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未払いの残業代を請求するには?証拠がない場合の対応、退職後も可能か?

【この記事の法律監修】
松本 理平弁護士(第一東京弁護士会) 
青山北町法律事務所

残業代未払いは、労働者にとって深刻な問題です。しかし、会社を相手に事を荒立てては自分が不利になると、泣き寝入りしている人もいるかもしれません。基本的に、労働者には未払い分を請求する権利があり、会社には支払う義務があります。

本記事では、残業代未払いを解決するための方法を、詳しく解説しています。残業代未払いで悩んでいる方や、今後のために知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。

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未払い残業代を請求したいと考えている人へ

「残業代が適切に支払われていない」という悩みを抱えている方は、案外多いのではないでしょうか。残業代の未払いは、会社が従業員への賃金支払義務を怠る行為であり、民事上の責任が生じます。厚生労働省の「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」によると、残業代や賃金の不払いに対して是正・指導を受けた会社は千社以上にのぼり、その金額は労働者1人あたり約10万円にもなっています。

残業代未払いは年々減少傾向にありますが、依然として深刻な問題であることは間違いありません。残業代未払いを解消するには、どうすればよいのでしょうか。普通に考えれば、会社に請求すればよいのですが、会社に未払い残業代を請求しても、素直に払ってくれるとは限りません。未払い残業代を請求したい方には、弁護士への相談や依頼を強くおすすめします。

弁護士に依頼するメリット

残業代の請求を弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。

  • 未払いの残業代を正確に算出してもらえる
  • 会社に対して証拠の開示を求めることができる
  • 会社との交渉を代行してもらえる
  • 精神的および時間的な負担を軽減できる
  • 交渉がうまくいかなかった場合でも、労働審判や訴訟を依頼できる

これらの5つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

メリット1:未払いの残業代を正確に算出してもらえる

未払いの残業代を請求するには、まず「どれだけの時間分、金額にしていくらの残業代が未払いであるか」をハッキリさせる必要があります。しかし、残業代の計算は複雑で、状況に応じて異なる割増率を考慮しながら、日ごとの残業代を算出しなければなりません。

このような複雑な作業を、不慣れな人が行うのは大きな負担となり、計算ミスが生じるリスクもあります。しかし、弁護士に依頼すれば、複雑な計算をすべて任せることができます。残業代請求に精通した弁護士であれば、迅速かつ正確に残業代を計算してくれるでしょう。

メリット2:会社に証拠の開示を求めることができる

弁護士は、残業未払いの証拠収集もサポートしてくれます。もし手元に残業をしたという証拠がなくても、会社がタイムカードなどの証拠を保持している場合には、弁護士が会社に対して開示請求を行い、証拠資料を開示させることができます。

現実には個人が開示請求をしても、会社が応じないことも少なくありません。しかし、弁護士が法律に基づいて手続きを進めれば、会社が態度を変えて開示請求に応じるのはよくあることです。

メリット3:会社との交渉を代行してくれる

未払い残業代を請求するには、会社との交渉が不可欠ですが、在職中や退職後の労働者にとって、直接交渉を行うことは大きな負担となるに違いありません。中には、会社の関係者と直接やり取りするのを避けたい方や、交渉に自信がない方もいるでしょう。弁護士は、依頼者の代わりに会社と交渉を行ってくれます。

弁護士が代理で交渉を進めれば、依頼人が交渉に関わる必要がなくなるのです。弁護士の豊富な法的知識と経験を活かせば、交渉がより有利に進むのは間違いありません。このように、代理交渉を依頼できるだけでなく、より良い結果を引き出せる可能性があるのは、弁護士に依頼する大きなメリットと言えるでしょう。

メリット4:精神的・時間的負担を軽減できる

個人で未払い残業代を請求する場合、精神的時間的な負担はかなりのものです。しかし、弁護士に依頼すれば、残業代の計算や証拠の収集、書類の準備、交渉など、すべてを任せることができます。弁護士に未払い残業代の請求を代行してもらうことで、依頼者の負担が軽減されてストレスなく事を進められます。

