未払いの給料・残業代を自分で請求する方法を弁護士が解説【内容証明のテンプレートあり】
給料や残業代の未払いは違法です。未払給料や未払残業代を請求するには、内容証明書を作成して送付したり、会社と直接交渉したりするなどの手段が考えられます。この記事では、未払給料や未払残業代の違法性についてや、具体的な請求方法について、内容証明書の書き方やポイントについて弁護士が分かりやすく解説します。無料でダウンロードできる内容証明書のテンプレートも掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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給料や残業代の未払いは違法
給料や残業代の未払いは、労働基準法に違反する行為です。
給料の未払いの違法性について
給料については、労働基準法24条で、労働者に、①通貨で、②直接、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日に支払わなければならない旨が規定されています。
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。出典:労働基準法第二十四条
給料を全額または一部を支払わないことは、これに違反することになります。
そして、これに違反した場合には、労働基準法120条1号により、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
残業代の未払いの違法性について
残業代については、労働基準法37条で、法定労働時間(基本的には1日8時間、1週間40時間)を超えて労働させた場合には25%以上の割増賃金を支払わなければならない旨規定されています。
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
出典:労働基準法第三十七条
そして、これに違反した場合には、労働基準法119条1号により、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
給料の未払いや残業代の未払いがある場合は誰が処罰を受ける?
以上のような懲役や罰金の刑罰は、これらの規定に「違反した者」に科せられます。
これは、会社の代表者に限ったものではなく、実際に給料を支払ったり、残業を命じたりする権限のある部長、店長、所長など従業員を管理する立場であれば該当する可能性があります。
また労働基準法121条は、違反した者だけでなく、会社などの事業主にも刑罰が科せられることを規定しています。
第百二十一条 この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する。ただし、事業主(事業主が法人である場合においてはその代表者、事業主が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合においてはその法定代理人(法定代理人が法人であるときは、その代表者)を事業主とする。次項において同じ。)が違反の防止に必要な措置をした場合においては、この限りでない。
出典:労働基準法第百二十一条
この場合には、懲役刑はなく、罰金刑のみが科せられることになります。
ただ、これらの規定に違反して刑事罰が科せられることは、実際にはほとんどないのが現状です。
未払賃金の請求には時効があることにも注意
未払賃金には、一般の債権と同様、消滅時効があります。
消滅時効期間を経過した後に請求しても、会社から消滅時効を援用されてしまうと、法律上はそれ以上請求することができなくなってしまいます。
未払賃金の消滅時効期間は、2020年(令和2年)4月1日以降に支払期限(給料日)が来るものについては当分の間3年間、それ以前のものは2年間です(労働基準法115条、同法附則143条3項)。
第百十五条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
第百四十三条③ 第百十五条の規定の適用については、当分の間、同条中「賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から三年間」とする。
基本的には、支払われるべきだった給料日の翌日から時効期間が進行します。
そして、時効期間が経過した残業代を請求しても、会社側が消滅時効を援用されると未払賃金を請求することはできなくなるので注意しましょう。
未払いの給料や残業代がある場合はどうすれば良い?
続いて、未払いの給料や残業代がある場合の対処法をご紹介します。
給料や残業代の未払いがあることを証明できる材料を揃える
給料や残業代の未払分を請求するためには、会社に請求してから会社に計算してもらうという方法もなくはありませんが、曖昧な部分を会社に不当に有利に解釈されてしまうなどの弊害も考えられるため、自分でできる限り証拠を集めておくことが大切です。
未払いの給料や残業代の計算のためには、基本的な給料の計算のために、労働条件通知書や雇用契約書、給料明細、就業規則が必要になる部分もあるため、できる限りこれらの資料を準備しましょう。
それに加えて、実際に未払いとなっている給料や残業代を計算するために、自分の労働時間が分かる資料を揃えることが必要です。
タイムカードや出勤簿、シフト表など、その名称に関わらず実際の出退勤の時刻が記載されている資料があれば重要な証拠となります。
なお、会社などの使用者は、労働基準法109条、附則143条1項により、「賃金その他労働関係に関する重要な書類」を3年間保管しなければならないため、従業員の勤務時間を管理できるタイムカードや出勤簿などの書類を保管しているものと考えられます。
