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法テラスでの立替費用の返還を免除・猶予してもらうには?必要な要件を弁護士が解説

法テラスで立替費用の返還が免除あるいは猶予される可能性があるのは、生活保護を受給している方や、法テラスが定めた収入要件・資産要件・資産回復困難要件の3つを満たしている方です。この記事では、立替費用の返還が免除あるいは猶予されるケースについて、具体的に弁護士が解説します。

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法テラスの利用で立替費用の返還が免除(償還免除)・猶予されるのはどんな人?

利用条件を満たした状態で法テラスを利用すると、法テラスに弁護士費用等を立て替えてもらうことができます。

原則、弁護士費用の立替制度を利用した場合には後々返還する必要がありますが、特例的に費用の返還が免除されたり、返還の時期を遅らせることができる(猶予される)場合があります。

その特例の内容について、下記にて詳しくご説明します。

生活保護を受給している場合

生活保護を受給しているときは、立替金の償還(返済)が援助の終結まで猶予されるケースがあります。

また、立替金償還免除の希望を出すことも可能です。

免除を希望するときは、償還免除及び猶予申請書と⽣活保護受給証明書を法テラスに提出してください。

また、その際に必要となる書類は、生活保護の受給証ではなく、免除申請前3か⽉以内に発⾏された⽣活保護受給証明書ですので注意しましょう。

提出した償還免除申請の結果は、書⾯で通知されます。

下記の収入要件・資産要件・資力回復困難要件を満たしている場合

また、下記の収入要件・資産要件・資力回復困難要件を満たしている場合にも、特例的に費用の返還が免除される場合があります。

収入要件について

収入要件は、ご本人および配偶者が下記の「収入の基準」の表の金額以下の収入であることが要件ですが、給与所得者、自営業者、年金受給者によって金額の算出方法が異なります

①給与所得者:手取り月収額(賞与(12 で割った金額)を含む)
②自営業者 :直近の確定申告書の所得を 12 で割った金額
③年金受給者:年金は2か月に1度支給されるため、直近の支給額を2で割った額
企業年金の支給がある場合も月割りで加算してください。

出典:法テラス「生活保護を受給していない方の償還免除申請について

また、「親族からの援助、児童扶養手当、養育費、婚姻費用分担金、特別児童扶養手当、その他公的手当(児童手当を除く)や公的給付」も収入として数えますので、合算してください。

ただし、月々継続的に支払う必要のある税金まわりや社会保険料、医療費等は、支払いを証明する書類を提出すれば、収入から差し引くことができます

収入の基準

●生活保護法の一級地以外に居住している方

●東京・大阪等生活保護法の一級地に居住している方

人数

収入基準(注1)

家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額

人数

収入基準(注2)

家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額(注3)

1人

127,400円以下

41,000円以下

1人

140,140円以下

41,000円以下

(53,000円以下)

2人

175,700円以下

53,000円以下

2人

193,270円以下

53,000円以下

(68,000円以下)

3人

190,400円以下

66,000円以下

3人

209,440円以下

66,000円以下

(85,000円以下)

4人

209,300円以下

71,000円以下

4人

230,230円以下

71,000円以下

(92,000円以下)

注1:以下、1名増加することに基準額に21,000円を加算

注2:以下、1名増加するごとに基準額に23,100円を加算

注3:居住地が東京都特別区の場合、( )内の基準を提供します

※上記の表は法テラス「生活保護を受給していない方の償還免除申請について」より引用

資産要件について

資産要件については、下記のすべての条件を、ご本人および内縁関係を含む配偶者が満たしている必要があります。

(1)現金、預貯金、保険(生命保険、学資保険、個人年金等)の解約返戻金、有価証券の時価等の合計額が66万円以下であること。
※資産の合計額が66万円を超える場合でも、当該資産を償還に充てることのできない合理的事情がある場合は、資産要件を満たすと判断することがあります。その際、資料の提出を求める場合があります。

(2)自宅の他に不動産を保有していないこと。
※自宅の評価が高額な場合は、自宅のみの保有であっても、免除が認められない場合があります。
※自宅の他に不動産を保有していても、当該資産を償還に充てることのできない合理的事情がある場合は、資産要件を満たすと判断することがあります。その際、資料の提出を求める場合があります。

(3)車を保有している場合は、世帯あたり1台のみであること。
※車の評価が高額な場合は、世帯あたり1台のみの保有であっても、免除が認められない場合があります。
※世帯あたり2台以上の保有であっても、当該資産を償還に充てることのできない合理的事情がある場合は、資産要件を満たすと判断することがあります。その際、資料の提出を求める場合があります。