メリット5:交渉が決裂しても、労働審判や訴訟を依頼できる

会社との交渉が決裂したら、労働審判や訴訟を申し立てて裁判で争うことになります。これらの手続きを個人で行うのはかなり大変ですが、弁護士に依頼していれば、交渉が決裂した際の対応も任せることができます。法的知識と経験に優れた弁護士が、労働審判や訴訟の手続きを行えば、労働者にとって有利な結果を得られるに違いありません。

残業代を請求できるケース/できないケース

当然ながら、残業代が発生しない状況では、請求することはできません。ここでは、残業代を請求できるケースと、請求できないケースについて解説します。一般的に、労働者は所定の労働時間を超えて働いた場合に、残業代を受け取る権利があります。そのため、以下のような状況に該当する方は、残業代を請求できる可能性が高くなります。

残業代が請求できるケース

以下に該当する方は、残業代を請求できます。

  1. 会社が定めた所定労働時間を超えて働いているにもかかわらず、残業代が支払われていない方
  2. 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いたにもかかわらず、割増賃金(1.25倍)が支払われていない方
  3. 深夜(22時〜5時)に働いたのに、深夜割増賃金(1.5倍)が支払われていない方
  4. 休日に働いた際の割増賃金(所定休日1.0倍、法定休日1.35倍)が支払われていない方
  5. 本来労働時間に含まれるべき時間(待機時間や移動時間など)の分が、支払われていない方
  6. 退勤後に持ち帰り残業をしている方
  7. 経営者と一体となって業務を行うべき管理監督者でありながら、実際には「名ばかり管理職」である方(例:店長など)
  8. 裁量労働制を理由に、すべての残業代を支払ってもらえない方(深夜労働は深夜割増賃金が発生する)
  9. 裁量労働制の要件を満たしていない労働者の方
  10. 変形労働時間制であっても、1ヵ月または1年単位で見た際に、所定労働時間を超えている方
  11. 固定残業制(みなし残業)で、どれだけ働いても残業代が一定の方

これらの勤務形態のいずれかに該当する方は、残業代を請求できる可能性があります。過去に、固定残業制を導入している会社の約8割が、違法な運用を行っていたとの報道もあり、経営者が正しいルールを知らない場合も少なくありません。

残業代が請求できないケース

以下のような雇用形態では、残業代を請求できません。

  • 事業場外のみなし労働制

外回りの営業職などに多いパターンです。
「一定時間(所定時間分)を働いたとみなす」場合と、「通常その業務を遂行するのにかかる時間分労働したとみなす」場合があります。

  • 裁量労働制

専門職や経営企画に携わる労働者に、適用されるケースが多い働き方です。労働力を労働時間ではなく、「一定の成果で評価すべき」という考え方です。

  • フレックスタイム制

出勤時間と退勤時間を、自由に調整できる働き方です。労働時間を1ヵ月以内の一定単位で管理し、賃金精算を行うため、「1日8時間、1週間に40時間」の法定労働時間を超えて働く日があっても、残業代は発生しません。

  • 固定割増賃金制度

当該固定支給分については、割増賃金の支払いをしたものとして処理されるため、固定支給分を超える割増賃金が発生しない限り、それ以上の精算を求めることはできません。

  • 管理監督者

経営者と一体の立場にあるため、時間外・休日労働などの割増賃金の請求ができません。

  • 天候や自然条件に左右される労働者

農業や林業、漁業などに携わる労働者は、残業代の請求が困難です。

  • 断続的業務の労働者

待ち時間の多い運転手などは、待ち時間が多いことを前提とした給与形態になっているので、残業代として請求できません。

  • 公務員全般

一部の地方公務員、国家公務員、公立の教員なども残業代を請求できません。

残業代請求の時効

残業代請求の時効が、従来の2年から一時的に3年に延長されました。労働基準法第115条では「賃金や災害補償などの請求権は2年間」と規定されており、残業代もこの賃金に含まれるため、基本的には請求権は2年間に限られます。

つまり、過去の残業代を請求する際には、原則として2年前までしか遡ることができないということです。しかし、2022年4月以降は、請求が3年まで遡れるようになりました。この変更は、参議院本会議で賛成多数により可決され、2022年4月1日から適用されています。

