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「日本・シンガポール・NY州 – 3つの司法資格で世界を舞台に」栗田 哲郎 弁護士 / One Asia Lawyers Group代表弁護士

日本人弁護士として初めてシンガポール司法試験 (Foreign Practitioner Examination)に合格。企業法務に精通し、クロスボーダーM&Aや国際仲裁の第一線で活躍する栗田 哲郎 弁護士。2009年に日本からシンガポールへ渡り、15年以上、アジア全域でのビジネス展開をサポートする法律のプロフェッショナル。そんな栗田弁護士に弁護士を志したきっかけやキャリアについてお話をお伺いしました。

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弁護士を志したきっかけを教えてください。

実は、大学時代はテニスに打ち込む毎日で、当初はマスコミへの就職を漠然と考えていたんです。ただ、テニスで後輩を教える中で、人の成長をサポートすることに大きなやりがいを感じるようになりました。

大学3年生の時、大学時代をかけて目標にしていたテニスの大会が終わってから、自分の専門性や特別な知識で誰かをサポートできる仕事に就きたいと真剣に考え始めました。テニスに打ち込んだ経験から、圧倒的な専門性を持つことの重要性を実感していましたから、法律の専門家としての道を選ぶことにしました。

大学4年生から司法試験の専門学校に通い始めました。今、思えば、当時、テニスを通じて培った努力と我慢強くひとつのことを続ける力が、司法試験の勉強や後の弁護士としてのキャリアにも大きく活かされていると感じています。

弁護士としてのキャリアについて詳しく教えてください。

私のキャリアは、2004年から森・濱田松本法律事務所での勤務から始まりました。この時期に、国内の民事再生・破産管財などの案件を多数経験し、M&Aや紛争解決の基礎を学びました。
特に印象に残っているのは、2004年当時に盛んだったプレパッケージ型の民事再生案件ですね。債務者、債権者、顧客、銀行、監督委員や裁判所など、多数の利害関係者の利益を考慮し、調整する過程に非常に興味を覚えました。

その後、英語を使った国際仲裁案件に携わりたいという思いから、2009年にアメリカのロースクールに留学しました。ただ、リーマンショックの影響でアメリカでの就職が難しく、当時、シンガポールの国際仲裁案件を相手方として対応していたシンガポールのローカルの大手の法律事務所であるRajah & Tann法律事務所でインターンとして働き始めたんです。

当時、日本企業のアジア統括会社設立、M&Aブームが起きており、多くの案件に携わる中で、シンガポールでの長期滞在を決意しました。その後、Rajah & Tann法律事務所にパートナー弁護士として正式に移籍し、アジア法務、特にシンガポール法、シンガポールの国際仲裁の経験を積み重ねました。

また、2011年ころに、Singapore Interanational Arbitration Centre(SIAC)で、Case Managment Offierのサポート業務も行い、アジアでの紛争解決の実務を学ばせていただきました。

2014年からは、Baker & McKenzie法律事務所の「アジアフォーカスチーム」のヘッドとして約3年間勤務し、日本企業のアジア進出案件、日本企業のアジアにおけるM&Aや国際仲裁などの業務を幅広く手がけました。

2017年7月1日には、「One Asia Lawyers Group」を立ち上げ、現在に至ります。日本企業は、例えばシンガポールのみに進出することは少なく、アジア全域にビジネスを展開しています。
他方、アジアの法律は各国ばらばらであり、日本企業はアジア各国の弁護士にそれぞれバラバラに依頼しないといけない状態でした。アジアで長年勤務している間に、アジア全域で勤務している日本人弁護士をネットワーク化して、アジア全域のワンストップの法律事務所を設立したいと思い、この「One Asia Lawyers Group」を立ち上げました。

現在の強みや注力している分野について詳しく教えてください。

私の最大の強みは、日本法とシンガポール法の双方に精通していることだと思います。日本法弁護士として20年間、シンガポール法弁護士(FPC)として約10年間実務を行い、シビル・ローとコモン・ローの違いを理解し、それを日本企業とアジア企業の懸け橋として活かしています。

具体的な業務としては、まずクロスボーダーM&Aが挙げられます。日本企業を代理して、シンガポールやマレーシア、ベトナムなどのアジア企業を買収する際の法務デューデリジェンスや、契約交渉を行っています。これは私の専門分野の中核といえるでしょう。
時には、ジョイントベンチャー設立を支援することもあります。日本企業とインドネシアやタイの企業とのジョイントベンチャー会社設立をサポートする機会が多いんですが、文化や商習慣の違いを調整する役割も必要となっています。

国際商事仲裁も私の得意分野の一つです。シンガポール国際仲裁センター(SIAC)での勤務経験を活かし、M&Aや取引などに関連する国際商事仲裁案件を多数取り扱っています。日本の法律事務所で紛争解決の基礎を学んだことが、アジアでの実務にも生きていると思います。

最近では、双方向のクロスボーダー案件も増えてきました。日本企業のアジア進出だけでなく、シンガポール企業やアジアの企業が、日本やその他地域への投資に関するアドバイスも行っています。これは、アジアと日本の双方向の経済交流が活発化している証左だと思います。

これらの業務を通じて、常に心がけているのは、法律面だけでなく、商習慣や文化の違いも含めたトータルなサポートを提供することです。法律は重要ですが、それだけではビジネスは成功しません。現地の事情をよく理解し、実務的なアドバイスを提供することが、クライアントの真の成功につながると信じています。

