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著作権法とは?【被害者・加害者・トラブルを防ぎたい方】~著作権侵害の際の対応とトラブル予防策~

【この記事の法律監修】  
田附法律事務所弁護士(東京弁護士会) 
田附法律事務所

インターネットの普及により一般人でも非常に身近な法律となっている著作権法ですが、普段あまり意識されることは少ないかも知れません。ですが著作権法は罰則が厳しく罰金も高額になりがちです。
また民事においても損害賠償請求される可能性が高いことから、著作権侵害には十分注意するべきです。本記事では著作権について解説し、著作権が侵害されてしまった場合や著作権を侵害してしまった場合についても解説します。

被害者側
「著作権を知らず知らずのうちに侵害されてしまった」という人は本記事を読むことでどのような対処法を取ればよいのかがわかり、その後の取るべき行動、損害賠償の請求方法などについても知ることができます。

加害者側
「著作権を知らず知らずのうちに侵害してしまった」あるいは「出来心で故意に著作権侵害をしてしまった」という場合は、著作権者から訴訟を提起される可能性があります。本記事ではそうなった場合の適切な対処法についても解説しています。

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1.著作権法とは?著作権法の基本的な概要と定義とは?

著作権法とは「著作物を創作した人=著作者」に発生する権利を保護する法律のことです。知的財産権の一つで、著作物の公正な利用を確保し文化の発展に貢献させる目的があります。
例えば、自分が創作した音楽や小説、漫画などを、他人が無断で自分のものだと言って無制限に販売してしまえば、本来著作者に入るべき利益が侵害されてしまいます。
すると著作者は創作意欲を失い、文化の発展を妨げる要因の一つとなってしまいます。こういったことを防ぐために著作権法が制定されています。

1-1.著作権法の定義

著作権法では以下のように定義が定められています。

(定義)
著作権法 第二条
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
引用:e-Gov法令検索 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)
(※二まで抜粋)

つまり以下のようになります。

■著作物の定義

  • 思想や感情を創作的に表現したもの
  • 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの

なお、著作物の要件は、上記の定義から以下のとおり整理できます。

  • 思想または感情を内容とするものであること
  • 創作的であること
  • 表現したものであること
  • 文芸・学術・美術または音楽の範囲に属するもの

参考:弁護士知財ネット 著作権法(2)著作物 ~どういうものが著作物になりますか?~

■著作者の定義

  • 著作物を創作する者

2.著作権の侵害とは?

以下では著作権の侵害などについて解説します。

  • 著作権の侵害とは何か、どのような行為が著作権侵害にあたるか?
  • 著作権法で守られる著作物の種類と具体例は?
  • 著作権の保護期間や存続期間はどれくらい?

2-1.著作権の侵害とは何か、どのような行為が著作権侵害にあたるか?

著作権侵害とは、他人の著作物を著作者(著作物を創作した本人)の許可を得ずに無断で使用、もしくは販売等することです。著作物は画像やテキスト、音楽など創作物全般を指し、これらをコピーしてそのまま使用、もしくは販売すると著作権侵害となる可能性があります。

使用とは、公衆への上映や上演、演奏などを行うことで、他にも著作物の放送や出版、インターネットでの配信も該当します。また、著作物は「著作者の意に反して改変されない」という「同一性保持権」が生じるため、著作物を改変しての使用、販売も禁止されています。

2-2.著作権法で守られる著作物の種類と具体例は?

著作権法で守られる著作物の種類は、著作権法第10条「著作物の例示」で制定されています。

第十条この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二 音楽の著作物
三 舞踊又は無言劇の著作物
四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五 建築の著作物
六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七 映画の著作物
八 写真の著作物
九 プログラムの著作物
引用:e-Gov法令検索 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)

著作権法で守られる著作物の具体例として挙げられるのは、例えばアーティストが作詞・作曲した音楽や描いたイラスト、作成した動画などが挙げられます。また絵画や小説、映画なども著作権法で守られています。
それ以外にも身近なところでは、一般人が撮影した写真や動画、その人が書いた絵なども著作物としてみなされると考えられます。以下で表にまとめています。