時効の中断は、単に会社に残業代を支払ってほしいと口頭で伝えるだけではいけません。また、内容証明郵便も催告(時効の完成を6か月延長させる)にしかならないため、最終的には訴訟や審判請求などの法的手続きをしないと事項は中断しません。弁護士も、依頼したら即座に訴訟や審判ができるわけではないので、弁護士への相談は余裕をもってする必要があります。

退職後も請求可能か

未払いの残業代は、退職後でも請求可能です。法定労働時間を超えて働いた分は、退職しても請求権が消滅することはありません。在職中に、上司や会社に残業代の支払いを言いだしにくかった方は、退職後に未払いの請求をするのも1つの方法です。ただし、残業代の請求権には時効があるため、注意が必要です。

しかも、残業代が発生していることを証明しなければならず、「残業代請求は3年で時効になる」という点も理解しておく必要があります。時効が成立すると、会社は権利が消滅したと主張できるので、請求が認められなくなります。

残業代請求の証拠になるもの/ならないもの

残業代請求の証拠になるものと、ならないものを分けてみましょう。

残業の証拠として有効なもの

残業代を請求する際に役立つ証拠として、以下のものが挙げられます。

1.労働契約に関する書類

労働者と会社の間で締結された労働契約の内容によっては、フレックスタイム制や裁量労働時間制、変形労働時間制などの特殊な制度が適用されている場合があります。このような場合は、残業代の計算方法も異なるため、残業時間を正確に算出するためには、就業時間や基本給、残業代に関する労働条件を確認する必要があります。そのため、残業代請求の際には、以下のような書類があると有効です。

  • 労働契約書
  • 労働条件通知書
  • 就業規則
  • 賃金規程

2.給与に関する書類

残業代を請求する場合は、未払いの残業代を対象とするため、これまでに支払われた残業代を確認することが大切です。残業代を計算するには、基礎賃金を算出し、基本給や各種手当の金額を確認しておかなければなりません。そのため、残業代請求の際には、以下の書類が必要です。

  • 給与明細
  • 賃金台帳の写し

3.残業時間に関する証拠

残業代を請求するには、労働者が実際に残業を行ったことと、その時間を証明する必要があります。したがって、残業時間がわかる資料は、残業代請求において最も重要と言えるでしょう。労働時間をしっかり管理している会社であれば、タイムカードなどを用いて残業時間を明確にすることが可能です。

しかし、サービス残業が発生している場合は、タイムカードの打刻後に残業を行っていることもあるため、タイムカードだけでは残業時間を明確にできないことがあります。そのような場合には、タイムカード以外の証拠を用いて、残業の事実とその時間を立証しなければなりません。残業時間を証明するには、以下のものが有効です。

  • タイムカード
  • 業務日報
  • パソコンのログイン・ログアウト記録
  • 業務関連のメール送信記録
  • 入退室記録
  • 交通系ICカードの利用履歴や帰宅時のタクシー領収書
  • 日記やメモ

残業の証拠として認められにくいもの

1.継続的に書かれていない日記やメモ

残業に関する日記やメモは、残業代請求の際に証拠として利用できる場合がありますが、継続的に書かれていないと証拠として認められません。タイムカードや入退室記録は、客観的に労働時間を示すものなので、信頼性の高い証拠となります。

一方で、日記やメモは労働者自身が作成するため、どのように書くこともできます。そのため、残業時間を証明する証拠としては信頼性が低く、特に継続的に書かれていない場合は虚偽や改ざんの疑いもあるため、証拠として認められない可能性があります。

2.社外から送信された社内のアカウントメールの記録

社内のパソコンから私的なメールアドレスに、「これから退勤します」といったメールを送信していた場合、その時間まで残業していたことを証明できます。しかし、社内のパソコンに社外からアクセスできる場合は、残業をしていなくてもメールを送信することが可能です。そのため、こうした状況ではメールの送信記録は証拠として認められません。

証拠がない場合/証拠の入手が難しいとき→開示請求

残業の証拠となる書類が全くない場合は、弁護士に依頼して開示請求を行うといいでしょう。たとえ証拠が揃わなくても、弁護士を通じて会社に開示請求を行うことができます。

民事訴訟法に基づく、証拠保全の手続(民事訴訟法132条)を活用することも1つの方法ですが、弁護士がタイムカードなどの勤務時間に関する資料を請求すれば、多くの場合開示に応じるでしょう。退職後の未払い残業代請求でも、証拠書類が準備できない場合は、弁護士による開示請求が効果的です。

