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再シュリンクとは?対処法や罰則、裁判例は?

【この記事の法律監修】
三輪 貴幸弁護士(埼玉弁護士会) 
樟葉法律事務所

「再シュリンクってなに?」
「再シュリンク詐欺に遭ってしまったらどうすればいい?」

トレーディングカードやフィギュアがお好きな方は「再シュリンク詐欺」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

この記事では再シュリンク詐欺に遭ってしまった場合、どう対応すべきなのかを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

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再シュリンク詐欺とは

再シュリンクとは、商品に施されているシュリンクラップ(包装フィルム)を一度剥がし、再度包装し直す行為を指します。

再シュリンク詐欺は、再シュリンクした商品を「新品未開封」と偽り販売する行為です。
最近では、トレーディングカードやフィギュアなどのコレクターズアイテムでの再シュリンク詐欺が頻繁に発生しています。

例えば、レアカードを抜き取った後にパックを再包装し新品として販売するケースが多く報告されています。

再シュリンク詐欺は特に価値の高いアイテムを狙って行われており、消費者は注意が必要です。

再シュリンク詐欺と偽造の違い

再シュリンク詐欺と偽造の違いは、内包されている商品が本物か偽物かの違いです。

再シュリンク詐欺

一度商品を開封し中身をすり替えた後、元の包装(シュリンクラップ)を再度かけ直して、「未開封品であるかのように見せかける」行為。既に開封された商品を「新品未開封」として偽装し高額で販売する。


偽装

商品そのものを不正に複製・模倣して、正規品であるかのように偽る行為。商品の形状やデザイン、ロゴなどをコピーして正規の製品と見分けがつかないように製作されることが特徴。「商品そのものを偽物として作り出し」、「正規品と偽って」販売することが主な目的です。


再シュリンク詐欺は本物の商品について「未開封品であると偽装する行為」で、偽造は「偽物を作り出して販売する行為」です。

再シュリンク詐欺が増えている現状

トレーディングカード市場の拡大に伴い、再シュリンク詐欺が急増しています。特にポケモンカードのような高額で取引されるカードが増えたため、詐欺の標的になるケースが多くなっています。

例えば、ポケモンカードのBOXから高価なレアカードだけを抜き取り、再度ラップを施して「新品」として販売されるケースが報告されています。その結果、購入者は高額な商品を騙し取られる被害を受けています。

このような詐欺に遭わないためにも、信頼できる販売元からの購入や、商品の確認がますます重要になっています。

再シュリンク商品を購入してしまった場合の対処法

再シュリンク商品を購入してしまった場合、まずはすぐに相談窓口に相談してみましょう。
以下では、できる対処法を詳しくお伝えしていきます。

相談窓口を利用して相談してみる

再シュリンク詐欺に遭ってしまった際は、警察の相談専用ダイヤルやサイバー犯罪相談窓口を利用すると適切な助言を得られます。

警察相談専用ダイヤル「#9110」

緊急性のない警察相談を受け付ける専用ダイヤル「#9110」
詐欺やサイバー犯罪を含むトラブルに関して、警察官や専門スタッフから助言や指導を受けることが可能です。全国どこからでも地域の警察相談窓口に繋がるため、適切な対応が受けられます。犯罪の疑いが強ければ、被害届の提出も検討できます。


地域のサイバー犯罪相談窓口

地域の警察署にサイバー犯罪に対応する相談窓口が設置されています。住んでいる地域の警察署のウェブサイトや直接電話でサイバー犯罪対策室に連絡し、具体的なトラブルや疑いのある取引について相談できます。オンライン詐欺、フィッシング詐欺、再シュリンク詐欺など、インターネットを介した犯罪に関する相談や対応を行っています。


消費者センターへの相談

消費者と事業者の間で起こるトラブルや紛争の解決を支援する機関です。購入者が不正商品を掴まされた場合、センターが中立な立場で相談者に対してアドバイスを行い、適切な解決策を提案します。