著作権法
第十条第一項

著作物の種類 著作物具体例
第一号 言語の著作物 小説・脚本・論文・文章全般
第二号 音楽の著作物 楽曲・楽曲中の歌詞・記譜・録音されたもの
第三号 舞踊又は無言劇の著作物 日本舞踊・バレエ・パントマイム・振付など
第四号 美術の著作物 絵画・版画・彫刻・書・舞台装置など
第五号 建築の著作物 住宅・ビル・神社仏閣・教会・記念碑など
第六号 図形の著作物 地図・図面・図表・模型など
第七号 映画の著作物 映画・アニメ・ゲームなど
第八号 写真の著作物 肖像写真・風景写真など
第九号 プログラムの著作物 ソースコード等のプログラムなど

2-3.著作権の保護期間や存続期間はどれくらい?

著作権の保護期間(存続期間)は原則として著作者の死後70年までです。著作権法は平成28年のTPP整備法によって改正されており、改正される前は著作者の死後50年までとなっていました。

参考:文化庁 著作物等の保護期間の延長に関するQ&A

3.著作権法違反の具体的な事例とその対処法は?

例えば、実際に起きた事例ではYouTubeに動画を投稿したユーザーが著作権者より著作人格権を侵害されたとして損害賠償請求される事案が発生しました。

参考:東京地方裁判所 損害賠償等請求事件

このようなトラブルを避けるためには、コンテンツ等を制作する際に、他者の作成した著作物が含まれていないか、よく確認する必要があります。また、他社の作成した著作物が含まれている場合には、その著作物を適法に使用するため、著作権者からの許可を得る必要があるか等、検討する必要があります。

4.著作権法違反における罰則や罰金は?

以下では著作権法違反における罰金や罰則などについて解説します。

著作権法に違反したときの罰則や罰金、逮捕の可能性は?
著作権法の改正ポイントや新たに追加された事項、今後の動向

4-1.著作権法に違反したときの罰則や罰金、逮捕の可能性は?

例えば、著作権法に違反し、著作権を侵害すると、著作権法第119条により原則として10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又はこれらの双方が課されるとされています。

(中略)
十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
引用:e-Gov法令検索 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)

なお法人においては著作権法第124条により、当該法人の業務に関して著作権法違反となった場合は、実行行為者の処罰に加えて法人自体にも、最大で3億円以下の罰金が科せられるとされています。

(中略)
次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
引用:e-Gov法令検索 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)

4-1-1.逮捕の可能性について

著作権法違反は親告罪となるため、基本的に著作権者から告訴されない限り逮捕されることはありません。しかしながら、2018年12月30日に施行された著作権改正法において、一部非親告罪となったため、被害規模が大きかったり、悪質性が高いと判断された場合は逮捕、起訴されてしまうこともあり得ます。

4-2.著作権法の改正ポイントや新たに追加された事項、今後の動向

令和5年第211回通常国会において、著作権法の一部を改正する法律が同年5月17日に成立し、同年5月26日に法律第33号として公布されました。改正されたポイントや新たに追加された項目は以下があります。

1.著作物等の利用に関する新たな裁定制度の創設等
2.立法・行政における著作物等の公衆送信等を可能とする措置
3.海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直し
引用:文化庁 著作権法の一部を改正する法律(概要).1p

著作権法改正1 主に著作権者等の意思が確認できない場合の著作物の利用に関する裁定制度を創設する等の措置について制定されました
著作権法改正2 立法又は行政における目的のために内部資料をクラウド等利用して公衆送信などを可能とする措置を講じました
著作権法改正3 海賊版等の著作権侵害に対する損害賠償額の算定方法の見直しについて制定されました

インターネットが普及し、著作権はこれまでのように出版社の社員やテレビ局のプロなど、一部の関係者だけが関わる時代が終焉し一般の人々も身近な問題となってきました。今後は海賊版等犯罪の増加如何によって、さらに厳しい著作権法の改正が行われていくかもしれません。

5.著作権法違反で弁護士に相談する場合の流れ

以下では著作権法違反で弁護士に相談する場合の流れや費用などについて解説します。

  • 著作権法で訴えられたとき、または訴えたいときにすべきこと
  • 著作権侵害に関する民事・刑事手続きの流れと弁護士のサポート内容
  • 著作権法に関して弁護士に相談する際の事前準備や必要な書類
  • 著作権法違反に関して弁護士に相談する場合の相談料や弁護士費用の目安

