起訴・不起訴とは?前科はつく?不起訴処分の種類と勝ち取る方法を紹介
不起訴とは、検察官が刑事事件を起こした被疑者に対し、有罪か無罪かを決定する刑事裁判を行わない処分のことをいいます。起訴とは、検察官が裁判所に対して、裁判で審理される必要がある刑事事件の審理を行うよう求めることです。不起訴処分を獲得すれば、前科もつかず、その後の社会生活へ与える影響も最小限で済みます。本記事では、刑事事件において不起訴処分獲得のためにできることを解説いたします。
起訴・不起訴とは?
起訴とは、検察官が裁判所に対して、裁判で審理される必要がある刑事事件の審理を行うよう求めることです。
一方で不起訴とは、検察官が刑事事件を起こした被疑者※1に対し、有罪か無罪かを決定する刑事裁判を行わない処分のことをいいます。
一般的に犯罪行為に対し確実な証拠がある場合や重大な犯罪である場合、起訴され、被告人※2は裁判所にて、本当に犯罪を行ったのかどうかや量刑についてなどを判断されることになります。
しかし、被疑者が犯罪を犯した確実な証拠がない場合や、被害が軽微である場合などは不起訴処分とし、刑事裁判を求めないこともあるのです。
※1 被疑者…犯罪の疑いがあり、警察や検察の捜査の対象になっているが、起訴されていない者。
※2 被告人…警察や検察から犯罪の疑いをかけられ、検察官から起訴された者。
刑事事件における起訴・不起訴についてもっと知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
起訴とは?不起訴との違いや有罪になる確率は高い?前科はつく?起訴されないようにするには?
不起訴になるケースとは?
刑事事件において不起訴となるケースは、大きく分けて3種類あります。
嫌疑なし
嫌疑なしとは、被疑者に犯罪行為の疑いがなくなった場合のことです。
捜査の結果、被疑者がその犯罪行為を行っていないのが明白な場合や、真犯人が別に出てきた場合などがこれにあたります。
警察が間違えて逮捕する「誤認逮捕」の場合も、嫌疑なしによる不起訴となります。
これは、法務省が定めている事件事務規程の第75条に明記されています。
事件事務規程 第75条
検察官は,事件を不起訴処分に付するときは,不起訴・中止裁定書(様 式第117号)により不起訴の裁定をする。検察官が少年事件を家庭裁判所に送 致しない処分に付するときも,同様とする。
2 不起訴裁定の主文は,次の各号に掲げる区分による。
(17) 嫌疑なし 被疑事実につき,被疑者がその行為者でないことが明白なとき,又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なとき。
嫌疑不十分
嫌疑不十分とは、被疑者が犯罪行為をした疑いはあるものの、十分な証拠がないなど、裁判において有罪の証明をするのが難しい場合です。
これも、法務省が定めている事件事務規程の第75条に明記されています。
(18) 嫌疑不十分 被疑事実につき,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき。
出典:事件事務規程
もし被疑者が実際には犯罪行為をしておらず、冤罪であった場合、「嫌疑なし」または「嫌疑不十分」での不起訴を目指します。
起訴猶予
起訴猶予とは、被疑者が犯罪行為を行ったことは確かであっても、様々な事情を考慮し、検察官の裁量で不起訴とする場合です。
被害が軽微であったり、被疑者が深く反省していたり、被疑者と被害者の間で示談が成立した場合などに、起訴猶予により不起訴処分となることがあります。
これも嫌疑なしや嫌疑不十分と同様、事件事務規程の第75条に明記されています。
(20) 起訴猶予 被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境 遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。
出典:事件事務規程
その他
親告罪の告訴取り下げも、不起訴となるケースに含まれます。
親告罪とは、被害者による刑事告訴がないと犯人を処罰できない犯罪のことをいいます。
このような親告罪で被害者が刑事告訴したものの、その後被害者の気が変わって告訴を取り下げた場合、不起訴処分となります。
親告罪となる可能性があるケース
例としては、下記にあげられる罪が親告罪とされています。
- 過失傷害罪
- 略取誘拐罪
- 名誉棄損罪
- 器物損壊罪
- 強制わいせつ罪
- 強姦罪
- 侮辱罪
- ストーカー規制法違反
- 信書開封・隠匿罪
不起訴になったら前科・前歴はつく?
不起訴となった場合でも、前科や前歴がつくのでしょうか?