再シュリンク詐欺に遭ってしまいどうしていいかわからない場合、まずは上記のいずれかに相談してみましょう。
場合によっては警察による調査や被害届の受理に繋がる可能性もあります。

警察に被害届を出す

再シュリンク詐欺に遭ってしまった場合、警察に被害届を提出するのも一つの選択肢です。詐欺罪に該当する可能性があるためです。弁護士に依頼する手順

被害届を出す際は、以下を証拠として残しておきましょう。

  • 購入時の領収書
  • 取引メッセージ
  • 商品の写真やビデオを保存しておく

特に再シュリンクされていると疑われる商品を写真に収め、シュリンク部分の不自然さを残しておきましょう。

被害届を提出する際は、最寄りの警察署で詐欺の具体的な状況を説明し集めた証拠を提出します。被害額や状況によっては、捜査が行われ詐欺罪として立件される可能性があります。

弁護士に相談する

再シュリンク詐欺にあってしまった場合、弁護士に相談するのも有効です。
専門家の助言は適切な手続きを進められるため、最善の策を見つけられます。

再シュリンク詐欺は個人での対応が難しい場合が多いので、法的知識を持った弁護士のサポートが不可欠です。詐欺被害で高額な商品を騙し取られたケースは、弁護士に依頼して損害賠償請求を行うことができます。また、警察への被害届の提出や開示請求手続きなどを弁護士が対応してくれるため、効果的な結果が得られるでしょう。

再シュリンク詐欺に対する最善の策を得るためには、弁護士に相談し専門的なサポートを受けるのがおすすめです。

再シュリンク詐欺に遭った場合訴えることは可能なのか?

再シュリンク詐欺に遭った場合、刑事告訴で相手を詐欺罪で訴えたり、民事訴訟で損害賠償を請求したりできます。
弁護士に相談しながら適切な対応を取りましょう。

以下で詳しく解説していきます。

刑事・民事事件の違い

刑事事件と民事事件には、以下のような違いがあります。

 

刑事事件

民事事件

目的
  • 犯罪を処罰することが目的
  • 国家が罪を犯した者に罰金や懲役を科す(例: 窃盗、詐欺、暴行)
  • 個人間のトラブルやお金の問題を解決する
  • 損害賠償や契約の履行、金銭の支払いなどを求める

当事者

  • 国家(検察官)が被疑者を起訴
  • 裁判で争うのは検察官と被告人(犯罪者)
  • 被害者は「告訴」や「被害届」を提出し捜査のきっかけを作る
  • 原告(訴えた人)と被告(訴えられた人)の間で争う
  • 個人や企業が損害賠償などを求めて訴えを起こす
結果と処罰
  • 有罪になると懲役や罰金などの刑罰が科される
  • 処罰は被害者への補償ではなく、犯罪者に対する社会的制裁
  • 被告が責任を負えば、損害賠償や金銭の支払いなどを命じられる
  • 目的は被害者の損失を補うこと
証拠の基準
  • 有罪になるには「合理的な疑いがない」レベルの証拠が必要
  • 証拠の厳密さが求められる
  • 「損賠賠償責任の存在について裁判官が確信を抱くか」で判断される
  • 裁判官に確信を抱かせる程度の証拠が重視される
手続きの開始
  • 警察の捜査や検察官の起訴によって手続きが始まる
  • 被害者が告訴や被害届を出しても、起訴の判断は検察官が行う
  • 被害者が訴えを起こして手続きが始まる

 

上記のように民事事件は個人間の争い、刑事事件は犯罪に対する国家の処罰が目的です。

刑事告訴【詐欺罪での訴え】

再シュリンク詐欺は詐欺罪として立件される可能性があります。
詐欺罪は人を欺いて財産的利益を得る行為を指すからです。
再シュリンクによって商品を偽り、本来の価値(=一部の商品が抜き取られた中古品)より高額で販売する行為は詐欺罪に該当します。

