離婚と別居はどちらが得?体験談を見ながら賢い選択を
離婚と別居、どちらが得かに迷っているあなたへ。心理的影響、法律的な問題、経済的な面まで、幅広く考察します。離婚の前に別居をするメリットと注意点を知ることがより良い未来を掴む助けになるでしょう。また、この記事では別居や離婚についてのアンケート・体験談も紹介しています。
「離婚を考えているけれど、本当に離婚すべきなのか分からない」
「離婚をしたいけれど相手が応じてくれないため、ひとまず別居をしてみるべきなのか迷っている」
というお悩みを抱えている方は、一度弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士に相談することで、下記のようなメリットを得られる可能性があります。
・離婚をするメリットやデメリットを丁寧に説明した上で、的確なアドバイスをくれる。
・離婚の前段階として別居をする場合、どのように別居をして行動すると良いかアドバイスをくれる。
・些細な悩みや疑問についても、丁寧にサポートしてくれる。
カケコムでは、あなたにあった弁護士を見つけるサービスを提供しています。
別居を選んだ方が良いケース5選
まずは離婚より別居を選んだ方が良いケースをご紹介します。
別居を選んだ方が良いケース(1) 冷静に考えるチャンスが欲しい場合
離婚より別居を選んだ方が良いケースの3つ目は、冷静に考えるチャンスが欲しい場合です。
離婚や別居で悩むほど夫婦仲が悪い状態でも、同居していると、相手の嫌な部分ばかりに目がいってしまいがちです。一旦別居することで、相手の良さやありがたみを思い出す機会を作ることができるからです。別居をして冷却期間を置くことで、配偶者への気持ちが変わるかもしれません。
別居を選んだ方が良いケース(2) 世間の目が気になる場合
世間の目が気になる場合は別居した方が良いかもしれません。別居であれば例えば名字が変わらないため職場の人などに察されにくいですが、離婚してしまうと名字の変化などから察され、離婚したことを質問攻めされる可能性もあるからです。
ただし、離婚したとしても「婚氏続称届」を提出することで、名字を変えずに生活することも可能です(民法767条2項)。
第767条2項(離婚による復氏等)
前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から3箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
別居を選んだ方が良いケース(3) 配偶者の扶養に入っていたい場合
配偶者の扶養に入っていたい場合も別居が有効な選択肢になり得ます。離婚をすると配偶者の扶養から外れ、扶養に入っているから受けられていた制度が受けられなくなってしまうからです。
特にダメージが大きいと予想されるのは、収入がない専業主婦の方や、収入が配偶者より少なく、配偶者の収入で生活費をまかなっている方です。
離婚をすると、子供がいる場合を除いて配偶者から生活費を支払ってもらうことは難しいため、今のご自身の収入や貯蓄で離婚後の生活が厳しいようであれば、一度別居を選んでから離婚を考えるのが良いでしょう。
別居を選んだ方が良いケース(4) 離婚に必要となる費用負担を当面の間は回避したい場合
離婚に必要となる費用負担を当面の間は回避したい場合もあるでしょう。
別居する際に新居を借りる場合は引っ越し費用等がかかりますが、離婚する場合はその費用に加えて、場合によっては弁護士費用がかかってくるのです。
そのため、一緒には住みたくないけれどそこまで費用が潤沢にあるわけではない場合は一旦別居を選び、費用が貯まってから離婚請求をするなどの手段に出るのが良いでしょう。
別居を選んだ方が良いケース(5) 離婚に必要となる面倒な手間を当面の間は回避したい場合
離婚ににはコストがかかります。というのも、離婚するには話し合いや各種手続を取らなければならない場合が多く、とりあえず別居を選ぶことで当面の間はその面倒を回避することができるからです。
例えば協議で離婚の話がまとまらない場合、家庭裁判所での調停や、さらには裁判をせざるを得ないとなると、必要となる手続きは複雑で手間もかかります。
