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債務整理したらどうなる?種類や財産は?知られずに解決するには?

【この記事の法律監修】  
萩原 貴彦弁護士(東京弁護士会)
萩原法律事務所

債務整理は、多くの人々が抱える経済的な問題を解決するための重要な手段です。借金が膨らみ、返済が困難になると、日常生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、精神的なストレスも増大します。そんな時に頼りになるのが債務整理です。

本記事では、債務整理のよくある疑問やメリットとデメリット、相談先などについて詳しく解説します。債務整理には、複数の方法があり、それぞれの特徴や適用条件が異なります。自分に最適な方法を選ぶためには、正確な情報と専門家のアドバイスが不可欠です。

この記事を通じて、債務整理に関する知識を深め、経済的な再スタートを切るための第一歩を踏み出しましょう。

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債務整理したらどうなるのか

債務整理を行うと、借金の督促が停止され、債務整理の方法によっては、借金の一部または全部が減額されます。例えば、任意整理では利息のカットや返済期間の延長が交渉されることが一般的です。

一方、個人再生や自己破産では、裁判所を通じて法的に借金の減額や免除が行われます。ただし、債務整理を行うと信用情報に記録が残り、一定期間新たな借り入れが難しくなります。また、自己破産の場合は、財産が処分されます。

債務整理は、借金問題を解決するための有力な手段ですが、その後の生活設計や信用情報への影響を十分に理解した上で行うことが重要です。そのため、専門家のアドバイスを受けながら、最適な方法を選ぶことが推奨されます。

債務整理するメリット

では、債務整理はどういったメリットがあるのでしょうか。債務整理の複数の方法ごとに紹介します。

  • 任意整理のメリット
  • 自己破産のメリット
  • 個人再生のメリット

下記では、それぞれについて解説します。

任意整理のメリット

任意整理は、借金の返済条件を見直すことで、借金の負担を軽減する手続きです。まず、任意整理を行うことで、利息や遅延損害金のカットが期待できます。これにより、元本のみの返済が可能となる場合があり、返済総額が大幅に減少します。

また、裁判所を通さずに手続きを進めるため、手続きが比較的迅速であり、費用も抑えられることもメリットです。さらに、任意整理は自己破産とは異なり、財産を手放す必要がありません。

そのため、生活基盤を維持しながら借金問題を解決することができます。これらのメリットから、任意整理は多くの人にとって有効な債務整理の方法となっています。

自己破産のメリット

自己破産は、債務整理の中でも最も強力な手段であり、多くのメリットがあります。自己破産を申請することで、税金や養育費といった非免責債権を除いた全ての借金が法的に免除される可能性があります。

これにより、借金の返済に追われるストレスから解放され、経済的な再スタートを切ることができます。ただし、自己破産の申請が通るのは、その時点で持っている資産とその後の収入を総合的に判断したうえで「支払不能」となった場合です。

  1. 破産法
    第2条:この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態(信託財産の破産にあっては、受託者が、信託財産による支払能力を欠くために、信託財産責任負担債務(信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第九項に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下同じ。)のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態)をいう。
    引用:破産法(令和六年法律第三十八号)

また、自己破産をすることで、債権者からの取り立てや催促が法的に停止されます。さらに、自己破産後は一定期間、信用情報機関に記録が残るものの、その期間が過ぎれば再びクレジットカードやローンの利用が可能となります。

自己破産は、財産を失うリスクがあるものの、生活に必要な最低限の財産は保護されるため、生活基盤を維持することができます。

破産法
第34条:第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。
一民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百三十一条第三号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭
二差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号に規定する金銭を除く。)。ただし、同法第百三十二条第一項(同法第百九十二条において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。
引用:破産法(明治四十年法律第四十五号)