そのため、会社側に開示を求めるというのも手段の1つですし、会社が記録を改ざんする具体的なおそれがあるなどの事情があれば裁判所を使った証拠保全を申し立てることも考えられます。
また、そのような資料がなくても、業務に関するメールの送信履歴や業務指示書なども証拠となる場合がありますし、自分で付けていた日記やメモでも、場合によっては重要な証拠となることがあります。
日記やメモを付ける場合には、あとから修正や追記がしづらい方が信用性が高くなると考えられますので、毎日連続して記載し、変に隙間を空けることなく、形式を整えて、正確に時刻や業務内容を記載するようにすると良いと考えられます。
会社に直接交渉する
以上の証拠をもとに、未払いの給料や残業代を計算したら、会社の代表や役員、担当者に直接話しをして交渉するという方法が考えられます。
給料や残業代の未払いがあることが明らかで、会社側の資産状況に問題がなければ、この直接交渉で解決する可能性があります。
労働基準監督署に相談する
会社側がすぐに未払賃金や未払残業代の支払いをしてくれそうにない場合には、労働基準監督署に相談する方法があります。
労働基準監督署は、労働基準法などの法律に違反がある場合に、監督指導する権限のある厚生労働省の機関です。
賃金の未払いや残業代の未払いは、上記のとおり労働基準法に違反するものです。
そのため、具体的で十分な根拠に基づいて相談をすることにより、労働基準監督署が必要な範囲で聞き取りや現地確認などの調査を行い、もし違反の事実があったり不適切な状態である場合には、労働基準監督署が会社などの使用者に対して、是正勧告などの指導をすることが期待できます。
これにより会社が未払賃金や未払残業代の支払いに応じるとは限りませんが、労働基準監督署からの指導に従わないというのは一般的には抵抗がありますし、また残業代の未払いなどは各種助成金の審査に悪影響を与えるので、実際に指導が行われれば一定の効果があると考えられます。
内容証明郵便を送る
上記の他、未払いの給料や残業代を請求する内容証明郵便を送る方法もあります。
労働基準監督署への相談と並行して内容証明郵便を送っても良いと思います。
これは、未払いの給料や残業代を請求する意思を明確にすることができるので、会社に対するインパクトは直接交渉するよりも大きくなります。
また、内容証明郵便で未払いの給料や残業代を請求することは、民法上の「催告」に該当してその証拠が残ります。そのため、6か月間は消滅時効の完成が猶予され(民法150条1項)、時効完成まで6か月を切っている場合には、時効期間を延ばす効果もあります。
内容証明を送る際には、配達証明付きで出すか、最低でも配達したことを確認したページを保存しておきましょう。
ただ、今後も働き続けたい会社である場合には、その後の職場との関係性に影響を与える可能性は否定できません。
権利に基づく請求とはいえ、その後の職場環境へ事実上影響してしまうことはあります。
それを気にして未払いの給料や残業代をあきらめるというのが良いとは思いませんが、未払いの給料や残業代を請求したものの、その後心理的に職場にいづらくなってしまうというのも、本人にとって良いのかどうかは考えた方が良いでしょう。
内容証明郵便の送付にかかる費用
内容証明郵便を送るのにかかるのは、ご自分で送る場合には、以下の実費がかかります。
<窓口で発送>
- 基本料金:84円
- 内容証明料:440円(2枚目以降は1枚ごとに260円追加)
- 書留料:435円
- 配達証明料(オプション):320円
合計1,279円〜
<電子内容証明>
- 基本料金:84円
- 電子郵便料:15円(2枚目以降は1枚ごとに5円追加)
- 内容証明料:382円(2枚目以降は1枚ごとに360円追加)
- 謄本送付料:304円
- 書留料:435円
- 配達証明料(オプション):320円
合計1,540円~
電子内容証明の方が高いように思いますが、窓口で発送する場合には1枚あたり520文字までという制限があるのに対し、電子内容証明では1枚あたりの文字数の目安が1,584文字までという違いがあり、分量が多くなる場合には電子内容証明の方が低額になります。
また、窓口で発送する場合には、自分で3通用意して持参する必要があったり、修正が必要となったときにその場で修正するには手書きで修正をして訂正印をしなければならないといった手間がかかるデメリットがあります。
民事調停を申し立てる
その他、交渉の延長として民事調停を申し立てることもできます。
民事調停は、裁判官や調停委員が会社との間に入って話合いを進め、合意成立を目指す制度です。
当事者だけの交渉では上手く進まない場合でも、裁判官や調停委員という第三者が関与することで話合いが進むことがあります。
会社側がどうしても支払いに応じない場合には、最終的には下記のとおり訴訟を提起する必要がありますが、「まだ裁判するまでの気持ちにはならないけど第三者を含めて話合いをしたい」といった心情もあり得るので、調停の申立ても有効な選択肢の一つです。
ただ、これは相手方となる会社側が応じなければ進まない手続きなので、会社側が全く応じないような態度である場合には時間を浪費するだけになってしまう可能性があります。
裁判所に訴訟提起する
交渉や調停でも話が進まない場合には、最終的には訴訟を提起して裁判所に判断してもらう必要があります。
このような裁判になったとしても、裁判手続きの中で和解するタイミングがあることが多いので、裁判になったから必ず裁判所の判決が出るというものではありません。
裁判となる場合には、一般的には弁護士に依頼することが多いと思いますが、未払いの給料や残業代と弁護士費用のバランスから、本人でやらざるを得ないこともあるかと思いますので、調べながら、また適宜弁護士に相談しながら対応していく必要があります。
