仕事でのミスの損害賠償は?【従業員側、企業側】必要性や事例、慣習的な制度の場合は?
【この記事の法律監修】
熊本 健人弁護士(大阪弁護士会)
磯野・熊本法律事務所
【この記事で学べる事】
・労働者が仕事でミスをした場合の損害賠償責任についての法的解釈
・会社から賠償金を求められた場合の対処法
・損害賠償として個人で払わされたお金を退職後に会社に請求可能か
・会社側が労働者に対してとる対応
・弁護士に相談する選択
例えば、会社に雇用されているドライバーが交通事故を起こすなど、仕事をしている中で労働者がミスをして損害を出すことがあります。
損害を出した場合にはその損失を補償しなければならないのは当然なのですが、この場合に労働者個人が全額損害賠償をする義務を法律上負っているのでしょうか。
また、会社側が誤った請求を労働者にすれば、逆にリスクを負うことにもなりかねません。
この記事では、仕事上のミスをした場合の損害賠償義務と、実際の取り扱い、不当な取り扱いに対する対応方法を中心にお伝えします。
1.業務ミスでの損害賠償に関する法律
仕事上でミスをした場合にどのような法律が関わってくるのかを整理しましょう。
1-1労働者のミスで第三者に損害を与えた場合の法律
まず、労働者のミスで第三者に損害を与えた場合の法律はどうなっているのでしょうか。
労働者のミスで第三者に損害を与えた場合には、だれがその第三者に対してどのような責任を負うのでしょうか。
典型的な事例が、上述した会社に雇用されているドライバーが交通事故を起こして、第三者に損害を与えた場合です。
この場合、被害者は労働者であるドライバーに対して、民法709条に基づく不法行為損害賠償請求の追及が可能です。
◆(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用:e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
そして、このケースでは、会社の事業のために労働者が運転をしていて事故によって損害を与えた場合であるので、民法715条1項の使用者責任により、被害者は会社に対しても不法行為損害賠償請求の追及が可能です。
◆(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
引用:e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
被害者は、労働者・会社両方に請求できることになるのですが、この場合の労働者・会社は被害者に対してそれぞれ全額の支払い義務を負う、不真正連帯債務という種類の連帯債務を負っているとされています。
不真正連帯債務とは、加害者が複数いる場合の不法行為の加害者同士(共同不法行為者)が、被害者に対して負う損害賠償責任の法的性質のことをいいます。
◆(共同不法行為者の責任)
第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
引用:e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
そのため、被害者としては、労働者と会社の連帯債務者のうち、より確実に賠償をしてもらえる会社に対して全額の請求をするのが通常です。
1-2.被害者に対して損害賠償をした場合の会社・労働者の法律
被害者に対して損賠賠償をした場合の会社・労働者間の法律についてはどのようになるのでしょうか。
1-2-1.会社は労働者に求償権という権利で支払った損害賠償について請求できる
会社・労働者は上述したように不真正連帯債務を負っている状態であるのは上述の通りです。
そして、会社が損害について全額を支払った場合、労働者に対して支払った損害賠償の支払いを求めることができる求償権という権利が民法715条3項に規定されています。
そのため、会社は労働者に対して第三者に対して支払った損害賠償について、求償権という権利をもとに請求することができます。
1-2-2.会社の求償権は損害の全額の請求までは認めていない
民法715条3項の規定だけ見ると、会社は労働者に対して、支払った損害賠償額全額を請求できるようにも読めます。
しかし、実際に会社から労働者個人に対して損害賠償を求めた訴訟において、最高裁判所昭和51年7月8日判決では、全額の損害賠償請求を認めませんでした。
参考:最高裁判所の判例
全額の損害賠償請求を認めなかった理由は次の2点にあります。
- 民法715条3項に基づく求償権については損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度で請求が可能である。
- その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情から請求できる額が決まる
この考え方は、会社は労働者を使用することで利益を得ているのであって、その損失の全部を労働者に押しつけるのは好ましくなく、「利益の存するところに損失も帰するべきである」という「報償責任の法理」がこの考え方の一つの根拠です。
また、会社はこのような損害を与える可能性があるものについては、保険に加入することができるのであって、労働者に全額を負担させるのも公平とはいえないという考えも根拠に挙げられます。
