禁固(禁錮)と懲役の違いは?どちらの罪が重い?執行猶予判決を得るには?
禁固(禁錮)と懲役の違いは、刑事施設内で労働させられるかどうかです。禁固(禁錮)とは、刑事施設に拘置する身柄拘束刑のことをいい、刑務作業は義務付けられていません。懲役とは、刑事施設に拘置した上で刑務作業が義務付けられます。今回カケコムでは、禁固(禁錮)と懲役の違いと、どちらの方が重い罪なのか、どんな場合に適用されるのか、執行猶予付きの判決を得るにはどうすれば良いのかを解説します。
禁固(禁錮)と懲役の違いは?
禁固(禁錮)とは、刑事施設に拘置する身柄拘束刑のことをいい、刑務作業は義務付けられていません(刑法十三条)。懲役とは、刑事施設に拘置した上で刑務作業が義務付けられます(刑法十二条)。
刑法第十三条(禁錮・禁固)
1 禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、一月以上二十年以下とする。
2 禁錮は、刑事施設に拘置する。
刑法第十二条(懲役)
1 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
2 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。
このように、禁固(禁錮)と懲役は刑務作業があるかないかという違いがあります。
また、懲役刑となった場合は1日8時間程度働き、月5,000円程度の報酬が支払われます。
ここで得た報酬は釈放後に支払われ、使うことができます。
禁固(禁錮)と拘留の違いは?
禁固(禁錮)と拘留は、刑務作業を義務付けられない状態で刑事施設に拘置されるという点では類似していますが、身柄を拘束される期間が異なります。
禁固(禁錮)は長期間身柄を拘束されるのに対し、拘留は30日間未満の短期間身柄を拘束されます。
禁固(禁錮)と懲役はどちらの方が罪が重いのか?
刑法第十条の「刑の軽重」によると、刑法第九条に規定する順序「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする(刑法第九条)」により、主刑の軽重が決まるとされています。
刑法第十条
1 主刑の軽重は、前条に規定する順序による。ただし、無期の禁錮と有期の懲役とでは禁錮を重い刑とし、有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるときも、禁錮を重い刑とする。
2 同種の刑は、長期の長いもの又は多額の多いものを重い刑とし、長期又は多額が同じであるときは、短期の長いもの又は寡額の多いものを重い刑とする。
3 二個以上の死刑又は長期若しくは多額及び短期若しくは寡額が同じである同種の刑は、犯情によってその軽重を定める。
そのため、基本的には禁固(禁錮)刑よりも懲役刑の方が罪が重いとされます。
また、拘留は禁固(禁錮)刑よりも軽いです。
禁固(禁錮)刑・懲役刑が適用されるケースとは?
下記にて、禁固(禁錮)刑が適用される可能性があるケースと、懲役刑が適用される可能性があるケースをご紹介します。
ただし、あくまでも適用される可能性があるケースをご紹介しますので、ご紹介したケースに当てはまるからといって必ずしも禁固(禁錮)刑や懲役刑が適用されるわけではありません。
禁固(禁錮)刑が適用されるケース
禁固(禁錮)刑が適用される可能性があるケースは、下記のような罪を犯した場合です。
- 交通事故等の過失犯
- 政治犯
- 内乱罪
- 騒乱罪
- 汚職に関連する罪など
懲役刑が適用されるケース
懲役刑が適用される可能性があるケースは、下記のような一般的に軽い罪とはされない罪を犯した場合です。
- 暴行罪
- 傷害罪
- 殺人罪
- 強盗罪
- 強制性交罪
- 薬物事犯
- 名誉毀損など
禁固(禁錮)刑・懲役刑に執行猶予はつく?
禁固(禁錮)刑の場合も懲役刑の場合も、執行猶予がつく場合があります。
執行猶予とは、定められた期間内に罪を犯さずに生活できれば、禁固刑や懲役刑をなかったものにするというものです。
例えば、「禁固(禁錮)2年、執行猶予4年」という判決が出た場合、4年間罪を犯さず生活すれば禁固(禁錮)2年は免れます。
執行猶予期間は身柄を拘束されないため、今まで通りの生活ができます。
ただし、原則執行猶予がつくのは禁固(禁錮)刑や懲役刑が3年以下の場合か、罰金刑50万円以下の場合に限るので、注意しましょう。
これは刑法第二十五条に定められています。
刑法第二十五条
1 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。
また、職業によっては資格を取り消されることもあるため、今まで通り同じ仕事ができるかどうかは職業によって異なります。
禁固(禁錮)刑・懲役刑で執行猶予をつけるには?
前述したように、禁固(禁錮)刑や懲役刑の判決が出た場合でも、執行猶予をつけることができ、その期間内に罪を犯さず生活すれば、身柄の拘束は免れます。
そのため、起訴されるなら執行猶予付きの判決を受けたいという人が多いと思います。
執行猶予付きの判決を得たいなら、弁護士に相談することをおすすめします。
というのも、執行猶予付きの判決を得るためには、被害者との示談を成立させたり、裁判官に初犯であることや行為が悪質でないことをうまく主張し、納得してもらう必要があるからです。
カケコムには、実際に起訴され、有罪となったが、執行猶予判決を得ることができた実績を複数持つ弁護士が登録しています。
被害者との示談交渉を無事成立させた経験を持つ弁護士も登録していますので、些細なことでもお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。