証拠収集

証拠書類が全くない場合は、弁護士に依頼して開示請求を行うことをおすすめします。給与明細など、残業代の支給額がわかる書類もあったほうがいいでしょう。給与明細には支給総額の他に、残業代の内訳が記載されており、残業時間も確認できるようになっています。

タイムカードで正確な残業時間を確認し、雇用契約書に記載された方法で残業代を計算して、給与明細の残業代と比較することが大切です。もし給与明細の残業代が少なければ、未払いまたは過少支払いの可能性があります。

残業代計算

証拠を集め、未払い残業代を計算しましょう。まずは、正確な残業時間を確認し、雇用契約書などを参照して、残業代の計算方法を把握することが大切です。

残業代の基本的な計算式は以下の通りです。

ー残業代の計算式ー

残業代 = 1時間あたりの賃金 × 割増賃金率 × 残業時間

「1時間あたりの賃金」は、月給制の場合、「月収 ÷ 1か月の平均所定労働時間」で求めます。例えば、月給が24万円で、平均所定労働時間が160時間の場合、「1時間あたりの賃金」は1,500円(=24万円 ÷ 160時間)となります。

割増賃金率は、法定労働時間を超える残業に適用され、通常は25%です。したがって、1時間あたりの賃金が1,500円の場合、残業1時間に対する残業代は1,875円(=1,500円 × 1.25)となります。

会社と交渉

未払い残業代を計算したら、証拠を持参して会社に対し、残業代が未払いまたは不足していることを伝えましょう。伝える相手は直属の上司や人事、総務の担当者です。担当者が計算ミスを認め、会社がすぐに支払ってくれれば問題は解決します。

しかし、会社がミスを認めない場合でも、証拠を提示しながら冷静に話を進めることが大切です。上司との関係を悪化させないためにも、客観的な事実に基づいて丁寧に説明する必要があります。

内容証明を送る

会社との交渉の結果、残業代が支払われない場合は、請求した証拠を残すために、内容証明郵便を利用して残業代を請求しましょう。残業代の時効は3年ですが、請求を行うことで時効を一時的に止めることができます。

内容証明に記載すべき内容は、以下の通りです。

  • 請求者(従業員)と請求相手(会社)の名前・住所
  • 請求日
  • 請求内容(例:〇月〇日の残業代〇円を請求する)
  • 支払期限

支払わない場合は、訴訟に移行する旨を記載するとさらに効果的です。

労働審判

もし会社が残業代を支払わない場合は、労働基準監督署に相談することも検討しましょう。労働基準監督署は、会社が労働基準法を守っているか監視し、残業代の未払いなどの違反があれば是正勧告を行います。

ただし、労働基準監督署は会社に対して勧告を行うことはできますが、個別の残業代請求に対して支払いを強制する権限は持っていません。労働基準監督署の勧告を受けて、会社が残業代を支払えば問題は解決しますが、そうでない場合は訴訟も視野に入れましょう。

訴訟

これまでの方法で解決しない場合は、専門家である弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は訴訟だけでなく、以下のような対応も行ってくれます。

  • 会社との交渉を行う
  • 「支払督促」「少額訴訟」「労働審判」など、民事訴訟よりも簡単な裁判制度を利用して未払い残業代を請求する
  • 民事訴訟を起こす

弁護士は、依頼者の意向に応じて一番よい解決策をアドバイスし、または代理で手続きを行うため、安心して任せることができます。

残業代請求での失敗事例

残業代請求に失敗した事例を見てみましょう。

失敗の理由:証拠不足

残業代請求がうまくいかない理由の1つは、残業を証明するための証拠が不十分であることです。たとえば、タイムカードを押した後に残業を行うケースで考えてみましょう。タイムカードや勤怠管理システムは、労働時間を客観的に示す資料となりますが、正確に記録されていない場合は、口頭で「残業した」と主張しても、会社はタイムカードを根拠に「残業はなかった」と反論することがあります。

また、最初から勤務時間を適切に管理する仕組みが、整っていない会社もあるでしょう。このような場合は、残業を証明する証拠がないため、残業代請求が拒否される可能性が高くなります。