上記の判例では、タンクローリーが起こした対物事故について、会社が労働者に損害賠償を求めたものです。
ここでは、会社側の事情として次の事実が認定されました。
- 会社は石炭、石油、プロパンガス等の輸送及び販売を業とする資本金800万円の株式会社
- 従業員約50名を擁している
- タンクローリー、小型貨物自動車等の業務用車両を20台近く保有している
- 経費節減のため、右車両につき対人賠償責任保険にのみ加人し、対物賠償責任保険及び車両保険には加入していなかった
一方労働者側の事情として次の事実が認定されました。 - 主として小型貨物自動車の運転業務に従事し、タンクローリーには特命により臨時的に乗務するにすぎない
- 本件事故当時、重油をほぼ満載したタンクローリーを運転して交通の渋滞しはじめた国道上を進行中、車間距離不保持及び前方注視不十分等の過失により、急停車した先行車に追突した
- 本件事故当時、 月額約45,000円の給与を支給され、その勤務成績は普通以上であった
以上の事実関係を考慮した結果、会社が労働者に請求できたのは全体の1/4とされました。
これは、会社は対物賠償保険をかけることができたのに経費削減のためにこれをしていなかったこと、労働者は小型貨物自動車の運転業務に従事しており、重油をほぼ満載したタンクローリーの運転に特命により臨時的に乗務するにすぎない、といった事情があり、労働者の負担部分が1/4と軽くされたものです。
そのため、通常業務である小型貨物自動車の乗務に従事しており、酒酔い状態で運転していたような場合には、労働者が負うべき損害額はもっと増えるでしょう。
1-2-3.労働者が全額支払った場合には会社に逆求償が可能
ここまで会社が全額支払ったことを前提にお話をしてきました。
しかし、法律上は会社・労働者双方に全額の支払い義務があり、労働者が先に自分で全額の賠償をすることもあります。
会社が先に全額を支払った場合には、労働者に対して求償権によって支払った損害賠償を負担させることは、上述した民法715条3項によって可能です。
しかし、労働者が全額支払った場合に会社に対して求償する逆求償については、法律の規定がありません。
この点について、労働者が被害者に対して行った損害賠償請求の逆求償を求めた、最高裁判所令和2年2月28日判決では、逆求償を認めています。
参考:最高裁判所の判例
当然ですがこの場合も、会社に対して全額の請求をすることはできず、上記の諸般の事情を考慮して相当な額の請求ができるにとどまります。
1-3.会社に対して損害を与えた場合
次に労働者のミスで会社に対して損害を与えた場合について考えましょう。
例えば、飲食店で働く労働者がミスをして店にあるお皿を割ってしまった場合や、誤発注をして大量に破棄しなければならなくなって損失を出したような場合が挙げられます。
民法415条1項本文は、契約当事者がその義務に定めた債務の履行をしない場合には、損害賠償をする義務が規定されています。
◆(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
引用:e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
労働者と会社の間には雇用契約(労働契約)が結ばれており、この契約によって労働者は会社に対して労務を提供する義務があり、労務を提供しないことによって損害が発生した場合には、会社は労働者に対して損害賠償請求をすることが可能です。
もっとも、債務不履行に基づく損害賠償請求も、損害の公平な分担という観点から規定されているもので、上記の報償責任の法理が当てはまり、上記の最高裁判所昭和51年7月8日判決で示された事情を考慮して負担を決めることになります。
1-4.罰金などのペナルティを課している場合には労働基準法に違反
例えば「遅刻1回罰金○千円」など会社によっては労働者のミスに対して罰金を課すことを規定している場合があります。
このような罰金のようなペナルティを課すことは、労働基準法16条によって禁止されています。
◆(賠償予定の禁止)
第十六条使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
引用:e-GOV法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
労働基準法16条に違反した場合には、労働基準法119条1号で6ヵ月以下の懲役もしくは30万円未満の罰金刑が定められている点に注意が必要です。
◆第百十九条次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第六項、第三十七条、第三十九条(第七項を除く。)、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者
二第三十三条第二項、第九十六条の二第二項又は第九十六条の三第一項の規定による命令に違反した者
三第四十条の規定に基づいて発する厚生労働省令に違反した者
四第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第六十二条又は第六十四条の三の規定に係る部分に限る。)に違反した者
引用:e-GOV法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
