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アコムの債務整理の対応は?断られる可能性、催促を止める方法は?

【この記事の法律監修】  
金 浩俊弁護士(第二東京弁護士会) 
金法律事務所

アコムからの借入は債務整理できる?債務整理にあたっての注意点などについて解説
債務整理をする場合、貸金業者によって様々な特性があることに注意が必要です。

消費者金融で大手のアコムは、テレビCMなどの知名度もあり、多くの人が借入をしていますが、債務整理にあたって何か注意はあるのでしょうか。
本記事では、アコムからの借入について債務整理が可能なのか、債務整理をする場合の注意点についてお伝えします。

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1.アコムからの借入れを債務整理できるのか

アコムからの借入れを債務整理できるのでしょうか。

1-1.アコムとは

アコム株式会社(以下単にアコムとします)とは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)に属する貸金業者で、消費者金融事業のほかにクレジットカード「ACマスターカード」の発行をするなどクレジットカード事業や信用保証事業を行う会社です。
昭和11年に創業した丸糸呉服店が起源であり、アコムという会社は昭和53年に設立され、平成5年に上場した大手の貸金業者で、平成20年に三菱UFJフィナンシャル・グループの傘下に入っています。

1-2.アコムとの任意整理する

アコムとの債務整理は可能なのか、まず債務整理の主な手続きの一つである任意整理についてはどうなのでしょうか。
任意整理は債務者と貸金業者が、債務の金額・支払方法等について合意する必要があるのですが、アコムは、債務者において常識的な条件で返済する能力があれば、基本的には合意をしてくれますので、任意整理は可能です。

例えば、任意整理の一般的な内容である、利息・遅延損害金をカットして元金のみを36~60回の分割での支払いという条件で、任意整理に応じてもらえることが期待できます。
例えばアコムとの間で債務額を50万円とする合意ができたる場合、36回の分割ならば毎月約14,000円の支払い(端数は初回や最終回で調整する)、60回の分割ならば毎月約8,500円の支払いとなります。

1-2-1.アコムが任意整理を断る可能性がある場合は?

もっとも次のようなケースでは上記の内容での任意整理は断られる可能性があります。

  • すでに長期間延滞していて多額の遅延損害金が発生している
  • すでに裁判を起こされている
  • すでに裁判が確定している
  • 借入してから一度も返済をしていない・返済をした回数が短い

これらの場合、遅延損害金の一部を支払うことで任意整理に合意できる場合もあれば、長期の分割を認めない、そもそも任意整理には応じない、という可能性があります。
これらの場合には、自己破産・個人再生を行うことになります。

1-3.アコムからの借入についての自己破産

裁判所に申立てをして借金などの債務を免除してもらうことができる債務整理の手続きが自己破産です。
自己破産をした場合でもアコムが強硬に反対や各種異議申し立てをすることは極めて稀なので、自己破産によって債務整理をすることは可能です。

1-4.アコムからの借入についての個人再生

裁判所に申立てをして借金などの債務を減額して返済する手続きが個人再生です。
個人再生をした場合もアコムが手続きで強硬に反対などを行うことはごく少数で、個人再生によって債務整理をすることは可能です。

2.アコムからの借入れを債務整理すると起こること

アコムからの借入れを債務整理するとどのようなことが起こるのでしょうか。

2-1.アコムが保証会社をしている銀行が凍結するおそれ

アコムが保証会社をしている銀行に借入がある場合、その銀行の口座が凍結するおそれがあります。
アコムの事業について信用保証事業も行っていることは上述した通りで、アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループである三菱UFJ銀行の保証をしている場合があります。

そのため、たとえばアコムと三菱UFJ銀行のバンクイックから借入をしている場合に、アコムとだけ任意整理をした場合に、保証をしている三菱UFJ銀行は口座を凍結するおそれがあります。
グループ内の銀行である三菱UFJ銀行以外にも、例えばスルガ銀行、西日本シティ銀行、auじぶん銀行、ソニー銀行などの銀行がアコムから保証を受けている場合があります。