5-1.著作権法で訴えられたとき、または訴えたいときにすべきこと

以下では著作権法で訴えられたとき、または訴えたいときにどうすればよいかを解説します。

  • 著作権法で訴えられたとき
  • 著作権法で訴えたいとき

5-1-1.著作権法で訴えられたとき

著作権法で訴えられたときにすべきこととしては以下となります。

  • 当該指摘の検証と確認を行う
  • 当該指摘への反論を行う
  • 訴訟において解決する
  • 刑事手続き
5-1-1-1.当該指摘の検証と確認を行う

当方が他人の著作権を侵害していた場合、まずは著作権者から、内容証明郵便等によって警告書などが送られ、著作権侵害の指摘を受けますので、指摘された箇所の検証と確認を行います。
もし明らかに著作権を侵害していると判断できた場合は、直ちに当該コンテンツを削除すべきです。また、著作権者に謝罪し、ここで著作権者に納得してもらえれば、損害賠償を請求されない可能性も出てきます。

5-1-1-2.当該指摘への反論を行う

もし当方のコンテンツが著作権を侵害していない場合、その他、相手方の主張に反論可能と判断できれば、放置せずに反論を行います。お互いに主張を行い、ここで相手が納得すればそれで解決しますし、もし納得しなければ調停や訴訟など裁判上の法的手続きに移行する可能性もあります。

5-1-1-3.訴訟において解決する

相手が納得せず訴訟と提起されてしまったら、裁判所から訴状が届きますので指定された日までに答弁書を提出します。答弁書を提出しない場合は相手の主張がそのまま認められてしまうため必ず提出するようにします。このあと第一回訴訟の期日に裁判所への呼び出しがあります。

5-1-1-4.刑事手続き

著作権侵害は刑事罰があり刑事事件として立件される可能性があります。上項目「逮捕の可能性について」でも解説した通り、著作権侵害は一部「非親告罪」となっていますので、コンテンツの海賊版販売など不当な利益を得ていた場合は逮捕、起訴される可能性があります。

5-1-2.著作権法で訴えたいとき

著作権法で訴えたいときにすべきこととしては以下となります。

  • 当該コンテンツの指摘と削除、損害賠償等を求める
  • 訴訟によって差止めを求めたり損害賠償請求を行ったりする
  • 刑事事件として検討する
5-1-2-1.当該コンテンツの指摘と削除、損害賠償を求める

著作権法で訴えたい相手に対して、まずは当該コンテンツの指摘と削除を求める通知を行います。内容証明郵便を送付し侵害行為の停止と損害賠償請求を行う旨を相手に伝えます。

5-1-2-2.訴訟によって差止めを求めたり損害賠償請求を行ったりする

相手方が通知によっても対応しない場合、相手に対して民事訴訟を起こし「差止めの請求」「損害賠償請求」「名誉回復措置請求権」を求めます。ただし民事訴訟を起こすためには相手を特定している必要がありますので、インターネット上での著作権侵害の場合で、相手を特定できていないときには、必要に応じて発信者情報開示請求を行い、相手を特定する必要があります。

5-1-2-3.刑事事件を検討する

著作権法は刑事罰も規定されているため、警察に被害届けや告訴状を出すことで刑事事件とすることもできます。

5-2.著作権侵害に関する民事・刑事手続きの流れと弁護士のサポート内容

著作権侵害に関する民事・刑事手続きの流れと弁護士のサポート内容は以下となります。

  • 著作権侵害に関する民事上の手続き
  • 著作権侵害に関する刑事上の手続き
  • 著作権侵害に関する弁護士のサポート内容

5-2-1.著作権侵害に関する民事上の手続き

著作権侵害に関する民事上の手続きは以下となります。

  1. 内容証明郵便を送付する
  2. 仮処分の申し立てを行う
  3. 訴訟の提起を行う
  4. あっせんの申請を行う
  5. 強制執行を申し立てる
5-2-1-1.1.内容証明郵便を送付する