会社によっては慣例的に罰金が定められている場合がありますが、刑事罰で禁止されるものであることを改めて確認しておきましょう。
1-5.会社が労働者に損害賠償できる場合の給与天引
会社が労働者に損害賠償できる場合、その全額を一度に支払うことができない場合には分割して支払うことになります。
この場合に給与から天引きにすれば確実に回収ができるといえます。
しかし、給与天引きをすることは、労働基準法24条1項に定められている、給与の支払いについての全額払いの原則に違反することになります。
そのため、給与天引きをすることは、違法です。
損害賠償を給与天引きにすることについては、罰金を定めることと同様に、労働基準法120条1項で30万円以下の罰金刑が規定されているので注意しましょう。
もっとも、労働者の同意を得て行う給与天引きについて、最高裁判所平成2年11月26日判決は、労働者が同意して給与天引きにしているものについては適法としています。
1-6.急に辞める・無断欠勤をした場合の損害賠償請求
会社から労働者への損害賠償請求でよく問題になるのは、バックレなどと呼ばれる急に会社を辞めることや、ドタキャン、ブッチ、ボイコットなど呼ばれる無断欠勤をする場合に会社から損害賠償をされることです。
退職に関する法律の規定として、労働契約が無期雇用契約である場合には、退職の2週間前までの申し出により退職をすることができます(民法627条1項)。
一方で有期雇用契約である場合には、やむを得ない事由が無い限り、契約期間満了まで退職することはできず、万が一退職をする場合には相手に対して損害賠償の責任を負います。(民法628条)
もっとも、期間の定めのある労働契約についても、労働基準法137条の規定によって、労働契約の期間の初日から1年を経過した段階で、労働者はいつでも会社に申し出ることにより退職できるものとしています。
無断欠勤については、他の人に勤務してもらったことによって休日手当を出さなくてはなりなくなった、日雇い派遣を急遽採用した、遠くの別店舗の人に急遽応援を依頼するため交通費がかかった、などで損害が認められること自体は否定できません。
しかし、報償責任の法理はここでも当てはまり、会社はその全額を労働者に請求することはできません。
ここまでお伝えしているように諸般の事情を考慮することになるのですが、数日の欠勤で損害が生じるものについては、通常会社の採用や人員管理などの労務管理ミスと判断されることが多く、会社が労働者を訴えたとしても請求を認めない、認めたとしてもとても裁判をするコストには見合わないことが考えられます。
無断で早退をした、サボったというような場合も同様に考えることが可能で、損害賠償を請求するのはコストに合わないため、実際には行われないでしょう。
2.労働者側の対応方法
会社から損害賠償の支払いを求められた・支払った損害賠償が適切なものではない場合に、労働者はどのような対応をすべきでしょうか。
2-1.会社から損害賠償の支払いを求められた場合の対応方法
会社から損害賠償の支払いを求められた場合の対応方法としては次のものが挙げられます。
2-1-1.会社の主張が正しいかどうか検討する
会社の主張が正しいかどうかを検討しましょう。
上述したように、会社が支払った損害の全額の支払いを求められた場合や、一部であってもその比率が多すぎるという場合があります。
会社の主張が正しいかどうか、基礎となる事実を調べ、会社が主張する金額が正しいかどうか確認します。
ご自身での判断が難しい場合が多いと思いますので、この時点で弁護士に相談してもいいかもしれません。
2-1-2.減額の交渉をする
会社が、全額の支払いを求めている場合や、損害賠償として労働者個人に認められるものよりも多くの金額の損害賠償を求めているような場合には、適切な金額とその根拠を示して減額の交渉をします。
減額の交渉をするにあたっては、今回の請求の基礎となる事情と、類似する案件での損害賠償額を示すようにしましょう。
こちらも、ご自身での対応には難易度の高い内容なので、弁護士への相談も候補になります。
2-1-3.支払いについての交渉をする
会社の主張する金額が正しい場合や、会社の主張する金額を受け入れざるを得ない場合には、その支払いについて交渉をします。
支払い額・支払日などについて合意するとともに、一括で支払えない場合には分割して支払うように交渉します。
分割で支払う交渉をする場合には、給与天引きについて打診される可能性があるので、合意をした場合には給与天引きが適用になることをもう一度確認しておいてください。
これらのどの対応も、やはり専門的知識が必要になることが多いです。
重ねてになりますが、特に金額が大きい場合などは弁護士相談など専門家のアドバイスを元に実行することをお勧めします。
2-2.すでに会社に支払ってしまった・給与天引きされていた場合の対応方法
すでに会社に損害賠償として支払ってしまったり、給与天引きされていた場合の対応方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
2-2-1.会社に対して返還を求めることは可能
もし損害賠償として、本来負担すべき損害賠償以上に支払ってしまった場合、会社に対して返還を求めることは可能なのでしょうか。
会社が労働者に損害の全額を主張してきたり、過大な割合の請求をして受け取ったとしても、その受け取った損害賠償については本来受け取る法律上の理由がありません。
