不倫で慰謝料請求された場合の回答書の例文を弁護士が紹介【無料ダウンロード可】
不倫で慰謝料請求された場合、必ず回答書を作成・送付しなければならないわけではありません。しかし、内容証明郵便を送って慰謝料請求している側が、相当な根拠に基づいて送っている場合には、何も対応しないと裁判になってしまうリスクが相当高まってしまいます。そのため、この記事では、どんな場合に回答書を作成した方が良いのかや、ケースごとの回答書の作成例について現役弁護士がご紹介します。回答書のテンプレートは無料でダウンロードが可能ですので、作成される場合はぜひダウンロードしてみてください。
「配偶者に不倫を疑われていて慰謝料を請求されている」
「交際相手の配偶者から突然不倫の慰謝料請求に関する書類が届いたが、どう対応すれば良いかわからない」
そんな方は、弁護士にご相談いただくことでさまざまなメリットが得られます。
弁護士に相談・依頼するメリット
・そもそもあなたが相手からの慰謝料請求に同意しなければいけないのか等を精査してくれる。
・不倫が事実であり、慰謝料請求に応じる場合はあなたが希望した条件で離婚や慰謝料請求を通せるようサポートしてくれる
・相手と直接話したくない場合も、交渉を代理で行ってくれる
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内容証明郵便とは?届くとどうなる?
内容証明郵便は、いつ、誰が、誰に対し、どのような内容の文書を送ったのか、日本郵便株式会社が証明してくれる手紙の送り方です。
不倫の慰謝料を請求する内容の内容証明郵便は、証拠として残る形で主張内容を記載するもので、ある程度不倫慰謝料を本気で請求する意思が表明されているといえます。
もちろん、それだけでは、今後裁判になるのか、話合いで終わるのか、また話合いをするとして慰謝料などのお金を支払う必要が出るのかが決まるものではありません。
ただし、内容証明郵便を送るということは、送る側としてもいつどのような内容の手紙を送ったのか証拠が残る形になるので、軽い気持ちで送るものではありません。そのため、内容に応じて、何らかの対応をした方がよいケースが多いでしょう。
なお、内容証明郵便には、消滅時効の完成を猶予する効果もあります。
内容証明郵便が届いたら回答しなければならない?回答しないリスクは?
内容証明郵便が届いたからといって、それに回答しなければならない法的な義務が生じるものではありません。
ただし、内容証明郵便を送って慰謝料請求している側が、相当な根拠に基づいて送っている場合には、何も対応しないと裁判になってしまうリスクが相当高まってしまいます。
事実無根だったり、慰謝料額が法外で、いっそう裁判で決めてもらった方がいいという場合であれば、何も対応しないという選択肢もあります。
しかし、裁判になるのが嫌だったり、不倫の事実自体は認めざるを得なくて現実的な慰謝料額で収まる可能性があるのであれば、基本的にはきちんと対応をして、解決を図る方がいいでしょう。
また、事実無根だったとしても、内容証明に対して何も反応しないという態度が後々不利に考慮されるリスクがないとはいえないので、事実無根であっても、その時点ではっきりと根拠を示して反論をしておくことで、後々の紛争拡大や不利益を回避しやすくなります。
内容証明郵便が届いた時点では、いきなり裁判にはならないだろうと思い込んで、裁判になったら対応すればいいと考えても、いざ裁判所から裁判の通知が来ると、精神的に平常な状態ではなくなってしまうこともあるので、早い段階で対応して紛争を解決に向かわせた方がいいことがほとんどです。
内容証明郵便に対して回答した方が良いケースとは
内容証明郵便が届いた場合、基本的には何らかの回答をした方がいいです。
一方で、事実無根で、もし裁判になるならそれから対応すればいいと言いきれれば、回答しないという選択肢はあります。
特に回答した方がいいといえるのは、下記のようなケースです。
- 裁判にはしたくない場合
- 話合いで解決したい場合
- 慰謝料の減額交渉をしたい場合
- 慰謝料の分割払いをしたい場合
といっても、ほとんどのケースがこの中に入るのではないかと思います
事実を認めず慰謝料の支払いを拒否する場合の回答書の書き方・テンプレート【無料ダウンロード可】
それでは、事実を認めず慰謝料の支払いを拒否する場合の回答書の書き方をご紹介します。
回答書のテンプレートは、下記の通りです。
また、上記のテンプレートは下記より無料でダウンロードが可能ですので、必要に応じてぜひご利用ください!
