペアローンは夫婦がお互いに連帯保証人となるため、どちらかが支払いを滞納するともう一方に支払い義務が生じる可能性があります。
離婚後にペアローンを組んだ物件を売却する場合、話し合いや手続きの準備などを共同で行わなければなりません。また、売却に書類も2人分用意する必要があるため、事前に対応策を決めておきましょう。
不動産の査定額はあくまでも目安になる
不動産の査定額はあくまで目安であり、必ず実際の売却額とは一致するとは限りません。
不動産の価格は築年数、時勢や市場状況、立地やエリアの需要など、さまざまな要素によって変動するからです。
また、売却するタイミングによっても価格が変わります。
不動産会社が提示する査定額を基に、売主が売り出し価格を設定します。
その後の取引過程で、買主との交渉により成約価格が下がる場合があるため、資金計画を立てる際には注意しましょう。
不動産以外に財産分与が必要なもの
不動産以外で財産分与が必要なものは、大きくは以下の3つに分けられます。
清算的財産分与 | 夫婦が婚姻中に一緒に築いた財産を分けること |
扶養的財産分与 | 離婚によって生活が苦しくなる(元)配偶者を経済的に支援する |
慰謝料的財産分与 | (元)配偶者に与えた精神的な苦痛への慰謝料の意味を含むもの |
財産分与は法律上の権利(民法第768条1項、771条)でもあり、離婚の際にはしっかりと話し合うことが大切です。
離婚を急いでしまうと、本当はもらえるはずの財産をもらえずに損をする場合もあります。
財産分与をしない選択もできますが、財産分与の放棄となり一度放棄してしまうと撤回はできないので注意が必要です。
清算的財産分与
清算的財産分与は夫婦が婚姻中に一緒に築いた財産を公平に分配するものです。
夫婦のどちらの名義でも結婚生活中に築いた財産は「共有財産」として扱われます。
共有財産は夫婦それぞれの貢献度に基づいて公平に分けるのが原則で、離婚原因に関係なく行われます。
また、離婚原因を作った側である「有責配偶者」でも、清算的財産分与の請求が認められ、夫婦の財産を2人で分けることが可能です。
扶養的財産分与
扶養的財産分与は、離婚によって生活が苦しくなる元配偶者に対する経済的支援です。
専業主婦(主夫)や高齢、病気などで経済力が弱い配偶者を支えるためのものですが、その必要性が重要となります。
専業主婦(主夫)だった配偶者が離婚後に仕事を見つけるのが難しい場合や、病気で働けない場合に、扶養的財産分与が認められる場合があります。
慰謝料的財産分与
慰謝料的財産分与は、元配偶者に与えた精神的な苦痛への「慰謝料」の意味を含む財産分与です。
離婚時に慰謝料と財産分与が問題となる場合、両者を一括して「財産分与」として扱います。
離婚の際に慰謝料と財産分与の両方が関わる場合、慰謝料の請求を別に行わず財産分与の一部として支払う形にする場合があります。この場合、慰謝料が含まれているため「慰謝料的財産分与」と呼ばれます。
離婚時に不動産以外に財産分与で弁護士が必要なケースは?
離婚時の財産分与で、不動産以外でも弁護士に相談が必要なケースがあります。
以下ではケース別に解説します。
【ケース1】預貯金等の資産がある場合
財産分与は預貯金、不動産、株式、自動車、退職金などが対象です。
財産分与の対象はすべての資産ではなく、何が対象になるかはケースによって異なります。
預貯金や不動産だけでなく、退職金や保険の解約返戻金なども対象になる一方で、独身時代の財産やその期間に相当する退職金や解約返戻金、特定の贈与財産などは対象外になります。
例えば、退職金や株式がある場合、どの部分が財産分与の対象になるのかは、法律に基づく判断が必要です。
後にトラブルになるのを避けるため、専門の弁護士に相談し正確な情報を得るといいでしょう。
【ケース2】借金がある場合
財産分与は財産だけでなく、住宅ローンや自動車ローン、金融機関からの借入れなどの借金も整理しておく必要があります。
夫婦間で負っている借金も財産分与の対象となり、住宅ローンや親族からの借入れをどう分けるかを決めなければいけません。これを怠ってしまうと、片方に負担が集中するなど不公平な結果になる可能性があります。
弁護士に相談すると、借金の分け方や対応策について適切なアドバイスが得られるでしょう。
【ケース3】資産が不明な場合
財産分与の対象となる資産がわからない場合、弁護士に依頼して調査をしてもらいましょう。
隠れていた資産が判明する場合があるためです。
夫婦の一方が資産を隠していた場合、弁護士の調査によりその資産が明らかになる場合があります。ただし、その場合は、調停や裁判等を行っていないと難しい場合もあります。また、合意書は法律の専門知識が必要なため、弁護士の助言を得て作成すると後のトラブルを避けられます。
不動産査定で弁護士に依頼する場合の費用相場
弁護士に依頼する場合、相談料や着手金、報酬金などの費用がかかります。
費用は依頼内容や弁護士事務所によって異なるため、事前に相場を理解しておくと安心です。
弁護士報酬は自由化されているため、金額は事務所ごとに異なります。
一般的にかかる費用は以下の通りです。
- 相談料
- 着手金
- 報酬金
- その他実費
- 手数料
相場 | |
相談料 | 1時間あたり5,000円~1万円 |
着手金 | 20万〜50万(案件による) |
報酬金 |
300万以下で約16%、3億円超の場合で約4%程度です。 |
その他費用 | 交通費・郵便代、日当(半日約3万〜5万、1日約5万〜10万)など |
手数料 | 書類作成や登記の手数料など |
弁護士費用はさまざまな種類があるため、事前に費用の詳細を確認しましょう。
依頼内容に応じて、見積もりを取ると安心して進められます。
まとめ
この記事では、離婚時の不動産鑑定には弁護士に相談が必要なのか?や、財産分与の対象や、依頼する際の相場などを解説してきました。
離婚を考え始め、不動産をお持ちの場合は不動産査定を受けましょう。
基本的には不動産会社や、有料で行う不動産鑑定士に依頼しますが、トラブル回避のためには弁護士に相談すると安心です。
不動産鑑定そのものは弁護士は行いませんが、さまざまなサポートを受けられるので安心です。
離婚時には財産分与だけでなく話し合わなければならない項目が多いため、時間も労力もかかります。
弁護士に相談するとストレスが軽減でき、スムーズに進められるでしょう。
不動産をお持ちで、離婚を考え始めたらこの記事を参考に、進めてみてください・