このように法律上の理由なく金銭を受け取っている場合、損失を受けた人は金銭を受け取った人に対して返還を請求できます。
この請求のことを、不当利得返還請求権と呼んでおり、民法では703条以下に定めがあります。
そのため、労働者は会社に対して、払いすぎた損害賠償分について、不当利得返還請求権として返還するように求めることができます。
支払った損害賠償のうち不当に請求された分については、交渉をして取り戻す、交渉に応じない場合には民事訴訟などの法的請求により取り戻すことが可能です。
なお、この請求権は民法上の債権として5年の消滅時効があるので(民法166条1項1号)、5年が経過すると請求できないことに注意が必要です(なお、2020年3月31日以前に生じた不当利得返還請求権の消滅時効期間は、請求できるときから10年)。
2-2-2.労働基準監督署への申告
もし、強制的に給与天引きにされている場合・罰金を定められていた場合には、労働基準監督署への申告を行うことも検討しましょう。
労働者個人の同意の無い給与天引きや、罰金の定めは、上述した通り労働基準法に違反するものです。
労働基準法に違反する行為を会社が行っている場合、労働者は労働基準監督署にその事実の申告をすることができる旨と、その申告を理由とする解雇などの不利益な取り扱いを禁じています(労働基準法104条)
3.会社側の対応方法
一方で会社側が労働者に対してどのような対応をすべきなのでしょうか。
3-1.事実関係を把握し適切な請求額を把握する
まずは事実関係を把握して、適切な請求額を把握しましょう。
労働者にいくら請求するのが妥当か、その根拠となる事実関係や、請求金額についての類似する事例をしっかり示して、労働者にたいして示すことで、損害賠償の問題を長期化せずに解決することができるためです。
全額の支払いを求めることはもちろん、過大な請求をすると相手に拒まれることになり、強引な請求によって退職を招くとトラブルになることが避けられないので注意が必要です。
自社で顧問弁護士を雇っている場合は、相談しましょう。もし顧問弁護士がいない場合も、単発での相談やアウトソーシングで弁護士に頼んで意見を聞くこともできます。
3-2.労働者に対して支払いを求める
支払いについての交渉を行います。
金額や支払い方法についての交渉を行います。
一括で支払えない場合には分割支払いを求めることになりますが、もし給与天引きする場合には合意を得る必要があるのはここまで何度かお伝えしている通りです。
労働者の支払いが難しい場合には、保証人に対する請求を行います。
書面を交わすなど、後々トラブルにならないようしっかり法的手続きをとりましょう。
3-3.労働者が損害を与えた場合に備えて保険に加入する
これから労働者が損害を与えた場合の措置について検討する場合には、労働者が損害を与えた場合に備えての保険に加入するようにしましょう。
運送会社や営業で自動車を利用するような場合、人身事故を起こした結果多額の損害賠償請求をされる可能性があります。
労働者に全額請求できないのはお伝えした通りで、このような事態に備えて保険に加入しておくようにしましょう。
3-4.労働基準法に違反する状態がないか再度確認する
罰金の設定や給与天引きなど、労働基準法に違反する措置をとっていないかは再度確認をしておきましょう。
労働基準監督署による行政指導や刑事罰といったリスクがあります。
4.弁護士に相談するときにはどのような準備が必要か
仕事上でミスをして損害を出した場合に、弁護士に相談する際にはどのような準備が必要でしょうか。
4-1.諸般の事情を構成する事実をなるべく集める
弁護士に相談する際には、上述した「諸般の事情」を構成する事実をなるべく集めるようにしましょう。
労働者が損害賠償について責任を負うか、負うとしてどの程度の負担をするかは、上記判例の諸般の事情としてどのような事実を考慮するかによります。
そのため、諸般の事情を構成する事実をなるべく集めて相談するようにしましょう。
4-2.弁護士と早めに初回相談を実施する
まず、弁護士に法律相談する手順は簡単です。弁護士を選び、都合のいい日時で予約を入れるだけです。初回の相談だけであれば、相談料だけで済むので、実際に状況に合わせた依頼をするしないは相談してみて考えればいいのです。
多くの場合において、後になれば後になるほど、問題解決が難しくなるものです。その後の対応も、相談内容によって変わってくることでしょう。
弁護士相談は最短でその日のうちに行うことも可能なので、予約をとった上でまずは相談してみることをお勧めします。
相談予約はこちらから(https://www.kakekomu.com/)
5.まとめ
この記事では、仕事上のミスをした場合の損害賠償義務と、実際の取り扱い、不当な取り扱いに対する対応方法を中心にお伝えしました。
仕事のミスをした場合、労働者も会社も被害者である第三者に対して損害賠償義務を負います。
通常は会社が被害者に対して被害に対する支払いを行いますが、その場合会社は労働者に対して負担した損害賠償の請求が可能です。
この場合でも、会社・労働者の様々な事情から、労働者に全額の請求はできないことになっています。
仕事上のミスでの損害賠償の問題でお悩みなのであれば、まずは弁護士に相談してみてください。