著作権を侵害している相手に対してまずは内容証明郵便を送付します。内容には侵害行為の停止、及び損害賠償請求を行う旨を記載します。これを行うことで、こちら側の責任を追求する強い意思を示すことができます。

5-2-1-2.2.仮処分の申し立てを行う

著作権侵害の差止請求は裁判所に仮処分を申し立てることにより行うことが多くあります。ケースとしては緊急性があることが多く、速やかに差止請求を行う必要があるからです。

5-2-1-3.3.訴訟の提起を行う

著作権侵害の解決は最終的に裁判所に訴訟を提起して争うことになります。著作権者は相手の侵害行為や自らが被った被害状況などを立証し、裁判所に判決を求めます。

5-2-1-4.4.あっせんの申請を行う

文化庁長官に対してあっせんの申請を行うことで和解に向けた話し合いを行うこともできます。あっせん手続きでは3人までのあっせん委員が仲介し、当事者双方が和解できるように取り持ってくれます。平均審理期間はおおむね6ヶ月程度で訴訟よりも早期に解決できるメリットがあります。

5-2-1-5.5.強制執行を申し立てる

加害者による侵害行為や損害賠償責任が認められているにもかかわらず、加害者が侵害行為の停止や損害賠償の支払いを拒否している場合には、裁判所に強制執行を申し立てます。裁判所は、加害者が侵害行為の停止義務を履行するまでの間は間接強制金の支払いを義務付けます。そして損害賠償の強制執行については、直接強制により財産の差し押さえなどを行います。

5-2-2.著作権侵害に関する刑事上の手続き

まず著作権侵害は基本的に親告罪のため、加害者を起訴及び処罰するには著作権者(被害者)の刑事告訴が必要です。刑事告訴は口頭もしくは書面によって、警察官または検察官に行います。多くの場合は、警察署へ告訴状を提出する方法によります。

5-2-3.著作権侵害に関する弁護士のサポート内容

著作権侵害に関しては弁護士より以下のサポートが受けられます。

  • 被害者・加害者ともに最適なアドバイスを受けられる
  • スピーディーな対応が期待できる
  • 代理人となってもらえる
  • 告訴の際もサポートしてもらえる
5-2-3-1.被害者・加害者ともに最適なアドバイスを受けられる

弁護士に相談することで、被害者・加害者ともに争いが泥沼化する前に最適なアドバイスを受けられます。
著作権者(被害者)は著作権を侵害された場合、被害拡大を防止したり損害賠償請求したりできる可能性があるため、弁護士に早めに相談するようにします。

また加害者も、他者の著作物を引用・利用したり、二次利用したりする際に著作権侵害のリスクがある場合は、トラブルを未然に防ぐために弁護士に相談するようにします。

5-2-3-2.スピーディーな対応が期待できる

例えば、上項目「2.仮処分の申し立てを行う」でも解説した通り、著作権侵害の差止請求については緊急性を要することが多くあるため、スピーディーな対応が求められます。こういったときに弁護士であれば、スピーディーかつ適切な対応が期待できます。著作物の盗用や無断複製に対し迅速に対処し、権利回復や被害軽減に向けた適切な手続きを行えます。

5-2-3-3.代理人となってもらえる

弁護士は差止請求や損害賠償請求を行う際の代理人となってもらえます。弁護士は著作権者(被害者)の法的権利保護を求める活動が可能なため、差止請求や損害賠償請求などを著作権者(被害者)に代わって行うことができます。

5-2-3-4.告訴の際もサポートしてもらえる

弁護士であれば告訴の際もサポートをしてもらえます。例えば著作権侵害の場合、どのような事案でも告訴ができるとは限りません。告訴するにあたってよく問題になる点が、故意であったか否かということです。

刑事事件として処罰の対象となるのは故意であった場合に限られるため、故意でなかった場合は処罰の対象とはなりません。一般の人ではこういった対処が難しい場合でも、弁護士であれば適切にサポートしてもらえます。
こうしたサポートを行ってもらうことで安心感が得られ、通常の生活を不安なく送ることができます。