失敗の理由:不適切な交渉方法

残業代を巡る会社との交渉が不適切で、話し合いが進まないことも失敗の要因となります。たとえば、残業時間を示す証拠を準備しないで、一方的に「残業代を支払ってほしい」と要求しても、会社から拒否される可能性が高くなるだけです。残業代請求に限らず、雇用主である会社との交渉では、客観的な証拠に基づいて冷静に話し合うことが大切です。

感情的になって言葉を荒げたりすると、逆に会社の反発を招き、交渉が進まなくなることもあります。また、十分な証拠がないことを見抜かれ、会社が真剣に取り合ってくれなかったり、法律の知識が乏しいために会社に言いくるめられることもあります。

自身で残業代請求をすると

自分で残業代を請求する場合、失敗するとこれまでの努力やコストが無駄になるだけでなく、会社に対して悪い印象を与える結果になりかねません。そこで、未払い残業代請求が失敗する可能性のあるケースについて、解説します。失敗の原因を理解しておけば、未払い残業代請求の成功率を向上させることができます。

自力で全てを進めようとする

未払い残業代の請求は、通常以下の手順で進められます。

  1. 証拠の収集
  2. 証拠に基づく残業代の計算
  3. 使用者との交渉
  4. 交渉が不調の場合は労働審判や訴訟を検討

各手順では、必要な証拠の種類や入手方法、残業代の計算方法、効果的な交渉の進め方、裁判所に提出する書類の作成方法など、専門的な知識が求められます。専門知識がない方が、全てを自力で行うのは非常に難しいため、残業代請求に自信がなければ、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。

証拠が不十分

残業に関する証拠が不足していると、残業代を正確に計算することができません。仮に何らかの根拠で残業代を算出したとしても、使用者が支払いに応じるとは限りません。使用者が残業代の支払いを拒否した場合、労働審判や訴訟といった法的手続きを利用することになりますが、裁判所は証拠に基づいて請求の正当性を判断します。

証拠が不十分であれば、労働審判や訴訟において敗訴する可能性が高まります。このように、証拠がなければ残業代請求は認められないため、適切な証拠を収集することが大切です。

消滅時効が成立してしまう

賃金請求権は、2年間行使しないと時効によって消滅します(労働基準法第115条)。ここで言う「賃金」には残業代も含まれます。そのため、給料支払い日の翌日から2年が経過すると、たとえ時効について知らなくても消滅時効が成立し、残業代を請求できなくなるので注意しましょう。

残業代の支払いをしない会社の特徴

残業代を支払わない会社には、以下のような共通した特徴が見られます。

労働時間の把握が不十分

残業代を支払うためには、従業員の労働時間を正確に把握することが不可欠です。残業代を支払う意志のない会社では、タイムカードなどの打刻がきちんとさていないことも、少なくありません。しかし、政府の働き方改革に伴い、労働安全衛生法が改正され、2019年4月以降は、会社に従業員の労働時間を把握する義務が課せられました。

会社には、すべての労働者の労働時間を客観的に把握し、記録を保管することが義務化されたのです。そのため、労働時間を把握していない会社は、労働安全衛生法に違反していることになり、早急に適切な対策が求められます。

所定労働時間や日数が不明確

時間給の場合、1時間あたりの賃金が明確であるため、残業代の計算は簡単にできます。しかし、日給制や日給月給制の場合、1日の所定労働時間がわからなければ、1時間あたりの賃金も不明確となり、残業代の計算ができなくなります。

さらに、月給制の場合でも、月間の所定労働時間が不明であれば、同様に残業代の計算は困難です。このような労働条件は、入社時に会社から従業員に、書面で通知されていなければ違法となります。それにもかかわらず、残業代を支払う意志のない会社では、「労働条件通知書」などが交付されていないケースが多いのが現状です。

まとめ

会社が残業代を未払いのままだと、民事上の責任が生じます。しかし、それでも未払いが横行しているのが現状です。残業代が支払われていなければ、残業をした証拠を提出して会社に支払いを求めましょう。

証拠がなかったり会社が支払いに応じない場合は、弁護士に依頼すると会社は急に態度を変えて、情報を開示してくれることもあります。このように、弁護士に交渉を代行してもらうことによって、未払い請求をスムーズに進めることができます。

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