2-2.アコムとグループ会社の社内ブラック

アコムおよびグループ会社の社内ブラックという状態になります。
社内ブラックとは、債務整理をした会社との間で、以後取引ができなくなる状態のことをいいます。

アコムとの債務整理をした後に、アコムからまた借入をしようとしても、アコムからは借入ができなくなります。
また、アコムがもっている情報は、三菱UFJフィナンシャル・グループで共有されるので、三菱UFJフィナンシャル・グループに属する金融機関からの借入れやクレジットカードの申し込みをしても、審査に通りません。
社内ブラックとなり問題となるのは次の会社です。

  • 三菱UFJ銀行
  • auじぶん銀行
  • 中京銀行
  • 三菱UFJニコス
  • ジャックス

またアコムはACマスターカードを発行していますが、ACマスターカード発行も受けられなくなる可能性が高いです。

2-3.ブラックリストとなる

アコムに限らず債務整理をするとブラックリストとなります。
ブラックリストとは、信用情報に債務整理をしたことが記録された結果、信用情報を用いて審査をして取引するものについて、審査が通らなくなることの通称です。

アコムのAC会員規約14条には債務整理をした場合、加入しているCICおよび全国銀行個人信用情報センターに登録することが規定されています。
そのため、ブラックリストとなり、次の行為ができなくなります。

2-3-1.金融機関からの新たな借入ができない

金融機関からの新たな借入ができなくなります。
住宅ローン・銀行のカードローン・消費者金融からの借入をはじめとして、金融機関からの借入をする際には、信用情報を用いた審査が行われるためです。

2-3-2.クレジットカードが作れない・更新できない

クレジットカードが作れません。
クレジットカードを作るときには信用情報を用いた審査が行われるためです。
また同様に、クレジットカードを更新する際にも信用情報を用いた審査が行われるため、更新もできません。
クレジットカードが利用できなくなる代替として、デビットカードやプリペイドカードを利用することで、決済が可能です。

2-3-3.携帯電話を分割で購入できない

携帯電話の分割購入ができません。
携帯電話の分割購入の際には、信用情報を用いた審査が行われるためです。
なお、一括での購入・中古品を一括で購入して利用・回線の契約は可能なので携帯電話が利用できなくなるわけではありません。

2-3-4.借金などの保証人になれない

借金などの保証人になれなくなります。
借金などの保証人になる際には、保証人についても信用情報を用いた審査が行われるためです。
子どもの奨学金の保証人になることができなくなります。

2-3-5.一部の賃貸借契約ができない

一部の賃貸借契約ができなくなります。
一部の賃貸借契約では、連帯保証人を不要とする代わりに、保証会社に家賃保証をしてもらうことになります。
保証会社の中には信用情報を用いた審査を行う会社があるため、この場合審査が下りず賃貸借契約を結べません。
なお、連帯保証人を立てる場合や、信用情報を用いた審査を行わない会社であれば、賃貸借契約が可能です。

2-3-6.ETCカードを作れない

高速道路などでETCレーンを通過するために利用されるETC車載器に利用するためのETCカードが作れません。
ETCカードの契約にあたって、信用情報に基づく審査が行われるためです。
また、ETCカードもクレジットカードと同様に更新時があり、更新時に信用情報に基づく審査が行われるので、更新できなくなります。
デポジット方式のETCパーソナルカードであれば、信用情報に基づく審査は行われないので、利用が可能です。

2-4.自己破産をする場合の各種制限

アコムから借入をしている場合に限りませんが、自己破産をする場合に各種制限があります。

2-4-1.職業制限

職業制限があります。
職業の中には行政への登録が必要となる仕事があり、登録の条件に破産手続開始決定を受けていないことが要件となっているものがあります。
代表的な例は、宅建士・保険募集人・警備員です。

自己破産をする場合、手続きが終了するまではこれらの職業に就けない、就いている場合にはこれらの業務に就けず会社を退職する可能性があります。
どうしても仕事をやめられない場合には任意整理・個人再生を利用します。