5-3.著作権法に関して弁護士に相談する際の事前準備や必要な書類

弁護士への相談は無料の場合と有料の場合があり、弁護士事務所によって異なります。有料である場合は相談料が必要です。その上で事前準備や必要な書類などを用意します。主に以下のような準備をしておくと伝えやすいと言えます。

  • 要点を整理しメモしておく
  • 証拠や資料を集めておく
  • 希望する解決方法を明確にしておく

5-3-1.要点を整理しメモしておく

相談に行く際は、第三者にも状況が分かりやすく伝わるように要点を整理してメモしておくことをおすすめします。
例えば、著作権者(被害者)であればどういったコンテンツがどのように侵害されたのか、また加害者であれば著作権者(被害者)からどういったことを告げられたのか、など、時系列で状況を分かりやすく説明できると理解してもらいやすくなります。

5-3-2.証拠や資料を集めておく

できるだけ証拠や関連資料を集めてから相談しに行くようにすると適切なアドバイスをもらいやすくなります。あまりにも証拠や関連資料が少ないと、弁護士でも適切な判断ができかねることが多くあります。

例えば、自分の作成したイラストと、そのイラストが無断でアップロードされているWebサイトをセットで見せられるようにしておくなど、コツコツ証拠を集めて見やすいように作成しておくとスムーズに相談が進みます。

5-3-3.希望する解決方法を明確にしておく

希望する解決方法についても明確にし、予め弁護士に伝えておくことで本人が望む解決方法に近づけられます。
例えば、著作権者であれば、使用を停止してもらえればよいのか、損害賠償請求まで望むのか、あるいは刑事告訴まで行うつもりなのか、といった解決の最終目標を明確にしておきます。

5-4.著作権法違反に関して弁護士に相談する場合の相談料や弁護士費用の目安

  • 相談料
    弁護士に相談する場合の相談料は弁護士事務所によって異なります。初回のみ無料というところもあれば30分で5,000円というところもあります。一般的には30分~1時間程度で数千円~3万円程度となります。

  • 弁護士費用
    一般的に弁護士費用は「着手金+成功報酬+日当+実費・その他費用」となります。

着手金
(15万円~+税)

弁護士へ正式に依頼する際に支払います(原則返還はされません)
成功報酬
(15万円~+税)
依頼者の望む結果となった際に弁護士に支払います
日当
(3万円~10万円)
弁護士が出張した際に日数に応じて支払います
実費・その他費用 弁護士が負担した交通費や裁判費用、郵送料など諸々の費用です

6.著作権法に関するその他疑問

著作権法に関するその他の疑問について以下で解説します。

  • 著作権法に基づく引用のルールは?
  • 著作権侵害の予防策、対策、著作権法を遵守するためのポイント
  • 著作権法で保護されない著作物や利用可能な著作物の範囲
  • インターネット上の著作権(画像・動画・音楽など)の取り扱いとリスク
  • 著作権法と関連する契約書(ライセンス契約、譲渡契約)の注意点
  • 著作権が制限される場合は?
  • 著作権法第27条・第28条などの特定条文の意味や適用範囲
  • 著作権の登録方法、著作権を証明する方法
  • 著作権法と他の法律(特許法・商標法など)との違い
  • 学校や図書館など特定機関での著作権法の適用

6-1.著作権法に基づく引用のルールは?

著作権法における「引用」に該当する場合には、例外的に著作権者に無断で著作物を使用することができます。
著作権法における引用のルールは以下となります。

  • 引用ルール
  • 引用部分が明示されている必要がある
  • 引用元が明示されている必要がある
  • 自分の著作部分が「主」で引用部分が「従」の「主従関係」である必要がある
  • 引用部分が改変されていない必要がある
  • 引用する必然性がある必要がある

6-2.著作権侵害の予防策、対策、著作権法を遵守するためのポイント

著作権侵害を予防する方法としては以下があります。

  • 当該著作物の著作権者に利用可能か確認する
  • 当該著作物は商用利用可能かを確認する
  • コンテンツをコピー&ペーストで作らない
  • 「引用」のルールに則って引用する