その分野に注力している理由を詳しく教えてください。

アジアビジネスの重要性が増す中、日本企業とアジア企業の懸け橋となる法律専門家の需要が高まっていると強く感じたことが、最大の理由ですね。

私の経験から、進出やM&Aはアジアビジネスの始まりに過ぎないと考えています。むしろ、M&A後の統合プロセス(PMI)こそが重要です。クライアントとともに苦難を乗り越え、アジアでのビジネスの拡大をサポートすることに大きな達成感を覚えます。

また、クライアントがアジア企業などと紛争状態になっている際に、時には法的手段を用いて、時には柔軟でクリエイティブな和解案などを提案し、紛争の解決をサポートすることにも非常にやりがいを感じています。

アジアのビジネス環境は欧米とは異なり、まだ発展途上の部分があります。法律が明確でない、あるいは法律が規定していない問題に直面することも少なくありません。このような環境下で、クライアント目線でリスクを極小化しながら、実務的かつビジネス的な解決方法を提示できることが重要だと考えています。

シンガポール法の資格を取得し、15年近くアジアに住んでいる経験を活かすことで、単なる法律アドバイスを超えた、現地の商習慣や文化を踏まえたアドバイスが可能になります。この強みを最大限に活かせる分野だからこそ、注力しているんです。

今後の取り組みや売り出していきたいサービスについて具体的に教えてください。

今後の取り組みとしては、大きく4点に注力していきたいと考えています。

1. M&AおよびM&A後の統合プロセス(PMI)サポートの強化:
日本企業がアジアに迅速に展開していくためにM&Aを用いることが必須であり、法務DD、契約交渉、クロージングなどM&Aに関するサービスのクオリティをとことん高めていきたいと思っています。
また、取引が終了した後のM&A後の事業統合は多くの企業が苦心する部分です。アジア現地にいる強みを生かして、会社法・人事・労務問題や現地ローカルに密着した商習慣に関するアドバイスなど、総合的なサポートを提供していきたいです。

2. クロスボーダーの紛争解決、国際仲裁サービスの強化:
日本企業がアジアに展開していく際に、アジアにおいて紛争に直面する機会は少なくありません。アジア現地において日本企業に寄り添って、一緒に紛争を解決していくことは弁護士の存在は必須だと感じています。時には強気に法的手段を講じて、時には相手方との間をとりもつ調整役として、日本企業の紛争をアジア現地で解決していく弁護士がこれからますます必要になると感じています。

3. 次世代の国際弁護士の育成:
日本企業のアジア進出の流れは多くなることはあっても、少なくなることはないと感じています。また、アジアの企業の日本への投資インバウンドもますます活発化すると思っています。その中で、アジア現地での実務経験を有する日本人弁護士の需要は今後も高まると予想されます。若手弁護士の育成プログラムを充実させ、次世代の国際弁護士の育成に貢献していきたいと思っています。

これらの取り組みを通じて、単なるリーガルアドバイザーではなく、クライアントのアジアビジネス全体の取組に貢献できる、総合的なアドバイザーとして頑張っていきたいと思っています。

この記事を読んでいる方へのメッセージをお願いします。

アジアでのビジネス展開をお考えの皆様、そしてこれから法曹の道を志す若い方々へ、ぜひお伝えしたいことがあります。

アジアのビジネス環境は日々変化し、常に新たな機会と課題を生み出しています。法律が明確でない場面も多々ありますが、それは同時に新しいビジネスモデルや革新的なアプローチを生み出す機会でもあるんです。

このような環境下でビジネスを成功させるには、法律上のリスクを適切に管理しながら、実務的かつビジネス的な解決方法を見出す必要があります。そのためには、現地での経験と深い洞察が不可欠です。私たちは、15年近くにわたるアジアでの経験をベースに、皆様のビジネスをサポートさせていただいています。

また、これからの時代はますますアジアで活躍できる日本人弁護士が求められてくると確信しています。日本国内だけでなく、アジアに住み込んで働くことも、キャリアの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。他国の法曹資格を取得し、比較法的な視点を持つことは、グローバル時代の法律家として大きな強みとなります。

私たちは、そういった環境や要素を提供することができます。アジアでの業務に興味がある方、新しい挑戦を求めている方は、ぜひお気軽にご相談ください。共に、アジアビジネスの最前線で、新たな価値を創造していきましょう。


弁護士情報

弁護士名:栗田 哲郎(くりた てつお)
代表弁護士(シンガポール法(FPC)・日本法・アメリカNY州法)
所属弁護士会:第二東京弁護士会
事務所名:One Asia法律事務所
事務所住所:〒100-6031 東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング31階

経歴
2003年 東京大学法学部 卒業
2009年 バージニア大学LLM 卒業
2012年 シンガポールマネージメント大学 建築契約コース
2016年 日弁連中小企業海外展開支援弁護士認定
2017年 一橋大学特別教員
2020年 神戸大学法学研究科 GMAP客員教授

所属
2004年 第二東京弁護士会 弁護士登録
2011年 アメリカ・ニューヨーク州 弁護士登録
2012年 ヤング・シンガポール国際仲裁センター運営委員会委員就任
2012年 国土交通省委託 建築企業の海外展開支援アドバイザー弁護士に就任
2014年 シンガポール法 弁護士登録
2016年 日本弁護士連合会委嘱 中小企業海外支援事業担当弁護士に就任
2020年 シンガポール国際仲裁センターユーザーズ委員会(Users Council)に就任
2021年2月 独立行政法人中小企業基盤設備機構海外展開支援アドバイザー

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