刑事告訴の流れは以下の通りです。

  1. 被害者は警察に対して被害届を提出
  2. 捜査の開始
  3. 詐欺を立証するための証拠を提出(取引記録、購入時の写真、取引メッセージなど)
  4. 告訴が受理され捜査が進めば加害者に対して起訴して刑事罰を課すべきかを検察官が判断する

再シュリンク詐欺に遭ってしまったら、刑事告訴を通じて詐欺罪として訴えることが可能です。

民事訴訟【損害賠償請求】

再シュリンク詐欺は民事訴訟を通じて損害賠償請求を行うことが可能です。
民事訴訟は詐欺行為によって、被害を受けた金額や精神的苦痛に対する補償を求められるためです。

損害賠償請求
  • 被害者は再シュリンクされた商品を実際の価値よりも高額な金額を支払っているため、損害の発生に該当する
  • 購入金額と商品の実際の価値との差額が請求の対象

精神的損害

  • 被害者が詐欺行為による精神的な苦痛を受けた場合、慰謝料も請求できる可能性がある
  • 高額な商品やコレクターズアイテムで詐欺に遭った場合、精神的ストレスが認められる場合がある

詐欺行為によって精神的な苦痛を受けた場合、慰謝料の請求が可能です。
被害者は金銭的な損失だけでなく騙されたことによる精神的な負担も感じるので、精神的損害として認められる場合があります。

再シュリンク詐欺のケースで精神的な苦痛を感じた場合、弁護士に相談し慰謝料請求を検討するといいでしょう。

再シュリンク詐欺の考えられる刑と罰則

ここでは、再シュリンク詐欺による考えられる罰則をご紹介します。

詐欺罪

再シュリンク詐欺は、商品を未開封の新品と偽ってして不正に利益を得る行為であり詐欺罪に該当します。

詐欺罪(刑法第246条)
第二百四十六条人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
引用:詐欺罪(刑法第246条)e-Gov法令検索

詐欺罪加害者が意図的に他人を欺き、商品や金銭などを不正に得た場合に適用されます。再シュリンクによる不正販売は、これに該当します。

上記に違反した場合、他人を欺いて財物や財産的利益を不正に取得した場合に適用され、最大で10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

特定商取引法違反

特定商取引法違反は販売業者が事実を偽り、消費者に不利益を与える行為に対して適用されます。

特定商取引法第12条「誇大広告等の禁止」
第十二条販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能又は当該権利若しくは当該役務の内容、当該商品若しくは当該権利の売買契約又は当該役務の役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
引用:特定商取引法第12条「誇大広告等の禁止」e-Gov法令検索

例えば、販売事業者が再シュリンクされた商品を「新品未開封」として出品し、実際には開封されていることを隠して販売する行為がこれに該当します。

商品が事実とは異なる説明をされ消費者に誤解・損害を与えるため、特定商取引法第12条に違反します。

特定商取引法第13条2「解除妨害のための不実告知の禁止」
第十三条の二販売業者又は役務提供事業者は、通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除を妨げるため、当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みの撤回若しくは当該売買契約若しくは当該役務提供契約の解除に関する事項(第十五条の三の規定に関する事項を含む。)又は顧客が当該売買契約若しくは当該役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
引用:特定商取引法第13条2「解除妨害のための不実告知の禁止」e-Gov法令検索

例えば、販売事業者に対し消費者が返品を求めた際、販売事業者が「返品できない」と虚偽の説明を行い、返品や契約解除を妨げる行為が該当します。

「この商品はキャンセル不可」と記載しておきながら実際には返品可能である場合、不実告知による解除妨害とみなされます。

上記に違反した場合、特定商取引法第8条1、特定商取引法第70条に基づき以下の罰則を受ける可能性があります。

特定商取引法第8条1「罰則」 
第八条主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が第三条、第三条の二第二項、第四条第一項、第五条第一項若しくは第二項若しくは第六条の規定に違反し若しくは前条第一項各号に掲げる行為をした場合において訪問販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同項の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、二年以内の期間を限り、訪問販売に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。この場合において、主務大臣は、その販売業者又は役務提供事業者が個人である場合にあつては、その者に対して、当該停止を命ずる期間と同一の期間を定めて、当該停止を命ずる範囲の業務を営む法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下同じ。)の当該業務を担当する役員(業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下同じ。)となることの禁止を併せて命ずることができる。
引用:特定商取引法第8条1e-Gov法令検索