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事実を認めて慰謝料を減額したい場合の回答書の書き方・テンプレート【無料ダウンロード可】
次に、事実を認めて慰謝料を減額したい場合の回答書の書き方をご紹介します。
回答書のテンプレートは、下記の通りです。
また、上記のテンプレートは下記より無料でダウンロードが可能ですので、必要に応じてぜひご利用ください!
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回答書を書く上での注意点・確認すべき点について
相手方から通知書が来た段階で、回答書を書くにあたっては、以下のような点を確認した上で対応してください。
回答書を書く上での注意点・確認すべき点(1) 書かれている事実は真実か
不倫の慰謝料請求の通知書には、当事者や、問題となる「不貞関係」「不貞行為」「不倫」などといった事実が記載されている事と思います。
そのため、まずは、問題の根本となる、この当事者や不貞に関する事実が自分の認識と合っているかどうか確認します。
「不貞関係」「不貞行為」「不倫」は、基本的に、性行為をした=肉体関係を持った事実を指します。場合によっては、性交類似行為といって、性行為に近い性交渉をした場合も含まれます。
ただし、一緒に食事をしたとか、一緒に出かけただけであれば、基本的には慰謝料が発生する「不貞関係」「不貞行為」「不倫」には該当しません。また、キスをしただけでもこれに該当しないと考えられています(キスをした事実と合わせて、状況証拠から不貞関係を推認される可能性はあります。)。
また、慰謝料請求の通知書に、不貞関係にあった期間が記載されている場合があり、自分の認識よりも長期間になっている場合があります。この不貞関係の期間は、慰謝料額の算定要素にもなるので、相手の主張が合っているのかどうか、確認しておくべきです。
回答書を書く上での注意点・確認すべき点(2) 請求された金額
請求された金額が、事実関係を前提として高額なのか低額なのか確認する必要があります。相手の請求を受け入れるかどうかに関わる重要な点です。
一応、不貞慰謝料に関する相場があるといわれていて、おおよそ100万円~300万円の範囲に収まることが多いようです。
ただし、あくまで一般的な相場であって、具体的な事実関係に基づけばこの範囲に収まらないケースもあります。
オーソドックスなケースであれば自分で調べておおよその金額を把握できるかもしれませんが、仮に裁判になった場合の見通しなどについては、一度弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。
回答書を書く上での注意点・確認すべき点(3) 支払い義務を負うかどうか
不倫の慰謝料は、民法上の不法行為に基づいて発生するものです。そのため、故意または過失により、相手方の婚姻共同生活の平和を壊して精神的苦痛を与えた場合に責任が発生します。
これは、相手方の夫婦の関係が破綻していた場合や、不倫相手が独身であると過失なく信じていた場合には責任が発生しないことを意味します。
婚姻関係の破綻や、独身であると信じていたことに過失がないかどうかは、個別の事案ごとに考えなければならないものであり、すぐに結論が出ないことも多いと思いますが、少なくとも、請求された側として主張できることがあるかどうか検討しておくべきです。
回答書を書く上での注意点・確認すべき点(4) 支払期限、回答期限
不倫の慰謝料請求の通知書には、いついつまでにこの口座に振り込んで支払ってくれだとか、いついつまでに回答してくれといった記載があることが多いです。そして、期限までに支払わなかったり、回答がなければ、裁判などの法的措置を取る旨記載されていることも多いです。
この期限については、弁護士が代理人に就いている場合には、厳格な期限として考えているものではなく、それまでに何らかの反応が欲しいという感覚で記載することが多いです(当然、例外はあり、本当に支払期限として考えていて、少しでも遅れたらすぐ訴訟提起する意思の場合もあり得ます。)。
そのため、期限が書いてあったとしても、過剰に急ぐ必要はありません。この段階で、冷静に対応できずに、対応を誤ってしまうことは避けるべきです。