未払いの額が60万円以下なら少額訴訟という制度を利用できる
会社側に対する未払いの給料や残業代の請求が60万円以下の場合には、少額訴訟という制度を利用することができます。
これは、原則として1回の期日で審理を終えるもので、その期日までに全ての主張と証拠を提出する必要があり、すぐに調べることができる証拠やその場にいる証人の証言等により、その日に判決が言い渡されます。
少額訴訟は、短期間で裁判所の判断が出ることが最大のメリットです。
ただ、相手方が普通の裁判手続き(通常は1回だけの期日で終了せず、期日を重ねて双方の主張立証をしていく手続き)で審理して欲しいと言えば、普通の裁判手続きに移行します。
未払給料・残業代に関する内容証明の書き方・ポイント
続いて、未払給料や残業代に関する内容証明の書き方やポイントをいくつか紹介していきます。
未払給料について請求する場合
形式的な事項に見えるかもしれませんが、以下の各事項がそろって未払給料の請求権が発生し請求内容を特定できるので、自分での確認の意味からも、記載するようにしましょう。
雇用契約が成立していること
賃金の請求権が発生するのは、当然、雇用契約が成立している場合です。内容証明では、いつ入社したか、退職している場合にはいつ退職したかが分かるように記載すれば良いです。
まだ在職中であれば、「貴社に●年●月●日入社し、現在も貴社に勤務している者です」などと記載し、退職した後であれば、「貴社に●年●月●日入社し、●年●月●日退職した者です」などと記載します。
所定賃金の支払時期及び金額
本来支払われるべき賃金がいくらなのかによって請求する額が変わりますし、支払時期によって請求できるタイミング、遅延損害金の起算日が変わります。
雇用契約において、いつ、いくらの賃金の請求をすることができるのか確認しましょう。
請求する未払給料はいつのものか
未払給料の金額を書いて請求しただけでは、いつの未払給料なのか分かりません。いつの未払給料の請求をするのか特定するために、●年●月分という形で、いつの分の請求なのか分かるよう記載しましょう。
請求する期間に対応する労務を提供したこと
また、給料の請求権が発生するのは、労務の提供をしたからです。そのため、未払給料を請求する期間に対応して労務を提供した事実を記載しましょう。
請求金額、期限及び振込先
具体的に、会社側に対して、いつまでに、いくらをどこに支払うよう請求をするのか記載しましょう。
付随して遅延損害金を請求するなら遅延損害金
未払給料については、請求する時点で本来支払われるべき給料日を過ぎているので、法律上遅延損害金を請求することができます。
民法改正により、2020年4月1日以降の給料日の分についての遅延損害金は3%となりました。それ以前のものは、5%または6%です。
また、退職した後に請求する場合には、退職後の遅延損害金は14.6%となります(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項、同施行令1条)。
未払残業代について請求する場合
形式的な事項に見えるかもしれませんが、以下の各事項がそろって残業代の請求権が発生し請求内容を特定できるので、自分での確認の意味からも、記載するようにしましょう。
雇用契約が成立していること
残業代(時間外割増賃金)の請求権が発生するのは、当然、雇用契約が成立している場合です。内容証明では、いつ入社したか、退職している場合にはいつ退職したかが分かるように記載すれば良いです。
まだ在職中であれば、「貴社に●年●月●日入社し、現在も貴社に勤務している者です」などと記載し、退職した後であれば、「貴社に●年●月●日入社し、●年●月●日退職した者です」などと記載します。
請求する未払い残業代はいつのものか
未払残業代の金額を書いて請求しただけでは、いつの未払い残業代なのか分かりません。いつの未払残業代の請求をするのか特定するために、●年●月分という形で、いつの未払い残業代の請求なのか分かるよう記載しましょう。
残業時間、残業代の金額及び支払時期
残業代の支払時期によって請求できるタイミング、遅延損害金の起算日が変わります。雇用契約などで、いつ、残業代が支払われるべきか確認しましょう。
そして、実際にどれくらいの時間残業をし、会社が定めた割増率や法律上の割増率などを考慮すると実際にいくら支払われるべきか請求する残業代を算定して記載しましょう。
請求する残業代に対応する残業をしたこと
残業代の請求権が発生するのは、実際に残業をしたからです。そのため、未払い残業代を請求する分の時間、残業をした事実を記載しましょう。
期限及び振込先
具体的に、会社側に対して、いつまでに、どこに支払うよう請求をするのか記載しましょう。
付随して遅延損害金を請求するなら遅延損害金
未払残業代については、請求する時点で本来支払われるべき給料日を過ぎているので、法律上遅延損害金を請求することができます。
民法改正により、2020年4月1日以降の給料日の分についての遅延損害金は3%となりました。それ以前のものは、5%または6%です。
また、退職した後に請求する場合には、退職後の遅延損害金は14.6%となります(賃金の支払の確保等に関する法律6条1項、同施行令1条)。
【ダウンロード可】未払給料・残業代に関する内容証明のテンプレート・例文
未払給料や残業代に関する内容証明を作成する際に参考となる、テンプレートをご紹介します。
未払給料について請求する場合
未払給料について内容証明を作成する場合は、下記のテンプレートを参考にしてみてください。
★テンプレートは、こちらから無料ダウンロードができます!
