和解離婚の流れとメリット・デメリット〜和解離婚後の届出と戸籍の記載方法までご紹介〜
和解離婚とは何か、和解離婚のメリット・デメリットについて解説します。和解離婚後の離婚届の届出と戸籍の記載も合わせてご紹介します!
和解離婚の流れや手続きってどんなもの?
離婚の段階は主に
協議離婚、調停離婚、裁判離婚となりますが、和解離婚について知らない人も多くいます。
それぞれの離婚方法は細かい違いがあるので、和解事項など様々な違いを知っておくと離婚を有利に進められるでしょう。
協議離婚とはお互いが綿密に話し合い、納得した上で離婚できる方法であり、裁判離婚は調停離婚を経ても問題が解決できなかった場合に行う方法で、裁判によって離婚を行うことになります。
今回は、和解離婚について確認しつつ、和解離婚後の離婚届による届出と戸籍の記載について解説します。
和解離婚とはそもそも何か?
協議離婚や裁判離婚は耳にする機会が多くありますが、和解離婚とは何なのでしょうか。
その和解離婚についてご説明します。
和解離婚とは離婚訴訟の途中に合意して離婚をすること
和解離婚とは離婚の訴訟の途中で和解事項に合意して離婚することです。
離婚裁判中の訴訟は大変ですが、和解離婚は、訴訟中であれば和解がいつでもできるのが大きな特徴です。
もしも訴訟中のどんなタイミングであっても、和解に合意した時点で離婚裁判は終了となります。
離婚裁判の準備を進めつつ、同時に和解を成立させられるように和解事項を確認するのも重要なポイントだといえるでしょう。
協議離婚と和解離婚ではお互いに離婚の内容に納得して合意した時点で離婚が成立することに変わりありませんが、確かな違いがあります。
まず、和解離婚は離婚の訴訟中に夫婦が和解して離婚することです。
そして協議離婚はどちらも訴訟を起こすことがなく、夫婦の話し合いだけで離婚することです。
和解離婚は訴訟を起こされた分だけ手間がかかるので注意しましょう。
どちらかといえば和解離婚より協議離婚の方が楽ですが、離婚裁判によって離婚するよりも和解離婚になる方が望ましいです。
というのも、離婚裁判は基本的に長期化するものといっても過言ではなく、夫婦共々、心身共に労力を使うことになります。
和解離婚なら離婚裁判を長期化させることなく離婚を成立させられるので、先の見えない不安から解放されることになるでしょう。
もしも訴訟を起こされた場合、和解離婚に至るまでの成立方法をご説明します。
ポイントを押さえて早めの離婚を目指しましょう。
和解離婚までの流れ(1) いつ和解するのかは決まっていない
まず、和解離婚に至る前に裁判官からの和解勧告があります。
ただし、いつ裁判官からの和解勧告があるかは決まっていないので、最初の裁判期日でなされることもあれば何度か期日を経た後になされることもあるでしょう。
これは担当する裁判官や離婚裁判の状況によって大きく変化します。
早めに和解勧告を出してくれるケースも珍しくありません。
もしも和解離婚がしたい場合は、応接室などで和解事項の確認や和解の話し合いを行うことになります。
離婚裁判と違って慰謝料の支払いを命じられたり、裁判による離婚を行うわけではないので、できれば和解離婚の方がお互いに良いと裁判官も考えるでしょう。
この場合、夫婦の間に裁判官が入り、お互いが仲裁できるように和解事項の説明や和解の話し合いを進めていくのが一般的です。
和解離婚までの流れ(3) 合意できれば「和解調書」が作成される
裁判官が夫婦の間に入って仲裁することにより、お互いが和解事項に沿って和解離婚に合意した場合は、和解の内容を記した和解調書が作成されます。
しかし、ここで注意しておきたいのが、双方が和解に合意しなければ和解離婚は絶対に成立しないということです。
裁判官が仲裁に入っても和解になる見込みがない場合は、再び離婚裁判による争いを再開することになります。
和解離婚までの流れ(4) 離婚成立10日以内に「離婚届」と「和解調書の謄本」を役場に提出
妻と夫が和解事項に沿って話し合いに合意して和解調書を作成することができたなら、いよいよ和解離婚の手続きは最終段階に入ります。
和解が成立したその日から10日以内に、役場へ離婚届と和解調書の謄本を提出することで和解離婚の全ての手続きが完了します。
特に、裁判が終わってから安心して離婚届を提出することを忘れないように注意しましょう。
もしも本籍地以外に提出する場合は同時に戸籍謄本も提出する必要性があるので、忘れずに用意しておきましょう。
和解離婚後の離婚届の提出と戸籍の記載
最後の手続きである和解離婚後の離婚届の届出とその後の戸籍の記載について詳しく見ていきます。
和解離婚の届出の期間
調停離婚や判決離婚のときと同様に、和解離婚のときも和解成立から10日以内に離婚届による届出が必要です。
離婚に家庭裁判所が関与した場合、家庭裁判所で決めた事項を戸籍に反映させるための手続きは別途必要とされているためです。
和解離婚の届出は成立から10日経過後も有効|過料の可能性はある