6-3.著作権法で保護されない著作物や利用可能な著作物の範囲

著作権法で保護されない著作物や利用可能な著作物の範囲は以下となります。

  • 時事の報道(ただし、新聞記事は著作物に該当します。)
  • 単なる事実やデータなど
  • 思想やアイデアなど(頭の中にあるだけで表現されていないもの)
  • 一般的にありふれた表現など

6-4.インターネット上の著作権(画像・動画・音楽など)の取り扱いとリスク

インターネット上のコンテンツは常に著作権侵害のリスクがあります。これらを取り扱う場合は以下の点に注意します。

  • コンテンツの出所を把握し知らず知らずのうちに無断で使用していないか確認する
  • コンテンツは正規の手続きを経て入手しているか確認する

6-5.著作権法と関連する契約書(ライセンス契約、譲渡契約)の注意点

著作権法と関連する契約書(ライセンス契約、譲渡契約)は第三者に対して当該著作物の利用を許可及び譲渡する契約書です。これらの契約書について注意する点としては以下が挙げられます。

  • ライセンスや譲渡の範囲を確認しておく
  • 報酬(ライセンス料)などのライセンスや譲渡の条件について確認しておく
  • 相手方が著作権を侵害した場合の権利についても確認しておく

6-6.著作権が制限される場合は?

著作権が制限され、著作物を自由に使用できる場合があります。これらには私的使用のための複製をはじめ、非営利・無料の場合の著作物利用などが含まれます。

参考:著作権が制限されるのはどんな場合? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

6-7.著作権法第27条・第28条などの特定条文の意味や適用範囲

著作権法第27条・第28条などの特定条文の意味や適用範囲は以下となります。

  • 著作権法第27条

(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
引用:e-Gov法令検索 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)

意味や適用範囲:著作権法第27条は「翻訳権、翻案権」等を定めた条文です。当該著作物を翻訳、編曲等して作り変える権利は著作者が占有し、他人が無断で作り変えてはならないという意味になります。例えば、小説やマンガをドラマ化、映画化する行為が含まれます。

  • 著作権法第28条

(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。
引用:e-Gov法令検索 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)

意味や適用範囲:著作権法28条は「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利」を定めた条文です。つまりもともとの著作物を他人が改変し二次的著作物を創作しても、二次的著作物の権利はもともとの原著作者も有するという意味です。

6-8.著作権の登録方法、著作権を証明する方法

著作権は、著作物が創作された時点で自動的に発生する権利です。そのため、著作権が生じるための手続きは不要ですが、「著作権登録制度」に基づき、著作権の登録をすることにより、著作権を証明するうえでメリットとなります。登録方法としては、主に以下があります。

実名登録 無名又はペンネーム等で公表された著作物の著作者が、実名を登録することができます
第一発行年月日等の登録 著作物を最初に発行し、又は公表した年月日を登録することができます
創作年月日の登録 プログラムの著作物がを創作された年月日を登録することができます
著作権・著作隣接権の移転等の登録 著作権の譲渡等があった場合に登録することができます
出版権の設定等の登録 出版権の設定などに関して登録することができます

6-9.著作権法と他の法律(特許法・商標法など)との違い

著作権法と他の法律(特許法・商標法など)との違いは「発明の保護」及び「商標の保護」といった違いがあります。

  • 特許法

第一条 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。
引用:e-Gov法令検索 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)

意味:特許法は主に発明の権利を保護し特許と認める法律です。

  • 商標法

第一条 この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。
引用:e-Gov法令検索 商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)

意味:商品やサービスに付されるネーミングやロゴマークのことを商標と言い、この商標を保護する法律が商標法です。

6-10.学校や図書館など特定機関での著作権法の適用

学校や図書館など特定機関においては、営利目的ではない範囲内において資料を複製することが認められています。

参考:公益社団法人著作権情報センター CRIC 著作権が制限されるのはどんな場合?

まとめ

本記事では著作権法について解説しました。インターネット上に簡単にコンテンツをアップロードできる昨今において、著作権侵害は一般人でも非常に身近な問題となっています。
知らず知らずのうちに他人の著作権を侵害してしまわないように細心の注意を払うべきといえます。著作権を侵害されてしまった場合、逆に著作権を侵害してしまった場合は弁護士に早めに相談することをおすすめします。

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