基本的には、期限内に、こちらの言い分(事実関係を認めるのかどうか、支払う慰謝料額はどの程度と考えているのか、支払方法はどのようにかんがえているのかなど)について回答ができれば回答をし、そこまで具体的にできなければ、●●月●●日までに検討の上回答するので少々時間をくださいといった趣旨の回答をすれば話合いを続けることができることがほとんどです。
回答書を書く上での注意点・確認すべき点(5) 代理人が就いているか、就いているとすれば誰か
相手方に、弁護士が代理人として就いている場合には、交渉や回答書の送付先は代理人弁護士宛てにすべきことになります。
一方、行政書士や司法書士が通知書を作成しているケースもありますが、請求金額が140万円を超える示談交渉ができるのは弁護士に限られます。
そのため、140万円を超えた請求について、行政書士や司法書士の名前が書いてあったとしても、示談交渉の相手は通知人本人となります。
140万円以下の請求の場合には、認定を受けた司法書士であれば示談交渉等の代理人になることができます。
請求額が140万円以下で、代理人として司法書士が記載されている場合には、認定司法書士であれば代理人になれるので、日本司法書士会連合会のホームページ等で認定を受けているかどうか確認し、認定を受けていれば、交渉や回答書の送付先は司法書士宛てにすべきことになります。
行政書士については、書面作成代行権限はあっても、示談交渉の代理権限はないので、いずれにしても交渉や回答書の送付先は通知人本人宛てとすべきことになります。
回答書を書く上での注意点・確認すべき点(6) 反省の意思
おおよその事実関係を認めて話合いを望む場合、基本的には、反省の意思が伝わるように丁寧に文章を記載すべきです。
ただ、どんなに反省の意思を込めても、細かい事実関係にいちいち反論してしまうと、反省の意思が伝わらず、話合いが上手く進まないこともあります。
事実関係に誤りがある場合には、こちらが認識している正しい事実を主張したいところですが、その内容に応じて、あまり慰謝料などに影響がなく、重要でない些細な部分については、何も触れないでひとまず反省の意思を伝えるということも考えた方がいいケースもあります。
回答書を書く上での注意点・確認すべき点(7) 収入や資産の情報提供
相場よりも低額の慰謝料に減額を求める場合や、分割払いでの支払いをお願いする場合には、単にそれらを要求するたけでなく、具体的な収入や資産の状況をできる限り詳しく説明した方がいいでしょう。
相手はこちらの収入や資産まで把握できていないことも多く、単に支払えないなどと言われただけで、すぐにそれを信用することはまずありません。
具体的に説明したり、可能な範囲で給与明細や預貯金通帳のコピーなど、収入や資産が分かる資料を提供して説明した方がスムーズに進みやすいです。
分からない点がある場合は弁護士への相談がおすすめ
以上、不倫の慰謝料の支払いを求める通知が来た場合の回答書の書き方や注意点、確認すべき点などみてきましたが、それぞれ、法的な検討が必要な場面も多く、それまでこのような事態になったことがない方が初めて通知書を受け取ったら、実際にどうすればよいのか、不安な気持ちから抜け出せないことと思います。
どのように対応すればよいのか、弁護士に相談することで、具体的な対応が見えてきますので、弁護士に相談してみることをおすすめします。
村木弁護士からのメッセージ
不倫の慰謝料の通知書、しかも内容証明という普段見慣れない厳格な感じの手紙が突然来ると、内容が合っているものであってもそうでなくても、精神的に不安になってしまうことは避けられません。
1人で考えていると、漠然とした不安が解消されず、結局は前に進まないことが多いでしょう。
このような問題を扱うのが弁護士の仕事ですので、そのようなときは、自分が話をしやすそうな弁護士に相談してみてください。
そうすれば、具体的に、次はどのような対応をすべきなのか、自分で対応できるのか、弁護士に依頼すべきなのか、弁護士に依頼するとすれば費用はどの程度かかるのか、今後の見通しはどのようなものなのか、どのような流れになるのかなど、ある程度具体的に分かってきます。
このように、今後の流れが具体的に分かってくると、自然と気持ちは落ち着いてくるもので、これだけでも相談する価値はあります。
実際に弁護士を代理人として立てるかどうかはともかく、まずは相談をしてみて、今後の対応を検討してみてください。