前科はつくのか
そもそも前科とは、法律用語ではありませんが、一般的には、懲役や禁錮、罰金、科料等、何らかの有罪判決を受けた履歴のことを言います。
不起訴処分となった場合、刑事裁判になることはありませんから、当然「有罪」になることはありません。ですから、「前科」がつくことも当然ありません。
また、起訴されたからといって必ずしも前科がつくわけではありません。起訴され、有罪となった場合には前科がつきます。
ただし、被疑者の身柄は拘束されず、罰金刑のみが課される起訴「略式起訴」の場合は、起訴された時点で刑罰を受けることが確定するため、前科となります。
前歴は残るのか
不起訴処分等で前科とならない場合でも、捜査の対象になったことこら、「前歴」という形で検察庁のデータベースに記録は残ります。
この「前歴」は、一般人に公開されることはありませんし、日常の生活において不都合が生じることもありません。
しかし、のちに再度、犯罪行為の疑いがかけられることがあった場合、前歴から過去の不起訴処分が判明し、被疑者にとって不利になる可能性はあるでしょう。
前科や前歴についてさらに詳しく知りたい方は、「前科・前歴・逮捕歴の違いは?今後の生活にどんな影響がある?前科を避けるには?」をご覧ください。
不起訴処分を勝ち取るには?
犯罪の嫌疑をかけられ起訴されてしまった場合、有罪となる確率は99.9%と言われています。
そのため、前科を避けたい場合は不起訴処分を勝ち取ることが重要になってきます。
ここでは、不起訴処分を勝ち取るためにどうすればよいかをご紹介します。
冤罪であるなら最後まで否認し続ける
冤罪であり、不起訴処分を勝ち取りたい場合は、犯罪行為について最後まで否認し続けることが大切です。
取り調べの中で犯罪行為を認めてしまったり、認めるニュアンスの供述調書を取られてしまうと、それを証拠として起訴されてしまい、刑事裁判でも有罪になってしまう可能性が高くなるからです。
しかし、被疑者ひとりで無実を主張し続けるのはかなり精神力が必要で、時間がたつにつれ精神的に追い込まれてしまい、罪を認めてしまうこともあるかもしれません。
そうならないために、冤罪であった場合は弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士に依頼することで、法律的な側面からのサポートだけでなく、弁護士との接見の中で励ましてもらえたり、家族の状況を話してもらったりと、精神的にも支えてもらいます。
カケコムには、痴漢冤罪などにおいて不起訴処分を勝ち取るなど、刑事事件に関する経験・実績豊富な弁護士が在籍しています。
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被害者と示談交渉を成立させる
不起訴処分を勝ち取りたい場合は、被害者と示談交渉を交渉させることも有効です。
被害者との間に示談が成立していると、不起訴処分となるケースの1つである起訴猶予となる可能性があるからです。
被害者が被疑者のことをもう許している、処分を軽くしてほしいと望んでいる場合、被疑者の処分は軽くなりやすいのです。
しかし、不起訴処分を得るためには、かなり迅速に示談を成立させる必要があります。
また、示談したいと思っても被害者の連絡先を知らなかったり、連絡しても示談に応じてもらえない可能性も非常に高いです。
そのため、被害者のいる事件を起こしてしまった際には、早急に刑事事件に強い弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士なら、検察官に被害者の連絡先を確認することができますし、被害者の気持ちに配慮しながら冷静に示談交渉を進めることが可能です。
被害者から相場以上の示談金を要求されるリスクも避けられます。
被害者がいるケースで不起訴処分を勝ち取りたい場合は、早急に弁護士に依頼し、被害者との示談成立を目指しましょう。
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ぜひお気軽にご相談ください。
反省していることをアピールする・軽微な犯罪であることを主張する
薬物事件など被害者がいない場合、不起訴処分を得るためにはしっかり反省していることをアピールしたり、軽微な犯罪であることを主張したりすることになります。
そうすることで、不起訴処分となる理由の1つである「起訴猶予」等になる可能性があるからです。
不起訴処分を勝ち取りたい場合、早急に刑事事件に強い弁護士に依頼し、不起訴処分を勝ち取るためにどのような手を打てるのか相談しましょう。
不安なことや分からないことは弁護士へ早期相談する
不起訴を勝ち取るためには、不安なことや分からないことを弁護士へ早めに相談・依頼することも重要です。
というのも、早めに弁護士にご依頼いただくことで、被害者との示談成立へ向けてのサポートや、意見書や資料の提出による裁判官、検察官への働きかけを行い、不起訴処分獲得の可能性を上げることができます。
しかし、刑事事件で逮捕された場合、起訴不起訴の判断がなされるまでには最長23日間しかありません。
また、拘束期間が長くなればなるほど、職場など、社会生活に与える影響も大きくなってしまいます。
そのため、刑事事件で逮捕や送検されてしまった場合は、早急に弁護士にご依頼いただくことをおすすめします。
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