未払残業代について請求する場合
★テンプレートは、こちらから無料ダウンロードができます!
会社の経営状況が悪化していて未払賃金の支払いが難しそうな場合は?
会社の経営状況が悪化している場合、未払い賃金の請求はどのようにすれば良いのでしょうか?
仮差押え
未払い賃金や未払い残業代の請求権は債権であり、裁判所に対し、それを被保全債権として、会社の財産について仮差押命令の申立てをすることができます。これにより、預金債権や取引先への売掛金債権を保全して、将来の強制執行のために確保しておくことができます。
ただ、仮差押えは、文字通り「仮」に財産処分を禁止して債務者の財産を保全しておくものであり、後に強制執行が功を奏するようにするためのものです。そのため、保全した財産をお金に換えるには、正式に裁判で勝訴するなどにより債務名義を取得して強制執行をする必要があります。
また、担保金として、債権額の1割~3割程度を供託しなければならないという特徴があります。
訴訟から強制執行
仮差押えと同時に、または仮差押えはしなくても、会社に対して裁判を起こすなどして判決などの債務名義を取得し、それに基づいて会社の財産に対して強制執行することも考えられます。
ただ、裁判には、半年から1年、長ければ2年程の時間がかかる可能性があるので、時間がかかることは認識しておく必要があります。
未払賃金立替払制度
賃金の未払いが発生しているということは、事実上倒産状態となっている可能性も一定程度あります。
その場合、会社の債権者として、従業員などの賃金債権者だけでなく、金融機関等が関係していることも多く、会社の財産に担保権を設定しているなど、会社の財産をあてにできない可能性も高いです。
そういった場合には、未払賃金立替制度の利用をすることが考えられます。
未払賃金立替制度は、国が、一定の要件を満たす退職者に、未払賃金のうち最大8割(退職時の年齢に応じて上限があります。)を支払ってくれる制度です。
会社が、破産や民事再生などの法律上の倒産状態になった場合に加え、事実上倒産したものとして労働基準監督署の認定を受けた場合に制度の適用対象となります。
この事実上の倒産は、
- 事業活動の停止
- 事業再開見込みなし
- 賃金支払能力なし
の場合に労働基準監督署が申請に基づき認定します。
また、対象となる労働者は、事実上の倒産の場合、労働基準監督署への認定申請が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であることが必要です。
これらの要件に該当しそうな場合には、労働基準監督署に相談してみましょう。
内容証明の作成や賃金の未払いに関するご相談は弁護士へ
以上、未払い給与や未払い残業代を自分で請求する方法について解説してきました。
自分で請求するにしても、どのような内容の内容証明とすれば良いのか、未払いの金額をどのように計算すれば良いのか、証拠として十分なのかなどは、自分だけでは分かりづらいことも多いはずです。
その際は、未払い賃金や残業代に関する交渉や裁判を取り扱っている弁護士に相談するのが良いと思います。
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・女性弁護士も在籍中です。何でもお気軽にお話しください。
「何を伝えればいいかわからない」という状態でも、お話の整理から一緒に行っていきましょう。お気軽にご相談ください!
村木弁護士からのメッセージ
未払いの給料や残業代を自分だけ請求しようとしても、書面の作成に際して、また、会社側との交渉中にとても大きな精神的な負担を感じると思います。
自分で請求する予定でも、書面の内容や計算方法などについて、弁護士に一度確認してもらうだけでも、法律的な根拠があることを確認できるなど、精神的な負担は軽くなると思います。
また、実際に交渉や裁判になると会社側から来る反論なども想定した上で、事案の見通しもある程度予測することができます。
ただ、弁護士も、当然、交渉や裁判の結果を正確に把握できるものではありません。あくまでそのときの状況に応じて考えられる見通しであり、実際にはやってみないと分からないという要素はあります。
とはいえ、普段から未払給料や残業代を会社に請求することに慣れている人は少なく、自分だけで行うとなると、常にこの先どうなるか分からないという不安を抱えてしまうと思います。
弁護士に相談することにより、その不安を少しでも軽くできますので、ぜひお気軽に相談のお問い合わせから始めてみていただければと思います。