監督官庁(消費者庁など)から業務停止命令や改善命令が下されます。

特定商取引法第70条
第七十条次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一第六条、第十三条の二、第二十一条、第三十四条、第四十四条、第五十二条又は第五十八条の十の規定に違反したとき。
引用:特定商取引法第70条 e-Gov法令検索 

違反行為が悪質な場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。

民事訴訟での損害賠償額

民事訴訟における詐欺罪の損害賠償額は、ケースによって異なります。
被害額、悪質性などさまざまなケースがあるからです。

主に以下の要素で決定されます。

  • 損害額の計算
  • 事案による相場
  • 裁判官の裁量

損害賠償額は、被害者が実際に失った金額と精神的損害(慰謝料)が基本です。
詐欺によって被害者がどれだけの金銭的損害を受けたか、その詐欺がどれだけ精神的苦痛を与えたかによって、損害賠償額が決まります。
詐欺の種類や金額、被害者の状況なども影響し、最終的には裁判官がこれらを考慮して決定します。

一般的な詐欺事件では、失った金額(数10万円から数1,000万円)に加えて、精神的損害(数10万円〜数100万円)が加算されます。被害者が詐欺によって大きな精神的苦痛を受けている場合、慰謝料がさらに高額になるケースもあります。

損害賠償額はケースごとに異なるため、弁護士に相談して正確に損害額を算定してもらうといいでしょう。

フリマ・オークションサイトに開示請求できる?

最近は、オークションサイトやフリマサイトで再シュリンク商品を購入してしまうケースが多いです。
その場合、開示請求の要求が可能です。

以下で詳しく解説していきます。

開示請求とは

開示請求は、個人情報を持っている事業者に対し本人が自分の個人情報(保有個人データ)の開示を求めるための手続きです。

個人情報保護法33条「開示」
本人は、個人情報取扱事業者に対し、当該本人が識別される保有個人データの電磁的記録の提供による方法その他の個人情報保護委員会規則で定める方法による開示を請求することができる。
引用:個人情報保護法33条「開示」e-Gov法令検索

開示請求する場合は証拠を準備して弁護士へ相談

開示請求は法律に基づく手続きであり、個人情報の開示には厳しい要件が求められます。
弁護士のサポートを受けると、必要な手続きを正確かつ効果的に進められます。

開示請求を弁護士に相談する際は、取引に関連する証拠をしっかりと集めておきましょう。証拠がなければ、法的手続きを進める際に不利になる可能性があるためです。

例えば、弁護士はオークションやフリマサイトの運営者に対して、相手方の個人情報を正式に請求し、詐欺などの違法行為を行った相手を特定します。
取引記録や商品の写真、メッセージのやり取りなどの証拠を提示すれば、詐欺行為を証明する助けとなるでしょう。

再シュリンク詐欺にあった場合は、まず弁護士に相談し正確な法的手続きを進めていきましょう。

実際にあった再シュリンク詐欺事例

ここでは実際にあった再シュリンク詐欺の事例について2つ紹介します。

事例1 ポケモンカードボックスを再シュリンク詐欺をし警察に逮捕される

2023年6月上旬、男性から14万5000円をだまし取った疑いで、自称転売屋の男(23)が逮捕されました。
容疑者は、フィルムを貼り直し新品であるように見せかけたポケモンカードのボックスを販売しており、同様の手口で約620万円を稼いだとみられています。「転売用に購入する人が多く、中身を入れ替えてもばれないと思った」と容疑を認めています。

参考:時々ドットコム(通信ニュース)