これにより、再び経済的に立ち直るための基盤を築くことが可能です。自己破産は最後の手段とされますが、その効果は非常に大きく、再出発の大きな助けとなります。

個人再生のメリット

個人再生のメリットは、借金の大幅な減額です。裁判所を通じて再生計画を立てることで、借金の一部を免除してもらい、残りの債務を3年から5年の期間で分割返済することができます。これにより、月々の返済額が大幅に減少し、生活の再建がしやすくなります。

個人再生は自己破産とは異なり、財産を必ずしも手放す必要がない点も大きなメリットです。自宅に住宅ローンがある場合、一定の条件を満たせば住宅ローンをそれまでの条件で支払いを続けることで、自宅を保持することができます。

また、個人再生をすることで、債権者からの取り立てや催促が法的に停止されます。さらに、個人再生は一定期間、信用情報機関に記録が残るものの、その期間が過ぎれば再びクレジットカードやローンの利用が可能となります。

債務整理するデメリット

債務整理するメリットが理解できたかと思いますが、債務整理にはデメリットも存在します。債務整理の複数の方法ごとに紹介します。

  • 任意整理のデメリット
  • 自己破産のデメリット
  • 自己破産のデメリット

下記では、それぞれについて解説します。

任意整理するデメリット

任意整理のデメリットとして、任意整理は債権者との交渉が必要であり、全ての債権者が同意しない場合があることが挙げられます。この場合、交渉が難航し、手続きが長引きます。

また、利息や遅延損害金のカットは期待できるものの、元本の減額は基本的に行われないため、返済総額が大きく減るわけではありません。

自己破産のデメリット

自己破産のデメリットとして、約5~7年間は新たな借り入れやクレジットカードの発行が難しくなることが挙げられます。これにより、住宅ローンや自動車ローンの審査も通りにくくなります。

また、自己破産をすると一定の職業に就けなくなる場合があります。例えば、弁護士や公認会計士などの士業、警備員や保険代理店などの職業は、自己破産中は資格を失うか、業務を行うことが制限されます。

さらに、自己破産手続き中は、財産を処分する権限が管財人に与えられます。特に高価な財産や不動産は売却され、債権者への返済に充てられます。これらのデメリットを十分に理解した上で、自己破産を選択することが重要です。

個人再生のデメリット

個人再生のデメリットとして、また、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)や別除権協定を利用しない限り、持ち家を手放さなければなりません。

また、再生計画が裁判所に認可されるためには、債権者からの同意を得る必要があり、債権者の過半数で議決権額の2分の1を超える債権者が同意しない場合、計画が成立しません。

債務整理のよくある疑問

債務整理するメリットとデメリットを解説しましたが、ここでは債務整理のよくある疑問を3つ紹介します。

  • ブラックリストに入ってしまうのか?
  • 家族にバレずにできるのか?
  • 債務整理中は転居や移住はできるのか?

下記では、それぞれについて解説します。

債務整理の疑問①ブラックリストに入ってしまうのか?

任意整理を行った際に、過払金が発覚したといった例外がない限り、債務整理をするとブラックリストに入ってしまいます。信用情報機関は、個人の信用情報を管理しており、債務整理を行った場合、その情報が一定期間記録されます。

この期間中は、新たな借り入れやクレジットカードの発行が難しくなります。具体的には、約5〜7年間、信用情報機関に登録されます。この期間が過ぎると、信用情報は更新され、再びクレジットカードの発行やローンの申請が可能になります。

債務整理の疑問②家族にバレずにできるのか?

債務整理を検討している人の中には、家族にバレずに債務整理ができるのかどうかを心配している人もいると思います。実際、債務整理は法律に基づく手続きであり、基本的には個人のプライバシーが保護されます。しかし、いくつかの注意点があります。基本的には家族には相談したうえで債務整理をするのが望ましいですが、どうしても秘密にしたい場合は依頼する弁護士に相談してください。

まず、債務整理の手続き中に債権者や依頼した弁護士事務所及び司法書士事務所から通知が郵送されることがあります。こちらは、郵送物の受け取り方法を工夫することで家族にバレるリスクを軽減できます。

また、家族で共有しているクレジットカードが止まることで家族にバレるリスクもあります。事前にご自身の名義のクレジットカードは家族から回収しておきましょう。総じて、家族にバレずに債務整理を進めることは可能ですが、細心の注意が必要になります。

債務整理の疑問③債務整理中は引っ越しできるのか?