一緒には住みたくないけれど離婚するほどでもない場合は、まず別居からする方が良いでしょう。
別居より離婚を選んだ方が良いケース3選
次は、別居より離婚を選んだ方が良いケースをご紹介します。
離婚を選んだ方が良いケース(1) 手間や費用がかかっても婚姻関係を解消したい場合
別居より離婚を選んだ方が良いケースの2つ目は、手間や費用がかかっても配偶者との婚姻関係を解消したい場合です。
前述したように離婚には手間や費用がかかってしまいますが、それでも婚姻関係を解消したいほど心的ストレスが大きい場合は、自分の心身の状態を健康に保つことを最優先に考え、決断しましょう。
離婚を選んだ方が良いケース(2) 財産分与や慰謝料をもらいたい
別居より離婚を選んだ方が良いケースの3つ目は、財産分与や慰謝料をもらいたい場合です。
別居だけでは財産分与すべき状態にはなりませんが、離婚すると財産分与を求めることができるため、夫婦で築いた共有財産を分けるよう求めることができます。
また、例えば相手が不貞行為をしていた場合などでは、慰謝料の請求が認められる可能性があります。
不貞行為があった場合、離婚しなくても配偶者に慰謝料請求をすることはできますが、それで慰謝料請求が認められてもお金が家庭内で移動するだけですし、配偶者の不倫が要因で離婚に至った場合と至らなかった場合では精神的負担が違うとして、慰謝料の金額も変わってくる可能性があります。
ただ、財産分与や慰謝料等のお金のことについては、どの程度が相場なのか、どの程度であれば相手の提案を受け入れても損をしないのか、分からないことが多いと思います。もし財産分与や慰謝料請求などに不安がある方は、損をする前に一度弁護士に相談してみましょう。
離婚を選んだ方が良いケース(3) 恋愛や再婚をしたい場合
別居より離婚を選んだ方が良いケースの1つ目は、恋愛や再婚をしたい場合です。別居中に恋愛をすると不倫になり得、肉体関係があった場合は「不貞行為」という民法で定められた不法行為になる可能性もあり、慰謝料請求される可能性もあるからです。
離婚後の再婚に関しても、離婚直後は再婚禁止期間があるため、すぐの再婚はできません。そのため、新しい恋愛を法に問われずにしたい場合や、早く再婚したいと考えている場合は、離婚をする方が良いでしょう。
実際に離婚か別居を選んだ人の体験談
次に、実際に離婚か別居を選んだ人の割合や、それぞれの意見をご紹介します。
別居と離婚、どちらを選んだ人が多いのか
カケコムでは、実際に配偶者と別居か離婚をした人100名を対象に、「配偶者と別れたいと考えたとき、別居と離婚どちらを選んだか」をアンケートしました。その結果が下記グラフです。
離婚を選択した人が49%、別居を選択した人が51%と、約半数ずつに分かれました。
また、男女別で見た場合 は、下記通り、男性は離婚を選んだ比率の方がやや多く、女性は別居を選んだ比率の方がやや多いです。
別居を選んだ方の意見
女性が別居を選ぶ意見として多かったのは、下記のような子供に関連する理由が目立ちました。
まだ子どもが生まれたばかりで自分で自立して生活する自信がなかったのでとりあえず自分の実家に戻ることで別居の道を選びました。(40代女性)
子供もいたので離婚となると大げさになってしまうため。(40代女性)
子供がまだ小さかったのでやり直せる可能性は残したかったことと、別居している間に少し時間をかけて頭を整理できると思ったので。(40代女性)
一方で、別居を選んだ男性の中にも子供に関連するものが一部ありましたが、下記のように復縁をするための前向きな行為として別居を選択したという意見が目立ちました。
嫌いになったわけではないため。(30代男性)
まだお互い好きで復縁できる可能性があったため。(30代男性)
好きな気持ちは変わらなかったので。(20代男性)
離婚を選んだ方の意見
離婚を選んだ女性の意見としては、「もうこの人とはやっていけないと思ったから」というような一般的な離婚理由も多くありましたが、金銭的な問題やモラハラなど、離婚しなければ自身に被害が及んでしまうような理由も目立ちました。