出典:法テラス「生活保護を受給していない方の償還免除申請について

資力回復困難要件について

資力回復困難とは、高齢者である・中度から高度の障害がある・持病がある等で収入の改善が見込めないという状態です。

以下の5つの要件の内、1つでも満たせば、資力回復困難であると判断されます。

①65 歳以上の高齢者

②重度または中度の障害のある者として以下のいずれかに該当する者
ア.国民年金法による障害基礎年金の支給を受けている者
イ.厚生年金保険法による障害厚生年金の支給を受けている者
ウ.労働者災害補償保険法による障害補償給付を受けた者のうち、その対象となった身体障害の障害等級が1級ないし7級に該当する者
エ.身体障害者手帳の交付を受けている者のうち同手帳に1級ないし4級と記載されている者
オ.精神障害者福祉手帳の交付を受けている者のうち同手帳に1級ないし2級と記載されている者

③上記②の障害のある者を扶養している者

④病気により長期の療養が必要で、現に収入を得ておらず、かつ、今後1年程度の間に収入を得るために働くことが見込めない者

⑤上記①から④に準ずる理由により、今後1年ないし2年で、現在よりも生計が改善される見込みに乏しい者

出典:法テラス「生活保護を受給していない方の償還免除申請について

あてはまる項目があれば、資力回復困難要件を満たしていると考えられます。

尚、不景気による収入の減少や失業は対象外のため、注意しましょう。

法テラスの立替費用の償還免除に関する注意点

法テラスの立替費用の償還免除を申請する際には、下記の点に注意しましょう。

事件の相手方から金銭等を得る(予定がある)場合には25%以上の償還が必要になる

法的トラブルの解決を目指した結果として、相手方から金銭が得られる場合があるでしょう。また確定はしていなくても、金銭を得る見込みがあるという状況も考えられます。

このような場合には、相手方から得た金銭から報酬金や立替金の精算を行うのが原則です。最低でも25パーセントは償還(返済)する必要があります。

免除申請を考えているときでも、相手方から金銭を得る可能性がある場合は、この点に注意してください。

ただし、特別な理由がある場合には25%以上の償還も免除される

特別な理由があるときに限り、相手方から金銭が得られたとしても25パーセント以上の償還が免除されることがあります。

ただし、得られた金銭に対して償還を免除するかは、法テラスが判断するものです。

実際の免除申請で相手方から金銭が得られる可能性があるなら、自分自身のケースについて法テラスに確認してみましょう。

償還免除の申し込みは事件終了後に行うこと

申請書1行目にも明記されていますが、償還免除は事件終了後に申し込みを行う必要があります。

なぜなら、立替金の残額は、事件終了後に確定するものであるからです。

そのため、償還免除については、必要に応じて事件終了後に申請を行ってください。

免除申請をすると、「免除に対する決定がされるまでの償還の猶予」についても同じタイミングで申請することになります。

法テラス以外でも無料法律相談や弁護士費用の立替が可能な場合もある

今回の記事では、主に法テラスでの立替制度を利用した後に、立て替えてもらったお金を返還せずに済む人について解説しましたが、そもそも法テラスの立替制度を利用するには、様々な条件を満たさなければなりません。

この条件を満たせない場合には、そもそも立替制度が利用できないわけですが、法テラスの立替制度が利用できないような場合でも、直接弁護士に相談・依頼することで、弁護士が費用の分割払いや後払いを承認してくれる可能性があります。

しかし、費用の分割払いや後払いを利用できる弁護士や事務所は限られているため、分割払い等を利用したい場合には、そのような支払い方法を受け付けている弁護士に相談・依頼する必要があります。

柔軟な料金体系を採用している弁護士については、カケコムの弁護士検索にて簡単に見つけることができます。「初回相談無料」や「分割払い可」「後払い可」と書かれている弁護士を、ぜひ下記のボタンから探してみてください。

精神的な負担も大きくなってしまうため、法的トラブルを長引かせるのはおすすめできません。法テラスの利用が難しいなら直接弁護士に依頼しましょう。

 

天野弁護士からのメッセージ

実際のところ、法テラスへの返済について猶予・免除を求める事案は少数だと思います。

ただ、傷病などで法テラスに返済できない場合には返済の猶予・免除ができる場合があることを、心の片隅に置かれると良いかと思います。

 

Point

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