事例2 再シュリンクが持ち込まれ行為者が損害賠償に

国内最大級のポケモンカードゲーム専門店「晴れる屋2」に再シュリンクされたポケモンカードのBOXが持ち込まれました。警察及び弁護士と共に持ち込み人物と再シュリンク商品作成人物を特定し、損害賠償を受けたとのことです。

参考:晴れる屋2公式X

警察は再シュリンク詐欺に対応してくれるのか

再シュリンク詐欺にあった場合、基本的に警察は対応してくれます。
しかし立件して捜査してくれるかどうかは内容にもよりますので、以下で詳しく解説していきます。

証拠が十分であれば詐欺罪として対応してくれる可能性が高い

再シュリンク詐欺に遭った場合、警察は対応してくれます。
前述した、刑法第246条の詐欺罪に該当する可能性があるからです。

警察は、被害者からの被害届や告訴を受けた後捜査を開始できます。
証拠が不十分だと立件が難しい場合もあるため、以下の3点は最低でも準備しておきましょう。

    • 取引の記録
    • 商品の状態
  • メッセージのやり取り

もし「詐欺にあったかも」と感じたら証拠は必ず残した上で警察に相談してみましょう。

被害届・告訴状を出すか検討する

犯罪の被害に遭ってしまったら「被害届」と「告訴状」を提出する方法があります。
被害届は被害の申告に留まり、告訴状には犯人の処罰を求める意思が含まれています。

被害届の場合、必ずしも捜査が行われるわけではなく警察の判断に依存します。一方で、
告訴状の提出は、警察に捜査を促すことが可能です。

例えば、横領や詐欺など発生から時間が経過している犯罪の場合、警察署で事前に相談し、告訴状を提出することで捜査が迅速に行われる可能性が高まります。事前に警察署に連絡し、概要を説明しておけば、担当警察官に事件の内容をスムーズに伝えられます。

告訴状を提出する場合は、犯罪事実を証明する証拠を用意し、事前に内容を整理しておくことが、手続きの円滑な進行に役立ちます。

被害届・告訴状・告発状の違い

被害届、告訴状の他、告発状というものもあり、違いは出せる人と目的です。
全て犯罪事実を申告するものですが、犯人の訴追を求めるかどうかで区別されます。

被害届

【​誰が出せるのか】
犯罪の被害者

【どんな手続き?】
・警察官が被害者から話を聞き、それを基に書面を作成
・作成した書面に被害者が署名するのが一般的

【警察は必ず受け取ってくれるのか】
警察は、法律(犯罪捜査規範第61条)に基づき被害届を受理しなければならない

【どんな効果があるか】
被害届が受理されると、警察が事件を把握し捜査のきっかけになる場合があります。

【受理拒否されるケース】
場合によっては、警察が「証拠が足りない」や「事件性が低い」という理由で拒否される場合がある

告訴状

【誰が出せるのか】
・犯罪の被害者やその法定代理人
・被害者が死亡した場合には親族(刑事訴訟法第230条、第231条など)

【どんな手続き?】
・警察(司法警察員)や検察官に対して口頭や書面で行う
・一般的には書面で「告訴状」を提出することが多い(刑事訴訟法第241条)

【告訴と被害届の違い】
告訴には「犯人を処罰してほしい」という意思が含まれている

【警察や検察の義務(捜査機関の義務)】
・告訴状が提出されると、警察や検察はその書類を検察官に送らなければならない
・犯人を起訴するかどうかの結果を告訴した人に知らせる義務がある(刑事訴訟法第242条、第260条)。

【どんな効果があるか】
・犯罪事実を伝え、犯人の処罰を求めると検察から「起訴」または「不起訴」の結果が告訴者に通知される
・不起訴の場合はその理由も伝えられます(刑事訴訟法第260条、第261条)。

告発状

【誰ができるのか】
・告訴権者
・犯人でない第三者なら誰でも(刑事訴訟法第239条)

【どんな手続き?】
・警察官(司法警察員)や検察官に対して口頭や書面で行う
・一般的には書面で「告発状」を提出することが多い(刑事訴訟法第241条)