金銭的な問題だったので、別居では解決されないと判断したため。(30代女性)
生活費を無断で使われてしまうことが多かったため、これ以上一緒にいても自分が生活できなくなってしまうと考えたため。(20代女性)
別居の後、離婚しました。
モラハラを受けており、心身ともに疲弊し友人や親からの助言もうけたため、離婚に踏み切りました。(30代女性)
夫からの暴力が酷くて、別居してもまた会ったときに暴力を振るわれる可能性があると感じたため。(20代女性)
離婚を選んだ男性の意見としては、下記のように関係修復ができないからというものが目立ちました。
別居して距離を置くことで、冷静な考え方になれる可能性もあります。しかし、夫婦関係が崩壊して会話もない状態でしたので、修復のチャンスはないと考えて離婚しました。(40代男性)
別居しても関係が修復できるとは考えられなかった。あときっちりとけじめをつけたかった。(40代男性)
もし、やり直せる余地があると判断すれば、別居を選んでいたと思いますが、その時点で、やり直せる余地は無いと判断したので、離婚を選択しました。(30代男性)
男性は、復縁したいという気持ちがある場合は別居を選び、もう復縁は難しいと判断した場合は離婚を選ぶという傾向があるようです。
実際に別居や離婚をした人は後悔していないのか
実際に別居や離婚をした方100名に対し、「別居、あるいは離婚をして後悔したか」についてアンケートを実施しました。その結果、下記グラフの通りとなりました。
別居、あるいは離婚をして「後悔した」と答えた人は13%に留まり、「後悔していない」と回答した人が87%と圧倒的に多い結果となりました。
次に、男女別で見てみましょう。
男女別だと、「後悔した」と回答した男性が20.8%、女性が5.8%と、男性の方が後悔する傾向にあります。
「後悔した」と回答した方
女性の中では、別居や離婚で子供に会えない状況になった方のご意見が目立ちました。
もっと自由に子供と会えるようにしておけばよかったです。(40代女性/離婚を選択)
子供と会えないのが一番辛い。(30代女性/別居を選択)
また、下記のような生活面での現実的な問題をあげている方もいました。
お金がなくなってしまった。(30代女性/別居を選択)
男性の中では、別居や離婚をした段階で「相手の良さに気づいたから」という意見や、「もっと話し合えばよかった」という意見が目立ちました。
別居をして離れ離れになることで、ようやく相手の良さに気づいたから。(30代男性/別居を選択)
やっぱり、パートナーが良かったと後悔した。努力して、7年後に元に戻りました。(50代男性/離婚を選択)
もう少し話し合いをすればわかりあえたかなと思います。(40代男性/離婚を選択)
また、夫婦関係に良い影響が出ることを期待して別居をしていた男性の方は、別居をしたことで期待とは逆の方向に行ってしまったことを後悔していました。
さらに心が離れてしまい、離婚までそう遠くはなさそうです。(30代男性/別居を選択)
「後悔していない」と回答した方
男性も女性も、別居を選択していて「後悔していない」と回答した方は、「別居したことで夫婦関係を見つめ直すことができた」「関係が良好になった」という意見が目立ちました。
後悔はしていません。結果的にお互い冷静になれて真剣に話し合うことができました。関係は良好になりました。(30代女性/別居を選択)
初めて大きな諍いになり、1週間ほど口を聞きませんでした。話し合えば食い違うような感覚です。あのまま一緒にいたらきっと精神的におかしくなっていたし、離婚になっていたのではないかと思うので、今の方法をとって良かったと思っています。(20代女性/別居を選択)
お互いを見つめなおせたので別居は良かった。(40代男性/別居を選択)
お互い頭を冷やす時間を作れた。(30代男性/別居を選択)
ただし、子供がいる場合は、別居や離婚の選択自体に後悔はなくとも、子供に対する罪悪感が残ったという方もいました。
後悔してはいませんが、別居の期間は子供にいろいろ心配させてしまったようなので、可哀想だったなぁと思っています。(40代女性/別居を選択)