和解成立から10日経過後の離婚届による届出の場合にも、離婚が無効になるといったことはないので、安心してください。
ただし、5万円以下の過料が課される可能性はあります(戸籍法135条)。
過料が課されるケースは現状多くないですが、戸籍に反映されないことによる不都合も考えられるため、早めの届出を行いましょう。
和解離婚の届出に必要な書類
- 離婚届書
- 和解調書の謄本
- 届出先が本籍地でない場合は戸籍謄本
- 本人確認書類
- 夫婦双方の印鑑
- 離婚の際に称していた氏を称する届(結婚の際に苗字を変えた方が離婚の際に称していた氏を称する場合)
離婚届を郵送で提出する際にはその場での訂正ができないため、不備のないよう注意しましょう。
また、訂正も適切な形式で行わなければ、何度も役所に出直すことになってしまいます。
離婚の際に称していた氏を称する届は離婚から3か月以内であれば後日提出することも可能です。
和解離婚に届出をする人(届出義務者)
原告(訴えを提起した側)が届出を行いますが、和解が被告(相手方)の申出によるものである場合には被告も届出が可能です。
和解から10日を経過しても原告から届出がされない場合にも被告から届出が可能です。
和解離婚の届出をする場所
本籍地でも住所地でも所在地でも提出が可能ですが、本籍地以外の市区町村に提出する場合には、戸籍謄本が必要です。
和解離婚後の届出後の戸籍の記載
戸籍に「離婚の和解成立日」が記載されてしまいます。
これにより、離婚裁判を行ったことが戸籍から判明することになります。
大きな問題はありませんが、これを気にする場合には、裁判上の和解を「協議離婚をする旨の和解」にとどめ、裁判終了後に通常の協議離婚として離婚届を提出するという選択をする場合もあります。
和解離婚のメリット・デメリットとは?
参考に、和解離婚のメリットとデメリットを紹介します。
和解離婚のメリット(1) 裁判が早く終わる
何といっても裁判が早く終了することが一番のメリットです。
裁判離婚を行うことで慰謝料を多く請求することができるとはいえ、長期化するケースがほとんどなので裁判が長引くほど費用や労力を必要とします。
裁判が早く終わるということはそれだけ費用や労力をかけることがなく、裁判によるデメリットから解放されるといえるでしょう。
和解離婚のメリット(2) 精神的に楽
和解離婚によって裁判を早めに終わらせられることから、精神的な負担から解放されるのも大きなメリットです。
長期化しやすい裁判をいつまでも続けていると、肉体的にはもちろん精神的にも気が重くなって早く終わってほしいと思うばかりです。
裁判が続いているという状況から仕事が手に付かなくなるなどの支障が出る恐れがありますが、和解離婚であれば様々な苦痛を感じなくて済みます。
和解離婚のデメリット 裁判を続けていれば和解条項に決められた慰謝料や養育費よりもらえたかもしれない
ただ一つのデメリットとして挙げられるのが、裁判離婚だったらもらえた慰謝料や養育費の金額が減る可能性があるということです。
和解離婚する際には和解条項によって決められた慰謝料や養育費を支払うことになるので、一見問題はないように見えます。
しかし、裁判離婚を続けていれば、決められた金額の慰謝料や養育費より多くもらえたチャンスを逃してしまうことになるのです。
裁判官からの和解勧告を受けるメリットは充分にある!
裁判官から和解勧告を促されたとしても、必ずそれに応じなければならないわけではありません。
和解勧告を無視して裁判を続けてもいいのですが、和解勧告を受けた時点で裁判は一時中断となり、夫婦の話し合いが始まります。
お互いに夫婦が和解事項に沿って和解に合意した時点で裁判は完全に終了することになるため、裁判を早めに終了させるなどのメリットがあるのです。
自分では判断できない!という方は弁護士に相談してみましょう!
裁判官から和解勧告を促されたとはいえ、様々なメリットがあったとしてもそれが正しい選択になるかどうかは分かりません。
裁判離婚でも和解離婚でもデメリットはあるので、もし自分で判断できないという人は弁護士に相談するのが得策です。
弁護士に相談することで和解事項が分かりづらい場合でも自分にとってのベストな選択肢は何かをアドバイスしてくれるでしょう。
和解離婚の流れとメリット・デメリット〜和解離婚の届出と戸籍の記載方法までご紹介〜のまとめ
協議離婚で解決しない場合、裁判離婚へと進むことになりますが、裁判離婚は長期化するケースがほとんどなので様々な負担がかかりやすいのが問題です。
そこで和解事項に双方で合意し、和解離婚を目指すことにより、裁判を長引かせることなく離婚できるので費用や労力などをかけずに解決できます。
できる限り負担がかからないうちに解決した方が双方にとってメリットがありますし、裁判官もそれが望ましいと思っていることでしょう。
それでも迷うのであれば、弁護士に相談してアドバイスをもらうのが得策です。
弁護士は和解が不成立で、裁判で争うことになった際でも、代理して争ってくれます!