「弁護士過疎地域での経験が弁護士としての基本軸を作ってくれました」父の意思を継いで事務所を開設/古賀 祥多弁護士(古賀祥多法律事務所)
弁護士であったお父様に憧れ弁護士を目指したという古賀先生。弁護士過疎地域で法律事務所の所長も務め、現在は他界されたお父様の事務所を引き継いで事務所を経営されています。
弁護士を目指した理由とこれまでの経歴について
これまでの経歴について教えてください。
福岡県出身で、京都大学法学部・福岡大学法科大学院(ロースクール)を卒業し、2016年に弁護士になりました。
弁護士になってからは、弁護士法人あさかぜ基金法律事務所で約2年間経験を積んだ後、2019年1月から約2年間、壱岐ひまわり基金法律事務所の所長を務めました。2021年4月からは福岡市内にある井口法律事務所に所属し、2022年6月に古賀祥多法律事務所を開設しました。
弁護士を目指した理由を教えてください。
実は父が弁護士でして、刑事弁護に力を入れていたので、テレビや新聞で報道されるような事件の弁護人を務めることもありました。「なぜ犯罪者の味方をするんだ」「あんな悪いやつを弁護する必要ない」といった声が多い中、被疑者・被告人といういわば少数者のために闘う父に憧れを抱くようになったんです。
そして高校時代に進路を考えたとき、自分ではどうしようもできない事情を抱えた方の力になりたいと思い、弁護士になろうと決めました。
壱岐ひまわり基金法律事務所の所長を務められたというお話でしたが、「ひまわり基金法律事務所」というのはどういった事務所なのでしょうか?
弁護士が少ない又は一人もいない「弁護士過疎地域」と呼ばれる地域で、いつでも、誰でも司法サービスを受けられるように、日本弁護士連合会等の支援を受けて開設・運営される公的な法律事務所です。
ひまわり基金法律事務所は、弁護士は基本的に所長のみで、任期制となります。私は壱岐の5代目所長で、現在(2024年9月)は7代目所長が事務所を続けています。壱岐は離島なのですが、ひまわり基金法律事務所を含め法律事務所が2つしかありません。
離島の弁護士というのはドラマの世界みたいですね。なぜ弁護士過疎地域で働こうと思われたのですか?
以前は、弁護士は都市部でやるものだと思っていました。ところが法科大学院時代にキャリアに関するセミナーを受けて、弁護士過疎偏在という問題があると知ったんです。私自身、「どのような場所でも、誰であっても、きちんと法律に基づいた解決が行われるべきだ」という信念があったので、弁護士過疎地域での仕事は、まさに自分に合うと思ったんです。
弁護士過疎地域の中でも壱岐を選んだのは、司法試験合格後に偶然旅行に行った際、「ひまわり基金法律事務所」の看板を見たのが印象に残っていたというのが大きかったですね。
弁護士過疎地域での経験について
実際弁護士過疎地域で仕事をしてみて、いかがでしたか?
島の雰囲気自体はとても穏やかです。ですから赴任する前は、都市部のようなシビアな相談が持ち込まれるイメージはなかったんです。ところが実際赴任してみると、都市部と同じようにシビアな相談がたくさんありました。
そして島民の方や地元の企業から、ありとあらゆる相談が寄せられます。経験したことがない分野だからとか多忙を理由に断ってしまうと、その方は海を渡って相談に行かなければならないわけです。それで相談自体を諦めてしまう方も多いでしょうから、どんな案件でも、どんなに多忙でも、まずは相談をうかがって、なにかしら道筋をつけるようにしていました。
壱岐での仕事で、印象に残っている案件はありますか?
高齢の男性から、交通事故を起こしたので示談書の書き方を教えてほしいという相談を受けました。ただ話を聴いてみると、相手が怪我をしたり相手の車が損傷した証拠がなかったんです。それで、「そもそも賠償する必要があるのか」というところに疑問を持ち、最終的にはこちらから裁判を起こして、「賠償金を支払う必要はない」と確認する判決をもらいました。依頼者にはとても喜んでいただき、安心された様子が印象に残っています。
こういったケースはもちろん都市部でもありますが、近くに弁護士がいるのか、それともわざわざ海を渡って相談に行く必要があるのかによって、相談するハードルは全く違うはずです。ですから、やはり弁護士が近くにいるという意味は大きいと思います。
壱岐での経験は、今どのように生きていると感じていますか?