私自身は後悔は全くしていないが、離婚当時3歳になったばかりの子供がいたので、年齢が上がるにつれ保育園行事や出かけ先で親子連れを見た時、父親がいないことに子供自身がどう思っているかを考えると、もっと私は頑張れたんじゃないかと思ってしまうことはある。(30代女性/離婚を選択)
また、離婚を選択した方の中では、夫婦間でしっかりケジメをつけられたからという方もいます。
離婚については親権も私が持てましたし、元嫁の都合のよいふうにはさせなかったため。後悔はしていません。間に弁護士を挟み徹底的にケジメをつけたのでよかったです。しかし、子供は悲しんでいると思います。離婚に至るしかなかったこと・経緯を後悔しています。(30代男性/離婚を選択)
上記のことから、夫婦間で金銭的な問題があったり、DVやモラハラ等の自身に被害が及ぶ行為を受けている場合、一度距離を置いてお互いを見つめ直したい場合は、別居や離婚に踏み切ることが重要といえるでしょう。
一方で別居や離婚をして後悔しないためには、女性の場合は別居時や離婚時に子供の親権についてしっかり話し合うこと、男性の場合は相手との話し合いを放棄せず、気が済むまで話し合ったり、相手の良い点を思い出してみるなどすることが重要といえるかもしれません。
また、離婚時には弁護士に相談することも対処の一つとして検討すると良いでしょう。
別居中の生活費や養育費はどうする?
別居していても、夫婦にはお互いを扶養する義務があり、収入の高い方が生活費等を負担する必要があります。
そのため、妻が専業主婦で夫のみに収入がある場合や、共働きでも夫の方が収入が高い場合は、別居中の生活費等を夫が妻に支払わなければなりません。
どの程度の生活費を請求できるかについて知りたい方は、ぜひ下記の記事をご覧ください。
>>【関連記事】別居時の生活費ってどうやって決めるの?|婚姻費用分担請求について
離婚に向けて別居したい場合に必要となる準備について
離婚に向けて別居を考えている場合は、離婚後の生活費をどう賄うか等、検討すべきことが多くあります。
別居後や離婚後に困らないように、下記の記事をご一読いただき、どのような準備をすれば良いか知っておきましょう。
離婚を選択するなら、しっかりと離婚準備を
別居を挟まずすぐに離婚する場合、よりしっかりと離婚後の生活設計を立てたり、養育費等をどの程度請求するのか等を考えておく必要があります。
下記で、離婚準備の際に検討すべき項目について解説していますので、ご一読ください。
>>【関連記事】離婚準備は何から始める?弁護士が教える離婚準備リスト
離婚か別居に悩んだり法的トラブルが発生したら
「別居と離婚どちらがいいのか」という問題は法的な部分も大きく関係するため、非常に複雑です。
悩んだときには、迷わず弁護士へ相談しましょう。
別居をしているけれど、やはり離婚したい、という人も弁護士への相談が離婚への第一歩。
どちらのメリット、デメリットも確認しているが、決められない場合も弁護士の力を借りるのが最善です。
特に男女問題の解決が得意な弁護士なら、知識や経験も豊富なため、あなたの要望に沿った問題の解決が可能です。
ぜひ一度相談してみてください。
まとめ
別居と離婚どちらがいいのかという問題については、それぞれのメリットやデメリットを比べ、自分の状況に合った判断をすることが大切です。
離婚には他人になれるメリットはありますが、離婚するまでに手間がかかるというデメリットがあります。
また、別居には離れて生活できるメリットがある反面、再婚など、次のステップに移れないデメリットなどがあります。
しかしこれらは自分で判断しにくく、難しい問題です。そのため、悩んだら法律の専門家である弁護士の相談を受けることをおすすめします。男女問題に強い弁護士なら、離婚や別居問題に関する経験も豊富ですから、どのような法的問題が発生し得るかだけでなく、どのように対応すべきかなどについてアドバイスをもらうこともできます。
吉田弁護士からのメッセージ
別居にとどまるべきか、離婚に向けて動き出すべきかについて、ご自身の中で結論が得られていない状態であっても、弁護士に相談いただくことで、進むべき道が見つかる可能性はあります。早めにご相談ください。