親子の縁を切る方法とは?実子と養子の場合の縁の切り方を解説
「親子の縁を切る方法を知りたい」と思っても、周りにはなかなか相談できない方も多いのではないでしょうか?子供と離縁するのには、様々な事情があるかと思います。悩みや不安も多いことでしょう。そんな方のために、本記事では親子の離縁について、徹底解説いたします。
目次
実子との親子の縁の切り方とは
離縁は養子縁組などで作られた親子関係を解消することを目的とされているため、現在法的に実子と親子関係を解消する方法はありません。
離縁できるのは、あくまでも養子縁組などで結ばれた親子関係のみということです。
では、法的に縁を切る方法はあるのでしょうか。
実子との親子関係を解消する方法がない以上、実子は原則として推定相続人のままです。
また、財産を渡さないために第三者に対して贈与などをしても、遺留分は留保されます。
離縁できる養子と違い、実子の場合には、いくら口頭で「縁を切る」と言っていたとしても、法的には何の影響もありません。
実子に遺産相続したくない場合は遺言を残す
実子に遺産与えない方法としては、遺産を相続させないという遺言を残すことが考えられます。
しかし、「遺留分」という制度があるため、子に全く遺産を相続させないことはできません。
そこで、「相続排除」を行えば、子の遺留分までも奪うこと、つまり子に財産を全く相続させないことが可能になります。
ただし、相続排除を行うためには、「著しい非行があった」「被相続人への虐待や侮辱がある」などの高いハードルがあります。
子の相続分を奪うという形での「縁を切る」手段も、なかなか難しく、家族法では子の権利が手厚く保護されていることがわかります。
養子との親子の縁の切り方とは
縁を切りたい子供が養子の場合にはこちらを参考にしてください。
親子の縁の切り方(1) 協議離縁
協議離縁とは、養親子間の合意による離縁で、養子離縁届で効力を有します。
離縁時に子供が15歳未満の場合は、離縁後に法定代理人となるべき者(実父母など)が協議離縁することが可能です。
養子が15歳以上の場合には、本人が協議離縁可能です。
親子の縁の切り方(2) 単独離縁
単独離縁とは、養親または養子の一方が死亡した場合に、当事者同士で解消することです。
単独離縁をする場合には、養親の一方の世話をしないために離縁する、いわゆる忘恩行為を防ぐために、家庭裁判所の審判が必要となります。
親子の縁の切り方(3) 裁判離縁
裁判離縁とは、協議離縁・調停離縁が不成立の場合に行われるものです。
裁判離縁をするためには、まず離縁調停を家庭裁判所に申し立てなければならないことに注意してください(調停前置主義)。
条件として「悪意の遺棄」「一方の生死が3年以上不明」「虐待や侮辱・犯罪行為などがある」ことが必要とされています。
養子と親子の縁を切ると戸籍はどうなるか
養子が婚姻中でなく離縁時に養親の戸籍にいる場合
養子が離縁時に養親の戸籍にいる場合、養子は、養子縁組する前の戸籍に戻ることになります。
養子縁組前の戸籍(実父母の戸籍など)に戻らず、養子縁組前の姓で新しい戸籍をつくることも可能です。
また子供が戻る戸籍がない場合には、新しい戸籍が編製されます。
養子が婚姻中でなく戸籍の筆頭者である場合
養子が婚姻中ではなく、戸籍の筆頭者である場合には、養子縁組する前の氏で新しい戸籍が編製されることになります。
養親の戸籍からは抜け、新たに自分で戸籍をつくるというイメージです。
養子が婚姻中で戸籍の筆頭者である場合
養子がすでに婚姻中で戸籍の筆頭者である場合に離縁すると、養子は夫婦で新しい戸籍が編纂されます。
本来であれば結婚をすると新しい戸籍を夫婦で作ることになるのですが、この場合も先ほどと同様で養子が新たに戸籍を作る流れとなります。
養子が婚姻中で戸籍の筆頭者ではない場合
離縁をする際、養子が婚姻中であるものの、戸籍の筆頭者ではない場合には、離縁をしたとしても戸籍に変動はありません。
現状のまま、配偶者との戸籍を維持することになります。
養子と親子の縁を切ると名字はどうなるか
縁組して7年が経過していない場合
養子の苗字は、縁組して7年経過前の場合、縁組前の氏を名乗ることになります。
民法816条2項でも定められており、養子縁組から7年が経過していなければ縁組後の苗字を名乗ることはできません。
民法816条1項 離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方にみと離縁した場合は、この限りでない。2項 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。
縁組して7年が経過していた場合
縁組して七年が経過していた場合も原則縁組前の苗字を名乗りますが、届出をすれば離縁の際に称していた名字を名乗り続けることができます。
苗字の変更は仕事などにも影響が出ますので、七年以上経過していれば、養子縁組時の苗字を名乗り続けることができます。
親子の縁を切りたいときは弁護士に相談
実子と絶縁したい人、または養子との離縁を考えている人は、弁護士に相談するのが確実な方法です。
離縁は戸籍上の問題も絡んで来るため、とても難しく、協議離縁が不成立の場合には、裁判になることも多々あります。
子供と縁を切りたい場合なども、相続排除を検討することになりますが、条件は厳格で弁護士に相談すべきです。
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実子、養子との離縁については法的にも難しい分野とされています。
しかし、様々な事情により子供と離縁を望む人は、まず子供との離縁についての知識をつけることが問題解決への第一歩に繋がります。
さらに、子供との離縁はできる場合とそうでない場合があるので、専門家に相談し、法的なアドバイスを受けるのが最も確実です。
実子や養子との離縁は後々裁判になり、トラブルに繋がりかねない問題なので、あらかじめ弁護士を味方に付けて行動するのが良いでしょう。
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