壱岐では、交通事故、相続、遺言、離婚、債務整理、賃貸借、消費者問題、労働問題、刑事事件、成年後見など、約250件ものご相談・ご依頼をいただきました。
その過程で、目の前の相談者・依頼者の話に耳を傾け、ときには依頼者のもとや現場へ足を運び、自分の目で見て耳で聞き、事件の実態にできる限り迫り、目の前の相談者・依頼者のために何ができるか模索してきました。また、弁護士の役割とは何かを悩み考えました。
もちろん大変な毎日でしたが、一生懸命頑張ってきた積み重ねが、弁護士としての私の基本軸を作ってくれたと思います。
現在の仕事について
壱岐への赴任を終えたあとのキャリアは、どのように決められたのですか?
色々悩んで、先輩弁護士にも相談して、やはり自分はマチ弁として仕事をしたいと思い、先輩弁護士である井口先生の事務所に所属することにしました。
ところが父が、2022年2月2日に急逝したんです。倒れる直前まで仕事をしていたので、本当に驚きました。父は一人で事務所をやっていて、まだ途中の案件もたくさんありました。それで私は、父の後を継ぐ形で急遽「古賀祥多法律事務所」を開設して現在にいたります。
現在、どのような分野に注力されていますか?
特定の分野に特化するのではなく、マチ弁として個人・企業から幅広く相談・依頼を受けています。また、父の影響もあり刑事弁護にも力を入れています。弁護士会の刑事弁護関係の委員会に所属したり、再審を求める弁護団や刑務所での処遇に関して国家賠償を求める弁護団にも所属しています。
仕事をするうえで、どういったことを大切にされていますか?
元々持っていた「どのような場所でも、誰であっても、きちんと法律に基づいた解決が行われるべきだ」という信念は今も変わりません。むしろ、実際に弁護士過疎地域で仕事をしたことで、より一層強くなりました。
また、相談に来られる方は、様々な不安や心配を抱えています。弁護士として法的に解決することはもちろんですが、そういった気持ちに共感し、寄り添うことも大切にしています。法的トラブルに巻き込まれると、ネガティブな気持ちになったり、ストレスを抱えるのは当然です。そのような中でも、少しずつ前を向けるような声がけや関わり方ができればと思っています。
先生の強みを教えてください
話しやすいというのはよく言っていただきます。元々早口で矢継ぎ早に話すタイプではありませんし、初めて弁護士に相談する方でも安心していただけるような対応は心がけています。
弁護士3年目には壱岐に赴任して所長を任せていただき、それ以降ずっと自分が最終責任者として仕事をしてきました。大きなプレッシャーや大変なこともたくさんありましたが、「自分がなんとかしなければ」という環境で仕事をしてきたことで、弁護士として大きく成長できたと思います。
今でも分からないことや悩むことはたくさんありますが、よほど特殊な分野でない限り一通り対応できることは強みだと思います。
今後の目標・展望について
今後の目標や展望を教えてください。
今は一人で事務所をやっていますが、他の弁護士と共同で運営するのもよいなと思っています。一人だと煮詰まってしまうこともありますし、人手が必要な案件でも対応できるというのは共同事務所のメリットだと思います。
また、取調べへの弁護人の立会い実現や再審法の改正など、刑事司法には大きな問題が山積みです。個別の事件に対応することはもちろん、委員会の活動などを通じて、法律や制度の改正にも関わっていきたいと思っています。
相談を考えている方へメッセージをお願いします。
ちょっと気になると思ったら、それが相談すべき一つのタイミングだと思います。自分では「たいしたことない」と思っても、弁護士から見れば今すぐ対応すべき場合も少なくありません。弁護士に相談すべきかどうか自分ではなかなか判断できませんから、少しでも不安や悩みがあったら、とにかく一度相談してみるという考え方でよいと思います。
当事務所でも法律相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
弁護士情報
弁護士名:古賀 祥多
所属弁護士会:福岡県弁護士会
事務所名:古賀祥多法律事務所
事務所HP:https://skoga-lawoffice.com/
事務所住所:〒 810-0041 福岡県 福岡市中央区大名1-8-12 第二西部ビル502
経歴:
福岡県出身
京都大学法学部卒業
福岡大学法科大学院修了
2016年12月〜 弁護士法人あさかぜ基金法律事務所
2019年1月〜 壱岐ひまわり基金法律事務所
2021年4月〜 井口法律事務所
2022年6月〜 古賀祥多法律事務所
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