2-4-2.住居移転の制限

住居の移転が制限されます。
裁判所・破産管財人からの質疑にいつでも答えられるようにすることという目的で、住居移転が制限されています。
どうしても必要な場合には、裁判所の許可を得ることで可能です。
出張のような短期の住居からの移動にも適用されるものなので注意が必要です。

2-4-3.郵送物が管財人に送られる

破産管財人が選任される管財事件となる場合、破産管財人に一度郵送物が送られ、後日申立人のところに郵送されます。
これは、財産隠匿がないかを確認するためのものです。

2-4-4.官報に公告される

破産手続きを行うと官報に公告されます。
官報という国の機関紙に、自己破産をした旨が名前と住所と一緒に掲載されます。
官報はインターネットや、政府刊行物を購入できるところで購入できるため、プライバシーが問題になることがあります。

官報を常に見るような人は滅多におらず、ここから情報が漏れることはほぼありませんが、官報から「破産者マップ」「新・破産者マップ」といった情報サイトを作成して公開する者がおり、プライバシーの点から問題になることがあります。

2-5.連帯保証人に請求される

アコムから借入をする際には連帯保証人が不要な場合がありますが、他の債務について連帯保証人がいる場合には、自己破産・個人再生・任意整理をすると、連帯保証人に請求されることがあります。
なお、アコムから借入をする際に、緊急連絡先として親族の連絡先を届け出ますが、これはあくまで緊急時の連絡先で、連帯保証人となるものではありません。

2-6.担保が引き上げられる

ACマスターカードを利用している場合、ACマスターカードを利用して購入した物が引き上げられる可能性があります。
AC会員規約32条は、ACマスターカード会員が加盟店に立替払いをした場合の商品の所有権は店舗からアコムに移転し、その代金完済まで所有権がアコムに留保されることを規定しています。

そのため、支払いができなくなった場合には、担保となっている購入した商品を引き上げて売却し、代金から債務の返済に充てることになります。
もっとも、売却にも費用がかかるので、回収の見込みがないような場合には引き上げは行われません。

3.アコムと債務整理をする場合には専門家に依頼する必要がある?

アコムと債務整理をする場合には専門家に依頼する必要があるのでしょうか。

3-1.法律的には自分でも債務整理は可能

まず、任意整理・自己破産・個人再生いずれの手続きを行う場合でも、自分で行うことを否定する法令の規定はありません。
そのため、法律的には自分で債務整理を行うことも可能です。

3-2.専門家に依頼するメリット

もっとも、専門家である弁護士・司法書士に依頼すると次のようなメリットがあります。

3-2-1.交渉・手続きが確実

アコムとの任意整理交渉や、裁判所への手続きが確実です。
任意整理は貸金業者と交渉をするものであり、どのような条件ならば飲んでもらえるのかを知っておく必要があります。

また自己破産・個人再生は本来払うべき債務を、破産法・民事再生法に基づいて例外的に免責・減額するもので、その手続きは厳格で、専門家に依頼していないからといって緩やかになるわけではありません。
専門家に依頼すれば、これらを確実に遂行してもらうことが期待できます。

3-2-2.督促を止めることができる

アコムなど貸金業者からの督促を止めることができます。
貸金業者は、債務者が専門家に債務整理を依頼した後は、債務者本人に取り立てを行ってはいけないことが、貸金業法21条1項9号に規定されています。
そのため、専門家に依頼すれば督促が止まります。

3-3.依頼するのは弁護士・司法書士のどちらが良い?

