水増し請求とは?損害賠償請求方法や水増し請求がバレた際の対処法を弁護士が解説
水増し請求とは、必要以上に多く代金を請求する行為のことを言います。この水増し請求の被害に遭った場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?また、加害者側は、水増し請求がバレたらどう対処すべきでしょうか?今回は、水増し請求にあたるケースや罰則、被害者の対処法、加害者の対処法について弁護士が解説します。
「(被害者側)水増し請求の被害に遭ってしまったため、相手を訴えたい。損害賠償請求をしたい」
「(加害者側)水増し請求が会社にバレてしまい、示談で解決したい」
そんなお悩みをお持ちの方は、弁護士に相談することでさまざまなメリットがあります。
弁護士に相談・依頼するメリット
・あなたの被害の場合、相手を罪に問えるのかや、どのように対処するのが最良そうなのかをアドバイスしてくれる。
・あなたが加害者である場合、どのように示談交渉をすれば良いのか、他に良い手段がないのかを教えてくれる。
・些細な不安や疑問にも丁寧に答えてくれる。
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水増し請求とは?
水増し請求とは、必要以上に多く代金を請求する行為のことを言います。
水増し請求では、通常通り請求書の発行が行われるため、比較的気付かれにくいという特徴があります。
扱う商材によっては高額な水増し請求もあるため、注意が必要です。
どんなケースが水増し請求にあたる?
水増し請求のケースとしては、様々なケースがありますが、例えば以下のようなものが考えられます。
- 実際に請求するべき金額よりも高い請求書を取引先に発行させて、自分の会社に支払いを行わせ、取引先から水増し分を受け取る。
- 病院が、患者の通院日数を実際よりも多く記載した診療報酬明細書を提出し、保険会社から治療費を多く受け取る。
- 出張時に、実際よりも多く旅費や宿泊費が掛かっているような領収書を作らせて、会社に出張費を請求する。
水増し請求はどんな罪にあたる?罰則は?
それでは、水増し請求を行うとどんな罪にあたる可能性があるのでしょうか?また、罰則の程度についても解説します。
詐欺罪にあたる可能性がある
水増し請求は、「詐欺罪(刑法246条)」にあたる可能性があります。詐欺罪となった場合、十年以下の懲役に処されます。
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。出典:刑法
詐欺罪は、上記の条文の通り、人を欺いて違法に財物を交付させることで成立します。
つまり、水増し請求の場合は、取引先を欺いて、本来の請求額よりも高い金額での支払いを行わせることが、詐欺罪にあたる可能性があると言えます。
業務上横領罪にあたる可能性がある
水増し請求は、「業務上横領罪(刑法253条)」にもあたる可能性があります。この場合も、罰則は十年以下の懲役となります。
(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。出典:刑法
水増し請求の場合は、例えば、経費の不正請求があった際等に業務上横領罪が成立する可能性が考えられます。
水増し請求の加害者に対して損害賠償請求をしたいなら
水増し請求を行っていた加害者に対して損害賠償請求をしたい場合、どのように行動をすれば良いのでしょうか?下記の項目で詳しく解説します。
加害者が二人以上で共謀していた場合
数人が共謀して水増し請求をするケースは、「共同不法行為(民法719条)」にあたると考えられます。
第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
出典:民法
共同不法行為を行うと、加害者は連帯して被害者の損害を賠償する義務を負わなくてはなりません。
共同不法行為にあたるケースでは、加害者の誰に対しても損害賠償請求が可能です。ただし、二重取りはできません。損害賠償の総額を、加害者二人で負担することになります。
どのような割合で損害賠償請求をするかについては、個人では判断が難しい部分もありますので、弁護士など専門家への相談がおすすめです。
損害賠償請求については弁護士に相談することがおすすめ
水増し請求は、発覚が遅れがちであるうえに、被害が高額になる傾向にあります。
もし水増し請求の被害を受けて損害賠償請求を考えているのなら、被害額がどの程度になるのかを明確にし、より確実に損害賠償請求を行うためにも、まずは弁護士に相談しましょう。
損害賠償請求には専門的知識が必要ですし、「あなたの場合、どの程度の額の損害賠償請求をすれば損をしないのか」や「相手が相場より低い額を提示していた時に、どうすれば相場まで額を引き上げられるのか」を知っておくことで、有利に話し合いを進めることができます。
スムーズに対応するためにも、水増し請求の被害が発覚した段階での相談をおすすめします。専門家である弁護士からのアドバイスを受けながら、適切に対応しましょう。
経済的な面で不安がある方は、初回相談を無料で受け付けている弁護士へ相談してみてください。
水増し請求の加害者が会社(被害者)と示談をしたいなら
水増し請求で起訴されてしまうと、前述したように、十年以下の懲役刑が求刑される可能性があります。
しかし、起訴前に示談が成立すれば、不起訴となる可能性も大いに有り得ますし、仮に起訴されたとしても、示談で和解していると判断され、減刑される可能性も考えられます。
起訴されるまでの限られた時間で、被害者との交渉をスムーズに成立させる必要があるため、水増し請求の加害者として「会社と示談がしたい」と考えているのなら、できるだけ早めに弁護士に相談しましょう。
三輪弁護士からのメッセージ
近時の水増し請求で多い事案は、見積が少額なので依頼したら、見積と異なる多額の金銭を請求される、といったような事案です。いわゆる消費者問題ですが、このような事案に遭遇してしまったら、消費者センターや弁護士等の専門家に相談されるのがよいと思われます。