【告訴との違い】
告発は「第三者」が犯罪事実を申告して処罰を求めるもの

【どんな効果があるか】
・犯罪事実を警察や検察に知らせ、犯人の処罰を求める意思を示す
・検察から「起訴」または「不起訴」の結果が告発者に通知される
・不起訴の場合はその理由も伝えられる(刑事訴訟法第260条、第261条)

名誉毀損などの親告罪では被害者が告訴を行わない限り、犯人を起訴することができません。また、告発は第三者が犯罪事実を申告して犯人の訴追を求めるもので、対象者は誰でも可能です。

法的効果として被害届では捜査機関に捜査義務が生じないのに対し、告訴・告発の場合には、捜査機関に捜査開始義務が生じる点が大きな違いです。

被害届・告訴状の作成は弁護士に依頼すると安心

被害届・告訴状の作成は弁護士に依頼すると、手続きの正確性や効率性が大幅に向上するので、安心感を得られます。

以下では、手順やポイントを解説します。

弁護士に依頼する手順

弁護士に被害届や告訴状を依頼する流れは以下の通りです。

1 弁護士を探す・相談予約 刑事事件に詳しい弁護士を探し、電話やウェブで相談の予約
2 事前準備 事件の内容や、被害を受けた状況を整理し、証拠を集めておく
3 相談当日 ・弁護士に被害の詳細や証拠を説明
・弁護士が被害届や告訴状のどちらが適しているかアドバイスしてくれる
4 書類の作成 弁護士が、必要な書類(被害届や告訴状)を作成
5 警察や検察への提出 弁護士が書類を警察や検察に提出し、手続きを代行
6 操作の進行と報告 弁護士が捜査の進行状況を確認し、依頼者に報告
7 結果の通知 ・検察から「起訴」や「不起訴」の結果が届く
・不起訴の場合、その理由も伝えられる

弁護士に依頼すると、書類作成や手続きがスムーズに進み、捜査のフォローもしてもらえます。

弁護士に相談する際は、どの書類を提出すべきか、弁護士に相談して適切な手段を選ぶのが重要です。自分が何を求めるかを明確にしておくと、弁護士のサポートがより効果的になります。

弁護士に被害届・告訴状・告発状の作成を依頼する場合のポイント

弁護士に被害届・告訴状・告発状を依頼する際は、以下のポイントに注意しましょう。

  • 事実関係の整理
  • 証拠と書類の正確性
  • 弁護士との連携
  • 費用とスケジュールの確認

手続きをスムーズに進めるには、事件の詳細や証拠の準備をしっかり行い、弁護士に正確に伝えることが大切です。弁護士が事件の情報を正確に把握すると、法的に有効な書類を作成でき、より捜査が進みやすくなります。

いつ、どこで、どんな被害を受けたかを時系列で整理し、弁護士にすべての事実をもれなく伝えましょう。書類提出後も弁護士と連絡を取り合い、捜査の進み具合を確認するのも大切です。また、相談料や書類作成の費用、追加の費用についても事前に確認しておくと安心です。

進行中に追加の証拠が必要になる場合もあるため、弁護士と連携しながら対応し費用も事前に確認しておくと手続きがスムーズになります。

再シュリンク詐欺にあったら弁護士に相談して適切な対応をするのが重要

再シュリンク詐欺に遭った場合、迅速で適切な対応を取るのが重要です。

再シュリンク詐欺とは、一度開封された商品を「新品未開封」として偽り、高額で販売する詐欺行為です。被害に遭ってしまうと、金銭的損失だけでなく精神的苦痛を受ける場合もあります。

被害にあった際には、まず警察や消費者センターに相談し、被害届や告訴状の提出を検討しましょう。また、弁護士に依頼し損害賠償請求や刑事告訴などの法的手続きをすると、安心感を得られます。

弁護士に相談して適切な手続きを踏むとより迅速かつ効果的に対処できるため、早急に対応しましょう。

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