債務整理を依頼する専門家には弁護士と司法書士(厳密には認定司法書士)がいます。
これは、原則としては弁護士法72条で弁護士にしかなしえないところ、司法書士は司法書士法3条に規定される業務は弁護士法72条の法律の例外として認められます。

この例外的な権限を利用して司法書士も債務整理を行っているのですが、次のようなケースでは司法書士が取り扱うことができません。

  • 140万円を超える案件
  • 裁判になって控訴された場合
  • 自己破産・個人再生の書類作成以外の手続き(裁判所などへの同行など)

また、司法書士は本来は不動産登記や商業登記といった法務局に対する手続きを中心に活動していますので、相手との交渉や裁判所での手続きは本来は弁護士の案件といえるでしょう。
そのため、相談の段階から弁護士に相談することをおすすめします。

3-4.専門家に依頼する場合に必要な費用

専門家に依頼する場合に必要な費用は次の通りです。

3-4-1.相談料

債務整理の依頼の前にはかならず相談(法律相談・借金相談など)を行う必要があります。
弁護士や司法書士にこういった相談をする際には、30分5,000円程度の相談料が必要です。
しかし、債務整理が必要な人のほとんどは、30分5,000円程度の相談料の捻出も難しいのが通常なので、相談の敷居を低くするために、相談料を無料としていることがほとんどです。

3-4-2.任意整理

任意整理をする場合の報酬の相場は次の通りです。

  • 着手金:1社あたり2~5万円
  • 解決報酬金:1社あたり0円~20,000円
  • 減額報酬:減額した分の10%

任意整理は貸金業者と交渉する手続きであるため、アコムのほかにも任意整理をする場合、その数だけ支払う報酬が増えることになります。

3-4-3.自己破産

自己破産をする場合の報酬の相場は次の通りです。

  • 着手金:30万円~50万円
  • 報酬金:20万円~30万円

自己破産をする場合には着手金・報酬金と分けず、依頼の段階で全部を請求されることもあるので注意しましょう。
なお、管財事件となった場合には、管財人への対応が必要となるため、5~10万円程度費用が加算されることがあります。

3-4-4.個人再生

個人再生をする場合の報酬の相場は次の通りです。

  • 着手金:30万円程度
  • 報酬金:20~30万円

個人再生の場合も着手金・報酬金と分けず、依頼の段階で総額を請求されることもあるので注意しましょう。
なお、個人再生の場合、住宅資金特別条項を利用する場合に、5~10万円程度費用が加算されることがあります。

3-5.アコムに強い専門家の探し方

上述したようにアコムは保証事業をしていること、三菱UFJフィナンシャル・グループの一つの会社であることから、幅広い影響がある可能性があります。
そのため、アコムとの債務整理に強い専門家に依頼することが欠かせません。
アコムに強い専門家の探し方は次の通りです。

3-5-1.債務整理の実績

債務整理の実績がある専門家に依頼しましょう。
アコムからの借入は幅広い影響がある可能性があり、その人に併せた債務整理が必要となるためです。
ホームページを確認すれば、債務整理に関する実績がどの程度あるのかを確認することができます。

3-5-2.話やすさ

債務整理を担当する弁護士・司法書士・事務員が話しやすい人であるところに依頼しましょう。
債務整理は3ヵ月~長ければ1年を超える手続きになります。

弁護士・司法書士およびその事務員の中には、高圧的であるなどで話しにくいことがあります。
長い間ストレスを感じるばかりか、話しにくいと感じるあまり、必要なコミュニケーションを欠き、手続きに支障をきたすこともあるといえます。

3-5-3.懲戒処分を受けていない

専門家が懲戒処分を受けていないかはしっかり確認しましょう。
専門家が問題のある行動を起こすと、所属している弁護士会・司法書士会が懲戒処分を行うことがあります。

債務整理との関連でいうと、依頼を受けた案件を放置したり、過払い金を着服したような場合に処分が下されます。
このような専門家に依頼すると適切な事務処理を期待できないので注意しましょう。
このような処分が下されているかどうかには注意しましょう。
懲戒処分の有無は、専門家の個人名や法人名、事務所の名前を「懲戒」という用語と一緒に検索すれば確認することができます。

4.まとめ

本記事では、アコムからの借入は債務整理できるのかについてお伝えしました。
消費者金融大手のアコムは、三菱UFJフィナンシャル・グループの一員であり、信用保証事業を行うなどしており、債務整理にあたっては様々な影響があります。

自分のケースでどのような影響があるのかなどを知りたい場合には、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
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