債務整理中であっても引っ越しすることはできます。しかし、家賃保証会社の利用が必要な物件は審査が通る可能性が低いです。

そのため、親族が保証人となって賃貸仮契約を結ぶ物件を選びましょう。また、自己破産が管財事件の手続き中の場合、裁判所の許可が必要になります。債務整理の手続きによって審査に通る可能性が異なりますので事前に調べておきましょう。

債務整理したら資産はどうなるのか

債務整理を検討している人で資産がどうなるのかを知りたい人は多いと思います。債務整理を検討している人は、資産がどうなるかを知っておく必要があります。

  • 財産

下記では、それぞれについて解説します。

債務整理した場合の資産:家

任意整理の場合は、債権者と交渉して返済条件を緩和するため、家を手放す必要は基本的にありません。しかし、住宅ローンがある場合、そのローンの返済が滞ると競売にかけられるリスクがあります。

また、個人再生の場合は、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することで、住宅ローンを除いた他の債務を減額しつつ、家を保有し続けることが可能です。この特則を適用するためには、一定の条件を満たす必要があります。

そして、自己破産の場合は、基本的には資産が処分されるため、家も売却されることが一般的です。

ただし、持ち家の名義が本人ではない場合や自己破産破産手続き後に、家族・親族に持ち家を購入してもらうといった場合、もしくは、破産管財人から許可を得た後に、不動産会社と契約して持ち家をリースバックするといった方法で持ち家に住み続けることができます。

債務整理した場合の資産:車

任意整理の場合は、自動車ローンの完済や自動車ローンを整理の対象から外すことで車を残すことができます。

そして、自己破産の場合は、基本的には資産が処分されるため、自動車も売却されることが一般的です。ただし、自動車の時価が低廉な場合には、管財人の許可を得たうえでそのまま保有することが可能な場合もあります。

また、個人再生の場合は、自動車ローンの完済や会社と別除権協定を結ぶことで車を残すことが可能です。そして、自己破産の場合は、車の価値が20万円以下の場合に車を残すことができます。

債務整理した場合の資産:財産

任意整理の場合は、資産は保護されるため、財産を失うことはありません。また、個人再生の場合は、手続きの際に持っている財産は、再生計画で支払う弁済総額にカウントされますので、個人再生の支払いに影響します。したがって、弁済額が大きくなる場合は、財産を処分する場合もあります。

そして、自己破産の場合は、基本的に全ての財産が清算対象となりますが、生活に必要な最低限の財産は保護されます。

債務整理した場合の社会的影響はどんなものがあるのか

次に、債務整理した場合の社会的影響を紹介します。債務整理を検討している人は、社会的影響も知っておく必要があります。

  • 会社・家族
  • 就職・結婚
  • 年金
  • 保証人
  • 資格の剥奪

下記では、それぞれについて解説します。

債務整理の社会的影響:会社・家族

まず、債務整理を行うことで、会社への影響が考えられます。多くの場合、債務整理は個人の問題として処理されるため、会社に直接的な通知が行くことはありません。しかし、給与の差し押さえなどが発生した場合、会社にその事実が知られる可能性があります。

これにより、職場での信用が低下し、昇進や重要なプロジェクトへの参加に影響を及ぼすことがあります。

また、家族への影響も無視できません。債務整理を行うことで、教育ローンや奨学金の審査が通る可能性が低くなるため、家族全体での生活設計を見直す必要が生じます。

債務整理の社会的影響:就職・結婚

債務整理を行っても、基本的に就職への影響はありません。企業に債務整理を調べられることはありませんので、債務整理を告げない限りバレることはありません。もし、債務整理を告げた場合、金融業界や一部の公務員職などでは、債務整理を行った履歴があると採用に不利になる可能性が高いです。

結婚に関しては、債務整理の影響は無視できません。結婚を考える際、相手が債務整理の履歴をネガティブに捉えることが多いです。特に、結婚後の生活設計や住宅ローンの取得などに影響を及ぼす可能性があるため、事前に相手としっかり話し合うことが重要です。

債務整理の社会的影響:年金

債務整理を行っても、基本的に年金が受け取れなくなったり、年金額が減ったりすることはありません。しかし、保険会社が取り扱う私的年金は、差し押さえ・換価処分の対象となります。

債務整理が年金に与える直接的な影響は少ないですが、間接的な影響として、債務整理後の生活設計や資金計画に影響を与えることが挙げられます。

例えば、債務整理により信用情報が傷つくことで、新たなローンやクレジットカードの利用が難しくなり、生活費の捻出が厳しくなります。これにより、年金受給開始前の生活費の確保や、年金受給後の生活設計に影響を与えることが考えられます。

また、債務整理を行うことで、将来的な資産形成や投資計画にも制約が生じる可能性があります。したがって、債務整理を検討する際には、年金受給後の生活も見据えた総合的な資金計画を立てることが重要です。

債務整理の社会的影響:保証人

債務整理の種類によって保証人に与える影響は異なります。まず、任意整理は、基本的に保証人が元本の返済を求められることはありません。しかし、任意整理をすることによって、利息が保証人に請求される可能性があります。

個人再生は、債務者の減った負担の借金の請求が保証人にいってしまいます。個人再生は、任意整理と異なり、保証人がいる借金を手続きの対象から外せません。

自己破産は、債務者の返済義務はなくなりますが、保証人が全額を返済しなければなりません。また、保証人が全額を返済できない場合、保証人も債務整理をすることになる可能性があります。

債務整理の社会的影響:資格の剥奪

自己破産すると、特定の職業や資格に対して影響が及びます。特に、弁護士、公認会計士、税理士などの専門職は、信用が重要視されるため、債務整理を行った場合には資格の喪失や業務停止になります。免責許可決定を受けて復権した後は資格登録が可能になります。

また、金融業界や不動産業界など、信用情報が重視される業種でも、債務整理が原因で職を失う可能性があります。これにより、再就職が難しくなることも考えられます。

さらに、役員や取締役などの経営層においても、債務整理が発覚すると、企業の信用に影響を与えるため、辞任を余儀なくされるケースもあります。
債務整理はどこに相談するのが良いのか
では、債務整理はどこに相談するのが良いのでしょうか。自分に合った債務整理の手続きを知るには専門家に相談するのがおすすめです。

  • 司法書士事務所に相談
  • 弁護士に相談

下記では、それぞれについて解説します。

司法書士事務所に相談

債務整理は、司法書士事務所に相談することができます。司法書士は法律の専門家であり、債務整理に関する手続きも行うことができます。

ただし、司法書士は140万円を超える債務整理案件は担当できません。そのため、140万円を超える場合は、弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談

債務整理の相談は、弁護士にもできます。弁護士に相談することで、債務整理について詳しく説明を受けることができ、自分に最も適した手続きを選択することできます。

また、弁護士は債権者との交渉を代行し、返済条件の見直しや減額交渉を行います。債務整理は複雑な手続きが伴うため、専門家のサポートが不可欠です。

まとめ

本記事では、債務整理のよくある疑問やメリットとデメリット、相談先などについて詳しく解説しました。債務整理について理解が深まったかと思います。債務整理をすることで精神的負担を軽減することができます。

債務整理は、一人で抱え込まずに専門家に相談することが重要です。カケコム弁護士ネット予約なら債務整理に関する相談は無料です。10分から弁護士相談ができるので、自分の状況を簡単に箇条書きなどでまとめてまずは弁護士に相談しましょう。

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